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2012年01月06日

事業概念図に込める思い(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

ALBERTの事業概念図は、ホームページ以外でも、企画書や提案書、フェイスブックなどにも使っています。タイプは全部で4種類あります。社員でも全部知っている人は少ないかもしれませんが、ノーマルタイプと横型(このページの上部)、フェイスブックの縦型、バナースタンド型があります。

この事業概念図は、広報の佐藤めぐみさんと一緒に考え、何回も改訂していますが、これには非常に大きなこだわりを持っています。全体の印象としては、紺色と上に伸びる光の束で宇宙の創生期、つまりベンチャー企業の黎明期からの輝かしい発展を表しています。宇宙空間に配された式は、アインシュタインの相対性理論や情報エントロピーなどに関係するもので、中央の「分析力」の文字とともに、ALBERTのコアコンピタンスである『分析力』の高さを静かに表現しています。

白く光る8つの球は、ALBERTがこの世に生まれた時の卵のようなもので基本となる要素技術です。全体の起点に位置する「マーケティングリサーチ」は、いわずもなが前職のインタスコープで培った重要な技術です。インタースコープなしに今のALBERTは考えられませんので、最もベースに配してあります。その隣に「統計解析」がありますが、これはインタースコープでも最も得意とし、他社との差別化になっていた分野です。反対側の「Web開発」は、リサーチシステムには欠かせない技術です。複雑な条件分岐やユーザーがアンケート画面を自ら設計できる「QS(クイック・スコープ)システム」などを通じ、そのノウハウを蓄積してきました。また「ITインフラ」についてはアンケートという急激にトラフィックが集中する特殊な環境を構築する技術として確固たるものを作り上げ、現在のおまかせ!ログレコメンダーでも安定稼働を実現しています。

統計解析の次に「データマイニング」がありますが、こちらはインタースコープ時代の後半に子会社(ISFI)を設立し、事業として進めていたテクノロジーです。データマイニングの一種である、「テキストマイニング」、社長の上村を中心にかなり深いところまで研究し、ソフトの開発まで行ないました。このソフトの大きな特徴としては、単語ではなく文節単位での分析を行なうという画期的なものです。

「画像解析」は、徳島大学と共同開発した『SUDACHI』ですが、数値、文章、さらに画像も解析するものです。「モバイル開発」は、ログレコメンダー モバイルやモバイルサイト構築などで用いられているテクノロジーでです。

これらの要素技術が相乗的に機能し「Optimization Technology(最適化技術)」としてALBERTのビジネスを支えています。


ALBERTの事業は大きく分けて3つあります。ALBERTは、2005年7月の創業以来、事業コンセプトに「レコメンデーションの専門企業」を掲げ、あらゆる商品や情報に対応したレコメンドエンジンを開発・提供してまいりました。現在の売上の大半はこのレコメンドエンジンによるもので最大の柱となっています。しかし、一般的に、「レコメンデーション」や「レコメンドエンジン」という言葉からは、いわゆるamazon型といわれる狭義のレコメンドエンジンが想起されます。従って、「レコメンデーションの専門企業」=「狭義のレコメンドエンジン開発・提供を行なっている企業」と捉えられることも多く、必ずしもALBERTの事業領域を正しく伝えるものではありませんでした。

昨年1月、新事業の立ち上げに合わせ、事業コンセプトを「分析力をコアとする情報最適化企業」に変更しました。最近、ビッグデータという言葉をよく聞きますが、ITの発達に伴い大量のデータが取得できるようになり、このデータの取り扱いが課題になっています。データの蓄積や集計レベルまではBIツールなどで実現しているものの、本当の意味でのデータ分析を実際のビジネスに活かしている企業はほとんどないと言っても過言ではありません。ALBERTでは、クロス集計程度の分析ではなく、商品や情報と顧客に対する深い理解に基づき、圧倒的に高い分析力を活かして、広告のマッチングや最適化を行なう「行動ターゲティング広告」、Webサイトの最適化、One to oneマーケティングを実現する「CRMソリューション」に事業展開を図っています。

ALBERT創業から今後の事業展開の方向性を1枚のチャートで表したのがこの事業概念図です。社員がALBERTの紹介をする時には、このチャートを使って説明すると思いますし、近々事業概念図が入ったクリアファイルを製作するので、是非ゆっくりとご覧いただきたいと思います。

17:00

2011年11月11日

「年齢確認が必要です」(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

今朝、コンビニで「アルコールゼロ」、「カロリーゼロ」、「糖類ゼロ」のノンアルコールカクテルを買った。

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レジに行くと「年齢確認が必要です」のアナウンス。「75歳です」と答えたお爺ちゃんがいたという本当だかネタだか分からない話があったそうだが、そういう話をしたいのではなく、なぜこういうアナウンスが流れるのかということだ。店員にヒアリングした結果から推測するに、この商品はアルコール飲料の棚に置くために、「アルコール」というカテゴリに振り分けているらしいことがわかった。

ここまで話すと、私がいったい何を言いたいか、おわかりのかたも多いと思うが、カテゴリー設定がいかに重要かということだ。アルコールフリーの飲料のコンセプトは、「普段お酒を飲む人運転をする時にやむを得ず飲む」というニーズに応えるというものだと思うが、そもそもお酒が飲めない人が、ウーロン茶やジンジャエールの替わりに、ノンアルコールカクテルを飲むこともあるわけだ。

レコメンデーションを考えた時、ウーロン茶やジンジャエール、コーラをいつも買っている人に、もしもノンアルコール飲料をアルコール飲料としてカテゴライズしていたら、フィルターにかかってレコメンドされない可能性もある。ジンジャエールとノンアルコールカクテルの併売が多く、共起ルールができた後であれば、お酒を飲まない人にもレコメンドされる可能性があるが、新発売の時にはまず表示されないだろう。

カテゴリー設定やカテゴリーを使った分析がいかに重要かに関しては、「CTB分析とカスタマープロファイリング」で述べているが、まさにカテゴリー設定のしかたによって、おかしなアナウンスが流れるという面白い出来事に遭遇し、その思いを新たにした朝であった。

10:09

2011年11月01日

創造性テスト(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

以前、「ビジネスマンに求められる3つの能力は何か」ということに関して、「本当に仕事ができる人とは」というエントリーで次の3つだと書いた。

(1)ロジカルシンキング
(2)コミュニケーション能力
(3)クリエイティビティ(創造性)

この3つを挙げている。3番目の「クリエイティビティ」を評価する方法のひとつとして、創造力テストというものがある。「社員の力を決める3つの要素」でも紹介したが、私は、千葉大名誉教授、現在は東京未来大学名誉学長であり、「頭の体操」で有名な多湖輝先生と非常に親しくさせていただいている。マルマンでは多湖先生の開発された創造力テストを必ず入社時に実施していた。例えば、「牛乳びんを牛乳びん以外の目的で使用する方法をできるだけたくさん書け」といったものである。学校の成績が優秀でも、こういった正解のない問題が苦手な人が結構いる。そういう人の成績表や資格などは、正解のないビジネスの世界では全く役に立たない。マルマン創業者の片山豊氏は、私に何度となく「瓦はいくら磨いても瓦だ。今は光っていなくても磨けば光るダイアモンドの原石を探す方法を考えなくてはいけない」とおっしゃった。つまり、創造力テストなどを開発することで、素質のある社員を採用しろという事だ。

多湖先生が全国レベルで実施されていた、どこかの機関の「創造力テスト」の採点をしていたことがある。牛乳瓶のような問題は、解答するのも大変だが、採点もなかなか難しい。採点のポイントとしては、例えば牛乳瓶の問題であれば、金魚を入れる、鉛筆を入れる、土を入れるなど、単純に何かを入れるという同じ発想から出ているバリエーションに関しては、あまり評価をしない。創造的な発想とは、牛乳瓶に物を入れるだけではなく、目盛りを付けて計量カップにするという一つ何らかの工夫を付加したものは評価が高くなる。さらに、牛乳瓶を複数使うという発想も重要で、同じ物を入れるのでも、水の量を変えて楽器にするとか、砂を入れて穴を空けた蓋も利用し砂時計にするという発想もよい。並べてボーリングのピンにするとか、砕いて装飾品として使うなどの発想もできるとよい。

