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2009年08月31日

衆院選得票率のマーケティング的解釈(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

民主党の圧倒的勝利で終わった昨日の衆議院選挙。小泉郵政解散の時とは全く逆の様相を呈し、小選挙区制とはいえ、一国の最高決定機関である国会の構造がここまでダイナミックに変わってしまうことに、驚きとともに若干今後への不安も感じた。ご存じの通り、衆議院選は小選挙区比例代表「並立制」だ。この中で、比例代表の政党名得票数シェアを見てみた。

・民主党 45.3%
・自民党 25.4%
・共産党 9.5%
・公明党 8.5%
・社民党 4.8%

これを見ていて、クープマンの目標値を思い出した。シンプルマーケティングの著者であり、私のマーケティングの師匠でもある森行生さんに20年近く前に教わった理論だ。一部、森さんのホームページから引用させていただく。

米国の数学者、クープマンは、シェアと市場推移の関連性を分析し、シェアをみきわめるポイントとして6つの数字を上げている。これが「クープマンの目標値」だ。

具体的には次のとおり。

(1)独占的市場シェア ・・・73.9%
(2)相対的安定シェア ・・・41.7%
(3)市場影響シェア  ・・・26.1%
(4)並列的上位シェア ・・・19.3%
(5)市場的認知シェア ・・・10.9%
(6)市場的存在シェア ・・・ 6.8%

●相対的安定シェア……民主党は「45.3%」なので相対的安定シェアを獲得

市場で首位のブランド、ないし企業41.7%のシェアを占めている場合、トップの地位は安定しており、不測の事態に見舞われない限り、逆転されることはない。この数字はシェア獲得の最終目標として掲げられることが多い。トップにこの数字を握られると、下位ブランドや企業はシェアを上げにくくなる。またこのような市場では、特別に有利な条件がない限り、新規参入しても成功する確率はきわめて少ない。若干古いデータだが、この相対的安定シェアには以下のような事例がある。

・日清食品 42.6% 即席めん市場
・ライオン 45.2% 歯磨き市場
・ヤマト運輸 46.3% 宅配便市場

●市場影響シェア……自民党は「25.4%」なので市場影響シェアに若干足りない

この数字は、2位であっても市場に影響を与える水準値として、相対的安定シェアとともに目標にされている。ちなみに「市場に影響を与える」とは、ある企業が新商品を投入したり、キャンペーンを行うなどして動きだすと、競合もそれを無視し切れず、同調、あるいは対抗手段をとらざるを得ない状況をさす。また、不思議なことに、この水準のシェアをとっていて3位以下というケースはない。

(2位の場合)

・三洋電機 29.0% リチウムイオン電池市場
・日本通運 23.0% 腕時計市場
・ミノルタ 23.6% 一眼レフカメラ市場

●市場的認知シェア……共産党は「9.5%」、公明党は「8.5%」なので市場認知シェアに至っていない

市場においてようやく存在が確認される水準。つまり生活者が「こういうブランド(企業)もある」と思いだしてくれるレベルである。これ以下では、生活者の記憶にも残りにくい。

・東芝       11.0% ルームエアコン市場
・東洋ゴム工業 10.9% タイヤチューブ市場
・サンヨー食品 10.9% 即席めん市場

●(6)6.8%……社民党 は「4.8%」で市場的存在シェアに届かない

市場において、ようやく存在を許されるシェア。これ以下のシェアでは、今後よほどの成長が見込まれない限り、市場から撤退する方が賢明である。この水準では、生活者が、他人に言われてやっと思い出す程度の知名度しかない。


以上のように、マーケティングにおける市場シェアの理論に当てはめてみても、いかの今回の民主党のシェアが高いかが分かる。このクープマンの目標値は、ランチェスター戦略における基本理論なので、選挙も戦いそのものであると考えれば、ある程度適用できるのではないかと思う。相対的安定シェアを獲得した民主党がその優位性をどこまで活用できるか。来年の参院選での比例代表得票率に注目したい。

2009年08月31日 14:34