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2009年03月22日

企業の成長とイノベーション(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

成長に限界はあるかのエントリーで、変曲点には重要な意味があると書いた。以下の曲線は、「イノベーションのS字曲線」とも言われ、X軸が技術開発の累計投入量、Y軸が製品のパフォーマンスを表している。同様に、これは普及率の曲線にも当てはまる。ロジャースはこの普及曲線を正規分布だと仮定し、上位2.5%をイノベーター、続く13.5%をアーリーアダプターと定義し、さらにジェフリームーアは、この2つの合計である16%を超えるところに、「キャズム」の存在を提唱した。この様に、このS字曲線おとびその累積分布曲線は、イノベーションや企業や経済の進化を考える上で非常に重要な意味を持つ。

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変曲点というものは、このS字曲線の中央にあるいわゆる成長が鈍化する瞬間を表している。技術開発に投資をしても、スペックや信頼性があまり上がらなくなる瞬間であり、普及率で言えば、どんどん増えていたユーザーの増え方が減少し、急激な増加がなくなる点だ。この点の見極めは非常に難しい。なぜなら、まだまだ売れ続けているから、なかなか方針の転換ができないのである。ところが、このままにしておくと、どんどん投資効率は落ち、増加率は減少し、市場はサチュレートしてしまう。

これに気づかずに、どんどん開発をし続けた結果が、「優良企業はすべてを正しく行なうがゆえに失敗する」という「クリステンセン」のイノベーションのジレンマとして有名な現象だ。つまり、「優良企業は、顧客に耳を傾け、製品・サービスの改良改善に取り組むという優れた価値基準と行動規範を備えている。その結果、顧客ニーズのないアイデアは切り捨てることが善とされている。」「優良企業は、持続的イノベーションで好業績を上げており、破壊的イノベーションを軽視する。それは何より従来製品に比べて性能が劣り、市場規模は小さく収益性も低いため、大企業の成長率向上に寄与しないからである。」ということだ。

このことを回避するには、以下の図の様にこれに変わる新商品の投入しかない。またはクリステンセンの言う通り、「破壊的イノベーション」がこれを駆逐していくのである。

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この事は歴史が証明しており、成長し続けるものなどこの世に存在しないのである。

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17世紀から18世紀にかけ農業革命が起き、18世紀から19世紀には蒸気機関に代表される第一次産業革命、その後電力や石油に代表される第二次産業革命が起き、現代ではインターネットに代表される情報、知識革命が起きている。イノベーションのS字曲線は、変曲点の前半では、成長し続けるように見えるが、実は変曲点を過ぎれば成長は鈍化する。鈍化した時に、また新しいS字曲線が出てきてやがて一つ前のS字曲線を越える。

この繰り返しが、イノベーションの進化であり、長い目で見ればこの繰り返しが人類の進歩のスピードと一致しているといえるわけだ。つまり、いくらベンチャー企業であっても、急成長は続くわけではなく、特に現代のスピード感について行くためには、開発はし続けなくてはならず、新しいビジネスモデルを作り続けなくてはならない。縮小均衡などあってはならない。

2009年03月22日 15:22