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このような発想をする時に、ただどんどん思いつくまま解答するのではなく、1本で何ができるか、2本あったら何ができるか、もっとたくさんあったら何ができるかと考える。複数の場合は、連結する、並べるなどの発想があるだろうし、また砕くとか切るという発想もある。牛乳瓶の底のような眼鏡という表現があるが、まさか眼鏡はできないだろう。それでも、その着眼点は評価できる。

「新聞紙を新聞以外の用途として何に使えるか」という問題もあった。新聞紙の場合も、何かを包む、丸めてちゃんばらという発想はすぐできるだろうが、燃やす、折る、小さく切る、細く切る、つないで大きくする、水につける、溶かすなどという発想をすれば、たくさんのアイデアが出るが、意外とこのようなバリエーションを解答する人は少ない。

ロジカルシンキングとコミュニケーション能力は、社会人になってからでも頑張れば身につくものかもしれないが、創造力をつけるのは、なかなか難しい。それだけに、特に企画部門などに配属を予定している応募者に関しては、採用時にいかに創造力を評価するかが重要になる。

12:20

2011年06月24日

「ヒト」「モノ」「タイミング」の時代(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

「ヒト」「モノ」といえば、「カネ」と続くのが常套でしょう。企業の経営資源としてこれらを有効活用することで、ビジネスにドライブがかかるというわけです。ALBERTはレコメンデーションの専門企業として設立し、「ヒト」と「モノ」のマッチングエンジンを開発してきました。

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最適な出会いの演出には、「ヒト」=顧客 と 「モノ」=商品・情報への深い理解が不可欠であることは、上記図表のリンクページでも詳しく述べています。しかしながら、これからは「ヒト」と「モノ」のマッチングに加え、最適な「タイミング」で提示するということが求められると思います。より高度なレコメンデーションは、パーソナライズで実現するわけですが、同じ人が同じホームページを訪問しても、来る時間帯や時期によって内容が最適化されていてもよいでしょう。また、メールマガジンなどもタイミングよくパーソナライズされたコンテンツが届けば、つい開いてしまうかもしれません。

「Time is Money」という言葉がありますが、20年ほど前に、これからは「Speed is Money」だと言った経営者がいました。しかし、現代においては「Timing is Money」ではないでしょうか。これを冒頭のコトバに代入すると、「ヒト」「モノ」「タイミング=カネ」ということに帰結し、とても納得がいくのが妙におもしろいと思います。

14:47

2011年06月09日

頑張ろう日本!目指せ!節電15%(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

本日、ニュースリリースを出しましたが、2011年7月から15%の電力消費量を削減する政府の要請を受け、当社の電力消費がどのような状況なのか正しい現状認識をした上で分析し、具体的な削減計画を策定しました。そのレポートをこちらにも載せておきます。今回用いたデータは、2009年1月~2011年5月までの動力(エアコン)、電灯(エアコン以外)別、フロア別の消費電力および電気料金、全スタッフ月別の総労働時間、時間外労働時間、深夜労働時間です。

■エアコンの年間平均電力消費量は全体の22.2%

現在当社は3フロアを借りています。1階は受付と会議室等で2階と3階が居室になっています。基本料金は面積比率で割り振られています。動力料金は200Vのエアコン専用電源で、電灯はその他居室で用いる100V電源です。削減は、この動力と電灯部分の電力使用量を指標として行ないますが、エアコンの全体に占める割合は22.2%となりました。



■エアコンの電力消費量は平均気温と大きな相関


平均気温とエアコンの電力消費量の関係を見ると、2次曲線に近似され、平均気温が25℃を超えると一気に消費量が上がります。この結果から夏場のエアコン消費量がいかに大きいかがよくわかります。



■7月~8月のエアコンによる電力消費量は他の月より圧倒的に高い

エアコンの電力消費量がアップするのは、1月~3月の冬場の暖房と、7月~9月の冷房ですが、夏場の消費量のほうが圧倒的に高いことがわかりました。エアコンの設定温度を2℃上げることによる効果4% (※) 、扇風機の併用や換気をすることに加え、エアコンを省エネタイプに切り替えることにより、15%以上の節電が実現できます。
(※)資源エネルギー庁資料「オフィスビルの節電行動計画フォーマット」より



■エアコンの電力消費量への影響度は平均気温が圧倒的に大きい

エアコンの電力消費量と各月平均気温の年間平均との差分の絶対値を取った値、労働時間との関係を重回帰分析で調べたところ、エアコンの電力消費量は圧倒的に月間平均気温の影響度が大きいことがわかりました。気温との関係が大きいということは、昼間の時間帯の電力消費量が大きいということなので、残業が増えてもそれほど消費電力に与えるインパクトが大きくないと考えられます。



■エアコン以外の電力消費量は、パソコンとサーバーで58%、蛍光灯が24%を占める

主な電化製品の電力消費量を調査した結果、エアコン以外で最も電力消費量が大きいのはパソコンで33.5%、次いでサーバーが24.3%。天井の蛍光灯が23.8%となりました。冷蔵庫、冷蔵ショーケース(オフィス置きドリンクサービス)は台数を減らすことで15%の削減が可能。サーバーは削減できないが、パソコン、蛍光灯は使用時間を減らすことによって電力を削減することができます。



■エアコン以外の電力消費量への影響度は深夜労働時間が大きい

エアコン以外の電力消費量と労働時間との関係を重回帰分析で調べたところ、エアコン以外の電力消費量は深夜労働時間が最も影響度が大きく、パソコン、蛍光灯などの使用量が深夜残業によって増大すると思われます。



■消費電力15%削減案

以下の施策をとることで、 2011年7月~9月までの消費電力を昨年同期間の消費電力に対して、15%以上の削減をします。

●動力部分
○エアコン設定温度を2℃上げることで4%の削減
○扇風機の併用や換気をすることで2%の削減
○エアコンを省エネタイプに切り替えることにより、15%以上の削減   →合計21%以上の消費電力削減

●電灯部分
○パソコンは深夜労働時間を削減し総労働時間も5%削減
○蛍光灯は消灯と労働時間の削減で40%削減
○冷蔵庫は使用方法の改善で5%削減
○冷蔵ショーケースは使用しない→2.7%削減
○その他以下の施策を実施
  ・帰宅時はPCのモニター電源を切る
  ・湯沸かしポットは来客数に合わせた水量に、水を少なくして沸騰させる
  ・エレベータの使用を控えて階段を使う
  ・冷蔵庫の利用は最低限にし、不要なもの、賞味期限切れ食品は速やかに処分   →合計15%の消費電力削減



16:37

2011年05月30日

ALBERTは社員の健康を考えています(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

会社の力は社員の力の総和。ALBERTには定年がありません。社員にはいつまでも健康で、やる気をもって働いて欲しい。そのために必要な環境づくりをすることが、結果的には会社の成長、社会への貢献につながると考えています。ALBERTでは、社員の健康を第一に考えたユニークな福利厚生を設けています。

社内で受けられる、週1回のマッサージや月2回のストレッチ教室、インフルエンザ予防接種のほか、今回新たにボディメンテナンス手当の支給を開始しました。ALBERTには定年がないため、健康で付加価値を創出できる限り、いつまででも勤めることができます。しかし、肩こりや腰痛など、加齢による体調不良は誰にでも起きる問題で、ボディメンテナンスを定期的に行なう必要が出てきますが、それには一定の費用がかかります。必要なメンテナンスを行ない、健康管理できるよう、35歳以上の社員を対象に、年齢に応じてボディメンテナンス手当を支給しています。(35歳以上 1万円/月、40歳以上 2万円/月、45歳以上3万円/月。※ただし喫煙者への支給はしません)

喫煙者に支給しないのは、喫煙は明らかに健康によくないと分かっていながら吸い続けている人には、自分の健康を大切にしようという気持ちがないと判断しているからです。私も若い時にはずっと吸っていましたし、煙草を吸う気持ちは非常によく分かります。しかし、若いうちは免疫力もあり煙草の害に対抗できるのですが、年をとるとそれが弱まってきます。

今後の社員採用は原則として喫煙者は採用しません。原則という意味は、やめる気持ちがあるかどうかです。実際、今年に入って入社した社員は、入社後に禁煙しましたし、6月に入社する社員も現在は吸っていますが、止めたいと考えて努力しています。現在、未だ煙草を吸っている社員もいますが、少なくとも35歳の誕生日までには禁煙をし、ボディメンテナンス手当をもらえるようになって欲しいと、心から祈念しています。

13:54

2011年04月21日

正規分布の話(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

ALBERTの事業コンセプトは、「分析力をコアとする情報最適化企業」だ。最適化については、すでにテクノロジーページにアップしてあるのが、分析力についての記述はあまりなかった。今回、『データ分析』というコンテンツを追加した。まだ前半部分だけだが、そもそもデータとは何か、データ分析とは何か、データを読む上での注意事項、さらに正規分布の話という内容で、できるだけ数式を使わず分かりやすく解説したつもりだ。

正規分布の話に関しては、以下のような質問をしている。

「正規分布の形は数式で表せば、簡単に正しい曲線を導くことはできるわけですが、ここでは極力数式を使わずに正規分布がどのようにしてでき、どんな性質があり、どんな使われ方をするのかを説明したいと思います。例えば、図3のように細かく区切られた水槽があったとして、この水槽を正規分布に近い形になるように水を満たすにはどのようにすればよいでしょうか。」

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今回、正規分布製造装置なるものを作ってみた。興味があるかたはこちらの「正規分布の作り方」からどうぞ。

18:17

2011年04月04日

ダイエットにも最適化が必要(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

私は今、人生3回目のダイエットをしている。1回目は1993年頃で、74kgから10kgくらい落として一時期64kgくらいになった。その後ぶくぶく太りだして2008年には瞬間最大体重は85kgになった。10数年経つとはいえ、20kg太るというのは相当なものだ。さすがに人間ドックで栄養士からも、カレーを食べるな、パスタはクリーム味でなくトマト味にしろ、毎日歩け、運動をしろなどといわれ、上村君をはじめとして複数の友人からも体型が変わった、やばい、経営課題だといわれた。そこで特に代替え食品や日々の食生活を中心に改善し、半年くらい頑張って77kgまで落とした。ところが、そこからまた少しずつ気が緩み、今年の年初(2011年の1月9日)に81.3kgまで増加してしまった。

今回3回目のダイエットを決意したのにはいくつか理由があるが、大きなきっかけになったのはぎっくり腰の再発だ。2010年の4月に何の前触れもなくぎっくり腰になってしまい、六本木にある神の手といわれる鍼の先生にお世話になった。先生の記録によると7年振りだそうだ。ALBERTカップをはじめとして3回もゴルフをキャンセルしなくてはならなくなり、やはり健康第一だなと思った。それでもほぼ完治したので大丈夫かとほおっておいたら、12月30日にまたやってしまった。

そこで、さすがに根本的に体を作り直さなくてはいけないと思い、1月7日の誕生日パーティーでダイエット宣言をすることにした。腰痛に関しては、私の場合脊椎間狭窄(背骨と背骨の間が狭くなり神経を圧迫する病気)なので、一時的に牽引等でよくなってもまた自重で元に戻ってしまい、根本的な治療は、体重を落としてストレッチで体を柔らかくして筋肉をつけるしかないといわれている。

幸いにも私の回りには頼りになる先生が何人もいて、栄養関係の大学出身の社員見並は栄養学の立場から、福利厚生のストレッチの関先生からは運動学の立場からアドバイスを頂戴し、初回目標値を75kgとした。そして、開始から3ヶ月弱で6kg落とすことに成功した。

見並のツイートを読んで、改めてダイエットは最適化問題を解くことだと思った。カロリーを気にしつつもビタミンを摂取しなくてはいけないというわけだ。こちらを読むと、ビタミン Dは唯一体内合成できるビタミンで日照により皮膚で合成される。しかし日焼けによるメラニンがビタミンDの生成を妨げるので日に当たりすぎてもいけないとある。まさにトレードオフの関係で、どちらも最適な条件を探さなくてはいけない。

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毎日のメニュー選びも同じだ。上には様々なメニューが示されている。一般的な成人の1日の摂取エネルギーを1,800kcalとすると、栄養バランスを考慮したうえでこのエネルギーを摂るとしたら、上記食品のどれを選べばよいのだろうか。この最適化問題の解き方に関しては、当ホームページの最適化問題のなかの「食事の最適化」をご覧いただきたい。


このように、正しいダイエットには最適化が必要であり、何事もバランスが大切だということを改めて認識した。なお、見並は栄養相談にも乗ってくれているようなので、興味があるかたは連絡をしてみてはいかがだろうか。ただし1名限定なので、締め切っているかもしれないが、その場合はご容赦願いたい。

14:29

2011年03月30日

日本人は最適化が苦手?(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

昨日の勉強会では、実際にエクセルを使って最適化問題を解く演習をした。そもそも最適化とは何か、最適化問題とはどのようなことなのかについては、こちらに詳しく書いているのでご覧いただきたいが、最適化をするということは、一意的に正解が出るのではなく、ほどほどそのあたりでよいのだろうというスポットを探す行為に似ている。塾のテレビコマーシャルでもやっているが、日本とイギリスの算数教育には違いがあるという。、日本では、「8+3=( )」とか「2×6=( )」という問題が多く、結果は誰が答えても同じである。しかし、イギリスの算数は、「足して11になるのは何?」とか「掛けて12になるのは何?」という問題形式だそうだ。答えは1つではないので、確かに創造力が養われるような気がする。

77.jpg

上の図は昨日の勉強会資料の抜粋だが、まさにこの違いを題材にした。日本人が得意ではない問題なのかなとも思った。最適化とは、「制約条件がある中で複数の選択肢を組合せ何らかの成果を出すとき、その成果を最小または最大にすること」であるので、足して77になる整数の組合せの中で、2つの数の差が最小となる解を得るというのは、まさに最適化問題である。この程度の問題であれば暗算でもできるが、練習のためにエクセルを使って解くやりかたを教えた。エクセルにはソルバーという機能がある。ソルバーとは、複数の変数を含む数式において、目標とする値を得るための、最適な変数の値を求めることができる機能のことである。これはエクセルに相当詳しい人でも、なかなか使いこなしていないマニアックな機能ではないかと思うが、使ってみると結構簡単で面白い。そこでこんな問題を作ってみた。

78.jpg

4つの整数の2乗和で、整数を表現してみようというものだ。制約条件としては、左項目のほうが大きいまたは等しいということである。例えば、4なら(1、1、1、1)または(2、0、0、0)で表せる。後者は(2の2乗+0+0+0=4)となるわけだ。10なら、(3、1、0、0)となる。このくらいなら、ちょっと考えれば分かるが、では113だったらどうなのだろう、12345だったらどうなのだろうと考えてみると結構めんどうくさい。しかし、ソルバーを使えば瞬く間に解が出てくる。113は、(10、3、2、0)。12345は、(71、50、48、48)となる。

そこでさらに、じゃあ4つの整数の2乗和で表現できない整数はあるのだろうか。もしあるとしたら、最小はいくつなのだろうかと疑問に思い、ちょっと上村君にどう思うかスカイプしてみた。

[2011/03/29 13:30:12] UEMURA: 唐突ですね
[2011/03/29 13:30:19] UEMURA: 考え込んでしまった・・

そして約37分後・・・・(この間、ほかの仕事をしていたかどうかは不明)

[2011/03/29 14:07:20] UEMURA: ルジャンドルの四平方和定理
[2011/03/29 14:07:26] UEMURA: すべての自然数は、4つの平方数(ある整数の2乗)の和で表すことができる

こんなスカイプを送ってきた。つまり、勉強会でソルバーを演習する題材として適当に私が作った問題が、有名な定理だったわけで、かなり驚いたとともに、37分でその定理の存在を探し出した上村君を改めて尊敬した。どうやって探したかを聞いてみたら、こんな回答が。

[2011/03/29 15:28:30] UEMURA: まず100くらいまで試して
[2011/03/29 15:28:45] UEMURA: あらゆる自然数がある気がして、
[2011/03/29 15:28:57] UEMURA: 式を書いたらフェルマーの定理に似ていると思い
[2011/03/29 15:29:13] UEMURA: きっと何らかの定理があるはずだと思って
[2011/03/29 15:29:23] UEMURA: 自然数 平方和 定理
[2011/03/29 15:29:30] UEMURA: でぐぐった

このような発想というのは、フェルマーの定理を知っているというある程度の知識も必要だが、定理があるはずという仮説構築能力と、それを検索エンジンで探す能力、これらすべてがそろっていなくては解決できない問題である。まさに問題解決力があるというのは、このようなことをいう。イギリス型の算数を勉強してきたわけではないと思うが、最適化の専門企業の社長としては充分に「最適化」の能力を持ち合わせていると再認識した次第である。(ちょっと手前味噌すぎて申し訳ありません・・・)。

12:38

2011年01月04日

2011年は「ALBERT3.0」(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

昨年末にブログを書こうと思って、結局書けずに新年を迎えてしまいました。年末や新年のブログは、それなりに気合いを入れなくてはいけないかなと思うと、なかなか筆が進まないというものです。昨年のエントリーは、『2009年、ALBERTは、「おまかせ!ログレコメンダー」で確固たる基盤を作り、新たな方向性としての「アフィレコ」「カジュアルなCRM」を発表しました。2010年は、これらを「形」にする年です。』という内容で書きました。2010年は、まさにレコメンデーションの専門企業としての確固たる基盤ができた年であり、次世代のソリューションを模索し「形」ができてきた一年であったと思います。

【ALBERT1.0】
ALBERTは2005年に、「教えて!家電」(商品の選択、購入、購入初期から買い替えまで、あらゆるのプロセスにおける消費者の「悩み」を解決するためのお悩み解決サイト)をひっさげ、意気揚々と創業しました。2006年には、「教えて~な(SNS)」「教えて!Beauty」「教えて!ブライダル」「教えて!保険」の”教えてシリーズ”を立て続けにオープンしました。2007年は、これらのメディアのPVアップを実現すべく様々な施策を講じました。”教えてシリーズ”は2008年の9月に閉鎖し、「見つかる.jp」に統合したわけですが、2005年の創業から2007年までが、「ALBERT1.0」~メディアに注力した時代~といってよいのではないかと思います。

【ALBERT2.0】
「教えて!家電」のメインエンジンであった『Bull's eye』は2006年にヤマダ電機に導入され、B2Bビジネスがなかった訳ではないのですが、2007年に「イメージセレクトサーチ」「ファジィスペックサーチ」「るいじしゃく」などのB2B向けのエンジンを開発し、年末には「おまかせ!ログレコメンダー」の商品化も行ないました。そういう意味で、2008年からが「ALBERT2.0」~B2Bに軸足を移したフェイズ~に入り、2010年まではレコメンデーションの専門企業としてカスタムエンジンの『Bull's eye』とアクションアソシエーション型(いわゆるアマゾンタイプ)である「おまかせ!ログレコメンダー」を中心に売上を拡大し、業績の安定化を図りました。

【ALBERT3.0】
そして今年2011年は「ALBERT3.0」~最適化元年~として新たなフェイズに突入します。レコメンデーションとは、対象者にとって価値があると思われるコンテンツ(商品や情報)を提示すること、即ち生活者に最適なコンテンツ提示する「最適化モデル」といえます。ALBERTでは、いわゆるアマゾン型のレコメンドエンジンから、広告のマッチングや最適化、WEBサイトの最適化、One to oneマーケティングを実現する最適化など、分析力をコア・コンピタンス(Core competency)と位置づけ展開していきます。

昨今、「○○オプティマイズ(最適化)」という言葉がよく使われるようになりました。最も馴染みがあるのは検索エンジン最適化「SEO(Search Engine Optimization」でしょう。その他にも、LPO(Landing Page Optimization)、EFO(Entry Form Optimization)、広告業界でも、リスティング広告最適化、バナー広告最適化、広告主最適化(DSP / Demand Side Platform)、媒体収益最大化(Yield Optimization)などという言葉が出て来ています。

なぜ、ここのところ「最適化」という言葉がもてはやされているのでしょうか。そもそも「最適化」とは何なのでしょうか。数学の世界では”最適化問題”というのがあり、「ある制約条件のもとで関数を最大化または最小化する解を探す」ことをいいます。この場合の「最適」という意味は、最大や最小ではなくほどほどのところに最適なピーク(状態)があるという意味だと思います。ある制約条件があるという意味は、何らかのトレードオフ関係があるために、最大や最小を目指すことができず、最適を探さなくてはならないわけです。また、そもそも最大や最小という概念のない、クリエイティブやユーザビリティなど、情緒的なコンテンツや概念においては、「最適化」という言葉が相応しいでしょう。

上村をはじめとして、料理をする男性が増えているようですが、塩や砂糖の量は、少なすぎても多すぎても美味しくできず、最適な量というものがあります。ほどほどを見つけるというのが、最適化の神髄ではないでしょうか。2011年ALBERTは、「分析力をコア・コンピタンスとし生活者に最適なコンテンツ(商品や情報)を届ける仕組みをつくる企業」として、大きく羽ばたきます。

01:13

2010年10月31日

ロングテールの真実(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

またまたかなりご無沙汰してしまったが、今回はロングテールの話をしたい。明治大学の社会人大学院MBSでも社内の勉強会でも、何回となくWeb2.0の概念やロングテールの話をしてきたのだが、どうもきちんと理解している人が少ないように思う。ロングテールの説明を求めると、20:80の法則と同じではないかとか、80%のテール部分を売る手法だとか、あまり売れないボルトのようなものだとか、あまりピンとくる回答が得られない。

なぜ、このような誤った解釈があたりまえのように語られるのかを考えてみた。Wikipediaによれば、『The Long Tail(ロングテール)とは、「あまり売れない商品が、ネット店舗での欠かせない収益源になる」とする考え方』とある。この説明だけではよく理解できない。しかもロングテールを説明する多くのサイトに、図1のようなパレートの法則(20:80の法則)の図が描かれ、左側の上位20%がヘッドで右側の80%がテールであると説明しているわけだ。このグラフは50商品を扱っている仮想店舗を想定し、売上順に商品を並べて棒グラフにし、累積売上を折れ線グラフにしたもので、20:80の法則が成り立っている。

これではほどんどの人が、20:80の法則と同じだとか、80%の部分がロングテールだと思いこんでも仕方がない。しかし、正しい説明では、

『品目別売上の上位20%が「ヘッド」、下位80%が「テール」。「ロングテール」は、「テール」による売り上げが「ヘッド」による売り上げを上回る現象のこと

と書かれている。正しくロングテール現象をグラフにすると図2のようになる。このグラフは図1の店舗がネット販売を始め、500商品まで商品数を増やしたが、増やした商品は1個ずつしか売れなかったと仮定して作ったグラフだ。

左に青線で囲んだ部分は、図1をうんと縮めたと思って欲しい。そこから500商品までのグラフを書いてみるとこのようになる。すなわち、左側の青線で囲んだ部分だけを見れば、確かに20:80の法則が成立しているが、全体としては、60%の商品で80%の売上をカバーしているので、20:80の法則は成立せず、60:80になっていることに注目して欲しい。

そしてテールの部分がヘッドの部分の売上を超えるというロングテールを説明するなら、このような図でなければならない。延々と続くテールの売上、1年に1個しか売れない商品も、ちりも積もれば山となり、ヘッドの売上を超えてしまう。これをロングテールといい、この現象を可能にしたのが、インターネットでありWeb2.0というわけだ。

Wikipediaには以下のような説明があり、かなり正しい説明だと思うが、これを図にすれば図2のようになるわけで、20:80の図でロングテールを説明するのは誤解を生みやすいのでやめたほうがよいと思っている。

(以下Wikipediaより抜粋)

『ロングテールを語る際には「ヘッド」と「テール」という言葉が使われる。厳密に言うとロングテールにおける「ヘッド」とは現存する最も大きな小売店に置いてある商品の集合体(あるいは数)を指し、「テール」とはそれ以外の商品を集合体として呼ぶ際に使われる。本の分野だと最も巨大な店舗に置いてある商品の売り上げ上位から下位全てがヘッド部分に属し、それ以外はテールに属しているということになる。これはロングテールがオンライン小売店の特徴的なビジネスモデルを説明するために使われ始めた点と符合する。

しかし「ヘッド」はしばしばヒット作や多くの人たちが知っている作品・ブログ等を呼ぶ際に使われ、テールはそれ以外を指す際にも使われることがある。またパレートの法則から上位20%をヘッド、下位80%をテールと呼ぶこともあるがこれはそもそもの言葉の定義上必ずしも正確な使用法ではない。

しかしロングテールという言葉が普及するにつれ、元々の意味を拡張した解釈がなされており、必ずしもこれらの使い方が不正解とは言えないところである。』


19:50

2010年09月07日

テーラーの科学的管理法(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

私が「テーラーの科学的管理法」について知ったのは、マルマン創業者である片山豊氏の勉強会(社長教育)だった。材料化学科を卒業し8年間は純粋な技術屋だったので、経営や経済の勉強をする機会があまりなかった。今思えば、号令がかかれば商談中でも集合しなくてはならないような超ワンマン会社で、日々徹夜に近い業務に忙殺されながらも定期的に行なわれた勉強会は非常に有意義で、経営者としての自分の礎を作ったと言っても過言ではない。テーラーの科学的管理法に限らず、フォードのコンベアによる大量生産方式、かんばん方式、シュンペーターの新結合、倫理学、弁証法など、あらゆるビジネスの基礎を習得し、人としての教養を身につける機会であった。

ビジネスにおいて、「勉強」というものは、運動部が基礎トレーニングをみっちりやるのと同じだ。直接的にボールを打ったり投げたりしなくても、日々走ったりストレッチをしていなくてはいけない。忙しいからとか他にやることがあるからといって、直接業務ではない「勉強」をしなくていいものではない。暇になったらやるという人ほど、暇になったら何もしないものである。監査役面談で、「今は勉強会をやる時期ではない」という意見を言う社員がいたらしいが、言語道断である。朝の一言のコメントでも話したが、勉強というものは、すればするほど自分の無知を知るものであって、立ち止まって勉強しなくてよい時期があるわけがない。

そういう意味で、30代の時にこのテーラーの科学的管理法などを勉強した(無理矢理させられた?)ことは、とても感謝しているし、忙しいといって拒否していたら、おそらく後からはやらなかったと思う。それに業務時間を見ても、ALBERTは毎日泊まり込むような会社ではなく、大して忙しくはないのである。「あなたの為だから!」という外為オンラインのCMがあるが、将来必ずやよかったと思うはずなので、無理矢理にでも教育は続けるしテストもする。

さて、その「テーラーの科学的管理法」だが名著復刻で新訳が出た。、これは生産現場のことだけではなく、マネージメントや経営管理の原点ともいわれている。特に私がこの「科学的管理法」に共感するのは、「雇用主と働き手の利害は、最終的には一致する」という信念を拠り所にしているということだ。組合不要論もここから来ている。「雇用主と働き手が、ともに最高の豊かさを手にするには、誰もが効率化を追究し、出来高を最大限に増やす他に方法はない。」「仕事の非効率を一掃すれば生産コストが低減し、賃金の上昇と労働時間の短縮が可能となる。」こういった考えかたは、まさにALBERTの企業理念の原点でもある。

ALBERTは、一部上場企業の平均に比べて、休みは1.5倍、所得は2倍を目指している。私自身、この方針はもう20年近く変えていないし、その方法論や考え方は、テーラーの影響を受けているのだと思う。1911年に書かれたという、かなりの古典的名著だが、今でも色あせることなく現代社会でも通用する内容である。

15:04

2010年08月10日

正しい現状認識をしなさい(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

元IBM会長のルイス・ガースナーは、「ハーバードビジネススクールで学ぶ最も重要なことは、状況がはっきりしないまま、限られた情報と限られた時間の中で、いかに事態を分析し、判断を下すかということだ」と述べたそうだが、ビジネスの現場でも全く同じことがいえる。いかにロジカルに問題を解決するかが、優れたビジネスマンかどうかを決めるといってよいだろう。

その第一歩が、「正しい現状認識」だと思う。このことは社内では何回も言っているのだが、未だに実践できていない人が多い。先日の勉強会「議論の仕方」では、5つの不毛な議論の話をした。その中に、次のようなものがある。

(1)問題でないことを問題と言っている
 →問題かどうかをまず議論する

(2)意見や思いこみだけで議論している
 →意見(コメント)と事実を明確に分ける

代官山時代のインタースコープでもあったのだが、ある人が「社内のコミュニケーションがうまくいかないと言っているので何とかしよう」という議論になった。こういう場合は、まずその人が何を社内のコミュニケーションと考え、何をもってうまくいっていないと感じているかを知る必要がある。また、それ以外の人がどう感じているかも聞く必要がある。

その上で、その原因を明らかにし解決すべきは解決すればよいのだが、なぜか当事者でない人々が、「あの人はなぜコミュニケーションがうまくいかないと感じたのだろうか。きっとこうだよ、そうかな、でもこうこうでないかな、いや違うよ。」などという不毛な議論をしていることはないだろうか。

これは実際にあった話なのだが、その人が別の人に、ちょっと愚痴をこぼしたことが原因で話が大きくなってしまっていただけで、本人さえも問題と思っていなかったのである。このように、問題でないことを問題だ問題だと話を大きくする人がいたり、それを自分の意見や思いこみだけで議論したりすることが結構多い。

クライアントからクレームがあった時なども、何が問題なのかを明らかにせぬまま、そのクレームを中途半端に受けて来たのでは解決のしようがない。まずは、正しい現状認識が必要だ。簡単に思える正しい現状認識が、なぜこれほどできないのだろうか。以下の3つのパターンがあるように思う。

(1)正しい現状認識がどういうことか分かっていない。
(2)自分では正しく現状認識していると思っているが、実は充分に理解できていない。
(3)正しい現状認識だと思っていないが、どうすれば正しく現状認識できるか分からない。

さすがに(1)はもう分かってもらえると思うが、(2)は比較的難しい。何かを理解する時に、表面だけで分かった気になる人は結構多く、つっこんでみると分かっていないというパターンだ。自分では理解しているつもりなので、人からつっこまれないと気づかないわけである。(3)はコミュニケーションの問題がある。ヒアリング力にもロジカルシンキングが必要だが、相手から正しい現状を聞き出す力がないと、当然自分も正しい現状認識ができない。

ロジカルな問題解決のための第一歩である、「正しい現状認識」をぜひ心がけて欲しい。


11:56

2010年07月25日

職能テスト実技の部(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

前回お伝えした通り、ALBERTでは年2回職能テストを行なっているが、職能テストには2種類ある。一つはペーパーテストで、どちらかと言えば知識を問うもので、もう一つが実技テストだ。実技テストは何らかのテーマに関して、分類整理して体系化するものだ。分類、整理、体系化は科学そのものであり、ロジカルシンキングの基本である。何か問題が起きた時に、正しい現状認識をする必要があるが、その時にその問題を分類、整理、体系化できるかどうかで、その人の問題解決力が決まる。

さて、今回のテーマは「一般生活者が携帯する電子機器を分類、整理し、体系化してください。」というものだった。約30分でこれをパワーポイント等にまとめなくてはならないので、例えば携帯電話の機能や機種までブレークダウンしてしまったらとても終わらない。まずは、木を見るのではなく森を見る必要がある。

分類、整理、体系化には色々な切り口が考えられる。従って正解はないが、より説得性がありキレのよい軸を設定する必要がある。今回の回答の中で、なかなか面白い切り方があったのでいくつか紹介しよう。

(1)アナログとデジタル
(2)使用目的(ビジネス-コミュニケーション-エンターテインメント)
(3)利用者世代(中高生-大学生-社会人)
(4)通信機能の有無
(5)機器の大きさ
(6)新しい-古い

それぞれに、納得のできる切り口であるし、これだけの発想ができるようになっただけでも、1年前から比べれば格段の進歩だと思う。優れている回答者のものを元に、模範解答例を人事に作ってもらった。さぞ大変だったことと思う。


23:39

2010年07月20日

2010年夏の職能テスト(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

先週行なった職能ペーパーテストの採点が終わりました。その中で、一般教養の部を公開します。内容はすべて監査役勉強会などで習ったことばかりなので、きちんと聞いていれば、誰でもできる易しい問題でした。満点は1名、1つだけ間違えた人が1名でした。さて、読者の皆さんはいかがでしょうか。


1.参議院は(          )とよばれ、豊富な知識と経験を持つ国民の代表が良識をもって、政治判断をする場とされる。衆議院には(      )があり任期が短いが、参議院は衆議院の議決を冷静にチェックし、(      )的な視点で善し悪しを見極めることが期待されている。

2.衆議院(   )歳で立候補できるが、 参議院はより深い専門知識や経験が必要とされるという理由で(   )歳以上でなくては立候補できない。

3.異常に増え続ける癌細胞の中に、とりわけ増殖能力の高い(        )という親分細胞が見つかった。

4.ブルーオーシャン戦略とは、競争のない市場に製品を投入することだが、(        )を下げかつ(        )を上げることが必要とされている。逆に競争が激しい市場を(            )という。

5.ALBERTの考えるOne to oneの最初のOneの意味は1(          )である。真のOne to oneとはお客様が買いに来られた時に、あたかも実際の店舗の商品知識が豊富で気配りのできる(         ) のようにあなたの好みを知っており、(        )の心を持って好みのものを提供してくれることを言う。

6.会社は、(      )時間中に、会社の負担において毎年(  )回定期に健康診断を行なう。
従業員は、正当な理由なく、会社の実施する当該健康診断ないしは会社が必要性に応じて勧める健康診断を(      )できない。

7.会社は1ヵ月における(              )が(     )時間を超えた者について(     )による 面接指導を受けさせるものとする。(就業規則に制定する)

02:04

2010年07月05日

シンプソンのパラドックス(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

毎週木曜日に行なっているデータ分析勉強会は、既に7回が終わっているが、ブログにアップすることをさぼっていて、ブログでは第2回目となってしまった。今日は『シンプソンのパラドックス』という有名な統計的パラドックスの話をしたい。

その前に、「パラドックス」とは何か?ということなのだが、パラドックスとは「逆説」の意味で、常識とは逆と説明されるが、少し分かりづらい。もう少しくだいていうと、あたかも正しいそうな仮説に基づいて構築された説明なのに、どう考えても納得できないような結論が出ることをいう。

例えば足の速いアキレスは前を歩く亀を追い抜けないという有名な「アキレスと亀のパラドックス」。亀はアキレスより前を歩いている。アキレスが亀がいた位置に到達した時には亀は前に進んでいる。再度アキレスが亀の位置に到達したときには亀はさらに前に進んでいる。こうしていつまでたってもアキレスは亀に追いつけないというものだ。結論は到底納得できないにもかかわらず、結論を導く論証過程自体は正しそうに見えるのでこれを正しく論破するのは難しい。

さて、今日のお題であるシンプソンのパラドックスだが、これはE.H.シンプソンによる統計学的なパラドックスで、母集団での相関と、母集団を分割した集団での相関は、異なっている場合があるというものだ。アンケート調査で、クロス集計(層別)をすると全体集計(GT)では見られなかった傾向が現れることがあるが、それとは全く別物であり、到底納得できない結果が出るのである。

あるメーカーが口内炎に効く新商品を開発したとしよう。既存商品との違いを確かめるために、それぞれ口内炎を患う100人を抽出しテストを行なった。その結果が以下の表である。(社長の上村がこのテストに参加したかは定かではない

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この表を見ると、良いとした患者が既存商品では55%だったのに対し、新商品は58%と3ポイントアップしていた。「よし、新商品は開発に成功した!」と考えて良いのだろうか。3ポイントに有意差があるかはここでは議論しないとして、ごくあたりまえの商品企画や開発担当者やリサーチャーであれば、いやもう少しブレークダウンして男女別に見るべきだとか、より詳細な分析をするだろう。そこで男女別に見たのが以下の表だ。

detakaiseki02_2.JPG

この表を見ると、予想通り新商品は男性には効果があったようだが、女性には既存商品のほうが良さそうである。このまま発売していたら、女性には効き目の弱い商品を発売してしまうことになっていた。

ここまでは、ごく普通のクロス集計の考えで、よくある話である。パラドックスはここから始まる。念のために年代別にはどうなるかを見てみたのが次の表だ。

detakaiseki02_3.JPG

さて、この表を見て皆さんは何を発見するだろうか。もちろんテストは今回行なったそれぞれ100名に対する結果だ。先ほどは男女で効果がある、ないが分かれた。しかし年代別に見ると、20代は45%と既存商品のほうが3ポイント良い結果になっており、30代を見ても67%と1ポイント良い結果になっている。

合計すれば明らかに新商品のほうが3ポイント良かったものが、年代別に見たら、どちらも既存商品のほうが良くなってしまっている。これはどういうことなのだろうか。まさに、「母集団での相関と、母集団を分割した集団での相関は、異なっている場合がある」の実例だ。分割した集団の両方で悪いものが、合計すると良くなることがある。何となく狐につままれたような消化不良な話しかと思うが、なぜこのようなことが起きるのか、皆さんで考えてみていだだきたい。回答やご意見はツイッター@ygiskeで(w)。

02:14

2010年06月18日

卓球大会の組合せと賞品決定(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

自己申告などを含む事前投票で組合せを決定しました。賞品は、なんと「ニンテンドーDS」「デジカメ」「ビデオカメラ」から好きな物を選べます。3位決定戦も実施します。ルールは11点で2ゲーム先取。サーブは2本で交替します。

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15:57

那須社員合宿(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

今日は社員合宿で那須に来ています。まず初めに社長の上村から、「ALBERTの将来」と題して理想のビジネスモデルや成長戦略に関しての話しがありました。遅めのランチはカレー、その後「すごい会議」にのっとった、コミットメントリストの共有をします。夕方は卓球大会、ダブルスのトーナメント戦を行なう予定です。

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14:03

2010年06月14日

なぜ癌は怖いか?(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

今回、IVSに行って、「最近ブログ書いてないですよね。楽しみにしてるので書いてください」と、ある人に言われ、ふと思った。140文字ではちょっと書ききれないことを書けばいいのだと。無理に140文字に抑えようとしたり、そのために言いたいことが言えなかったりすることがあるので、そういう時にはブログにしよう。

今朝の保月監査役のプチ勉強会は「癌」について。監査役からの質問は「なぜ癌は怖いか?」だった。

こういう質問は、色々な答えがあって面白いなと思って、皆さんの回答を聞いていた。菅さん(総理ではなく当社の社員)のように、ガン細胞の「性質」に関して答える人もいれば、かかったら死ぬから怖いと答える人もいる。これは、イノベータ理論における判断に似ていると思った。イノベータは規格や事実を自分で判断して意思決定するが、フォロワーは要するに何なんだという結論を人から聞いて意思決定をする。

癌に詳しい人は、よりスペック的な答え方をするし、私のように癌家系で親戚に癌で亡くなった方が多い人は、スペックより情緒的な事を考えてしまう。あとは、出題者がどんな答えを期待しているかだが、今回は間違いなく前者なのだろう。ただ、前者の回答をピンポイントで望むなら、「なぜ癌は怖いか?」ではなく、「なぜ癌の死亡率が高いか?」とか、よりスペック的な(ベネフィットはちょっと違うが図で言えば上のほう)質問をすればよい。

大きな概念で質問をすれば、様々な回答が期待できて面白いし、絞った質問をすれば、より深く細かく意見を聞くことができる。インタビュー調査や面接、人とのコミュニケーションにも応用できる。

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11:48

2010年05月20日

第1回データ分析勉強会(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

新しいスタッフが増えて、分析力を武器とするALBERTとしては「スタッフ全員にデータ分析のセンスを持ってもらいたい」という気持ちを込めて、1回60分の勉強会を12回に渡って毎週行なうことにした。初回はデータ分析がなぜ必要かというお話。

野村監督がID野球で万年Bクラスの球団を優勝に導いた大きな要因がデータ分析であった。同様に企業においては、BI(Business Inteligence)という概念に注目が集まっている。アクセスログをはじめ、データは山のように取得できる時代になったが、本当に活用している企業はそれほど多くないと言われる。そのあたりの話は別の機会にするとして、まずは非常に基礎的な「平均の罠」という話から。

質問)あなたは就職活動をしています。以下の2社が候補に挙がったとしたらどちらを希望しますか?

A社 平均年齢 30.8歳、平均年収 807万円
B社 平均年齢 31.8歳、平均年収 620万円


今日の生徒は全員A社がいいと答えた。当然だろう。社員も若いし給料も高いのだから。もちろん、業種や地理的条件など、他のパラメータが違えばB社がいいということもあるだろう。しかし、ここではそういうことは分からないとすれば、普通に考えればA社がいいはずだ。

ところが、極端な例だが、一人ひとりの年齢と年収が以下のようだったらどうだろうか。

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A社は1人超高給の古参社員がいて、あとは新人ばかり。逆にB社は新人中堅ベテランがうまくバランスしている。しかも、同じ23歳の給与を見るとB社のほうが圧倒的に高い。

データを見る時に、平均で語るのは非常に危険だという例である。これは、中国の平均世帯年収などでも同じことが言える。沿岸部の一部の富裕層が全体年収を引き上げているために、内陸部の実状が見えなくなっている可能性もあるということだ。

ログデータの分析なども全く同じだ。平均購買数が3個だとしても、ほとんどの人は1個しか購入しておらず、一部の業者と思われる人が何百個と購入している場合もある。従って、このような分析を行なう時には、まずはヒストグラムを作り、どの範囲のデータで分析をするかの方針を決めなくてはいけない。平均だけを聞いて納得したり対策を打ったりすることには、非常に危険を伴う。

19:03

2010年04月30日

メールの常識「自己流」に潜むマナー違反(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

4月も今日で終わり。ブログを1回も更新していないことに気づいた。今日は先日日経産業のビジネススキル覧に載っていた表題の件について書こうと思う。メールはビジネスのコミュニケーションツールとして、もはやなくてはならない存在だが、3つのマナー違反があるという。

(1)html形式のメール

私自身は、前職の時から「ウイルスの危険性があるので、絶対にhtml形式でメールを受信するな」と教えられ、受信しない設定になっているのだが、テキスト形式でやりとりするのがマナーだとされている。それでもhtml形式でメールが来ることがあり、とても読みにくいものになっている。

(2)開封通知

これは、私の場合なぜか大学関係者から受ける場合が多い。開封した瞬間に開封通知をリクエストされるものだ。送付した本人は相手が読んだかどうか分からないので不安なのだろうが、毎回確認されるのはとても不快だ。冗談の様な話で、「今メール送ったんですけど届いてますか?」と電話をする人もあるらしい。気持ちは分からないではないが・・・。

(3)重要度設定

やたらと「重要度高」マークをつける人。開いてみたら、どう考えても重要と思えないことがあるという。私の場合、ゴルフや私用の連絡の時に、「重要度低」マークを使うことがあるが、社外に対しての「重要度高」は取締役会議のお知らせや経営情報の開示の時くらいしか使わないようにしている。

この3つの機能は、効果的に使えば便利だが、間違えるとマナー違反、常識知らずのレッテルを貼られてしまうので注意したい。

14:30

2010年03月25日

喫煙所がツイッターになる日(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

昨日、日経電子版がスタートしたが、日経産業は相変わらず紙で読んでいる。その中でもビジネススキルのページには非常に参考になる記事が多く、このブログでも「部長のための経営学講座」は、何回か取り上げている。今連載しているのは「意志疎通と志気向上」。職場のコミュニケーションに関しては、多くの企業で経営者、管理者の頭を悩ませているのではないかと思うので参考になるだろう。

今回の講座は、経営学検定試験協議会の木下潔氏が監修しておられる。冒頭に「活力のある組織では、情報の伝達や交換があちこちで頻繁に行われ、日常的に迅速な意思決定が行われている。」とある。裏を返せば、「情報の伝達や交換があちこちで頻繁に行われず、日常的に迅速な意思決定が行われないと、活力のない組織になる」と読める。当社も、たまたま今日プチ席替えを行なった。事業を推進するリーダーと上村君、私がかなり近いところにレイアウトされた。

社内のコミュニケーションの円滑化に、オフィスが1フロアであることが非常に大きな要因であることは、経験上も充分理解している。しかし、まだまだ高額の家賃を負担できるほど成長していない、創業から日の浅いベンチャーでは、比較的廉価な小さなビルで、複数フロアを借りることが多い。様々な工夫をしてコミュニケーションの円滑化をするのだが、それでもALBERTでいうところ「リアルC.C.(となりで議論していることが聞こえてくる)」という方法は、会議やスカイプでは達成できない重要なコミュニケーションの場だ。そういう意味で、今回社長が陣頭指揮を執り実行したレイアウト変更は、いたるところで「ワイガヤ」が起き、すでにもうその成果を出している。

以前、場のマネージメントということについてこのブログで書いたことがあるが、会議やスカイプではない非公式な情報共有の場として、「飲みにケーション」は非常に重要である。もちろん、ALBERTではかなり頻繁に社内での「飲みにケーション」が図られていると思うが、もう一つの情報交換の場として意外に重要なのが喫煙所である(であった)。特に前職のインタースコープにおいては、田部社長も含めてこの場で情報交換が行われることが多く、今回の連載にも書かれているが、煙草を吸わないのに煙を我慢して喫煙所に出入りする人もいたくらいだった。

しかし、最近は喫煙する人の数が減り、また喫煙所がビルの外という企業も増え、その機能が失われつつあるという。実際、ALBERTでも喫煙人口は2人になってしまい、玄関横の「タバコミュニケーション」はあまり機能していないのではないかと思う。それに代わって注目されているのが、ツイッターだ。先日のWBSでもツイッターが職場のコミュニケーションツールとして使われていると報じていたが、ALBERTでも少なくとも代表者とALBERTアカウントのつぶやきは全員が読むように指導しているし、もちろん業務中のツイターも公私関係なく奨励している。

また、私は明治大学大学院のMBAで教えているが、講義外での学生との質疑やコミュニケーションはツイッターで行なっている。もちろん、そのクラスでの質疑なのでクローズで行なうが、全員必須にしている。MBAで私の授業を受けるような社会人でも、ツイッターアカウントを持っていない人もおり、まずはツイッターのやり方から教えなくてはいけないのだが、少なくともイノベーション論を受けるような学生には、最低限アカウントを持って活用できるようになって欲しいと願っている。

ツイッターがキャズムを超えるかという議論もあるが、単純なミニブログ的な使いかたではなく、企業がプロモーションや広報に活用する事例がどんどん増え、今後は社内ツールとして喫煙所に代わる情報交換の場としても機能するのではないかと思う。

13:08

2010年02月15日

すごい会議(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

私が大橋禅太郎氏の「すごい会議」に出会ったのは、2001年11月8日、インタースコープ設立1年半後であった。その時の丸一日のセッションも、非常に衝撃を受けたのではあるが、色々な問題があって正直あまり機能しなかった。(すごい会議の問題ではなく、インタースコープ側の問題で)。あれから9年以上が経過し、今回は株式会社インスパイラル代表取締役であり、すごい会議マネジメント黒帯コーチである芳地一也さんにコーチングをお願いした。芳地さんとは、インタースコープに出資していたグロービスに在籍されていた時にお会いして以来のおつきあいだ。その芳地さんが、このたび『クリティカルシンキング』という書籍を出版され、そのご連絡を頂戴したことをきっかけに、今回の「すごい会議」をお願いすることにした。

「すごい会議」と言われても、何がすごいのかはすぐには理解できないと思うが、色々とすごいところがある。本当のすごさは、『クリティカルシンキング』を読んでいただきたいと思うので、ここではあまり紹介しないが、いくつか「すごい!」と思ったことを紹介したいと思う。

その前に、事前に準備するものが色々ある。その一部を紹介したい。

(1)縦76.2cm 横63.4cm の3Mのばかでかいポストイット
(2)7.5cm x 7.5cm のポストイット人数分(出来れば「強粘着」版がベター)
(3)7.6cm x 12.7cm のポストイット人数分(出来れば「強粘着」版がベター)
(4)黒の新品のホワイトボードマーカー細め 参加人数+2本
(5)青と赤のホワイトボードマーカー細め2本ずつ
(6)全員にペットボトルの水
(7)ポットに入ったコーヒーや大きなペットボトルのお茶など十分な飲みもの+紙コップ等
(8)クッキー等の砂糖が入ったスナック(脳にエネルギーを供給します)

このばかでかいポストイットは、インタースコープでも使ったが、強粘着版は使わなかったような気がする。この組合せは、色々な場面で使えそうだ。ホワイトボードマーカーに関しては、よく他社に行くと、どのマーカーで書いてもほとんど出なくて、思い切り振ったり、無理矢理ボードに押しつけて書いたりした経験をお持ちのかたも少なくないのではなかろうか。そもそも書けないマーカーの蓋をまた元に戻して、そこに放置する人の気が知れない。だいたいそういう会社はダメな会社だということで芳地さんと意見が一致した。そんな会社が多いので、新品のマーカーを準備させるのである。

さて、座席のレイアウト。従前ではロの字が多かったのだが、広報ブログの写真でおわかりの様に、今回はなるべく人と人の間をくっつける配置で行なった。机上にはパソコンはなし。携帯もマナーモードではなく禁止。途中で、ちょっとトイレにとかで一人退出というのもなし。トイレに行きたい人は事前に申告し、全員そろって行かなくてはならない。

この様なルールで会議を進めるのだが、発言はほとんどの場合、全員が紙に書いてから発言する。このことの効果は非常に大きい。『定性調査手法として代表的なグループインタビュー(グルイン)は、熟練したモデレーター(司会者)の進行によって、対象者相互の刺激(グループ・ダイナミズム)により個人へのインタビュー調査では得られない発言・話し合いの展開が期待できる』と言われる。確かにそういう効果もあるだろうが、ある調査でスーパーで買える安い和菓子と、老舗の超高級和菓子を準備しておき、5人の被験者に食べてもらう。ただし、そのうち3人はサクラであり、どれが高級和菓子か知っている。その3人は、わざとスーパーのほうを高級で美味しいと言う。すると、何も知らされていない2人は、それに同調したそうだ。何グループで繰り返し実験をしても、ほとんどの人が、スーパーのほうを高級和菓子だと答えたという。

つまり、グループインタビューという手法は、モデレータのレベルがよほど高くない限り、オピニオンリーダーの意見に引っ張られる。この現象は、以前から知られているが、今回のすごい会議を実施してみて、このノウハウを応用することで、「すごいインタビュー調査」ができるのではないかと思った。私は既に調査会社を卒業(または中退)してしまったので、これ以上突き詰めようとは思わないが、すごい会議は、リサーチに応用できるという確信を持った。

このクリティカルシンキングは、論理的思考法(ロジカルシンクイング)の基礎を徹底的に解説しており、リサーチ会社やコンサルティング会社ではなくても、問題がありそれを解決したいと思っているすべての方々にお薦めしたい書籍だ。

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20:06

2010年02月08日

ツイッターとナラティブ(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

ツイッターはキャズムを超えたのではないかと思う。週刊ダイヤモンドに特集され、3月号の日経トレンディ「次世代ネットの衝撃 クラウド・Twitter・電子書籍」でも特集が組まれている。テレビでもWBSはもちろんのこと、NHK教育のめざせ!会社の星でも取り上げられた。

一方、「ナラティブ」という言葉は、あまり聞き慣れないと思う。「物語」「話術」「語り口」といった意味だが、現代精神医学で用いられている精神療法の一つで、「ナラティブセラピー」ともいわれる。自分の経験や出来事を誰かに説明する陳述であり、複数の出来事が時系列に並んでいるのが特徴だそうだ。

ツイッターは、ある意味まさにこの「ナラティブ」ではないかと思う。なぜなら、一つひとつのつぶやきは、連続的ストーリーにはなっていない。しかし、誰かが「寿司食いたい気分」とつぶやいたことに、「一緒に行こうか」とか「昨日は何食べたの?」といったつながりや、「ネタは何が好きなの?」とか、「旨い寿司屋知ってるよ」「実は昨日いい店みつけたんだ」といった、複数の出来事の関連性が付加されることで、短いつぶやきがストーリーとなっていく。

短いナラティブ(つぶやき)が、共感や問いかけによって、最初の語り手の予想を超えるストーリーが出来上がる。このことは、ある意味、メディチインパクトでいうところの交差点であり、ドラッカーのいうところの予期せぬ成功のひとつのパターンではないかと思う。

ある人に、「今晩、新宿で寿司食おうと思うのだけど、一緒に行かない?」とメールなり電話なりをしたとして、もしその人の都合が悪く断られたら、多少のがっかり感があるだろう。仕方なく別の人を誘ってまた断られたら、もう今日は帰ろうと思うかもしれない。しかし、「寿司食いたい気分」とつぶやけば、共感して一緒に行ってくれる人が現れるかもしれないし、例えそういう人がいなくても、旨い寿司屋や好きなネタの話で盛り上がれば、じゃあ明日なら行けるよという話しになり、気持ちよく帰れるのではなかろうか。

人間には、頭の中で物語を作りながら考える「ナラティブモード」と、論理的、科学的に考える「パラディグマティックモード」という思考形態があるそうだが、両者は相互補完の関係にあり、現代社会において、論理や法則や必然ではなく、ゆるやかな絆の中で、お互いの偶然性や交差的パッションを基にして、新しいストーリーを作って行くことが重要なのではないだろうか。特にイノベーションを起こすという意味では。

19:54

2010年01月05日

2010年の抱負(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

皆様、新年明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

2009年、ALBERTは、「おまかせ!ログレコメンダー」で確固たる基盤を作り、新たな方向性としての「アフィレコ」「カジュアルなCRM」を発表しました。2010年は、これらを『形』にする年です。

「アフィレコ」は、メディチインパクトの著者であるフランス・ヨハンソンのいう「交差的イノベーション」と位置づけることだできるでしょう。また、「カジュアルなCRM」は、イノベーションのジレンマの著者であるクリステンセンのいうところの「破壊的イノベーション」であると思います。

どちらも、その発生はちょっとしたひらめきやアイデアから生まれています。「これをこうしたらよいのでは」という様なアイデアは、いくらでも浮かびます。しかし、それがクリエイティブであるかどうかは、「新しいかどうか」「価値があるかどうか」で決まります。そして、そのアイデアがイノベイティブになるには、「実現するかどうか」が重要なのです。心理学者であり創造性に関する研究の第一人者であるミハイ・チクセントミハイは、「ある思考が正しいかどうかは、何らかの基準に照らさなければわからないし、それが価値があるものかどうかは、社会的評価を得るまで明らかにならない」と述べています。つまり、「アフィレコ」がイノベイティブかどうかは、実際に人びとの目に触れ、使われ、評価されなければならないわけです。そういう意味において、レコメンデーションという道と、広告という道の交差点から生まれた交差的イノベーションである「アフィレコ」の真価が、2010年に明らかになると言っても過言ではないでしょう。

一方、「カジュアルなCRM」は、過去のCRMに関する多くの失敗が、イノベーションのジレンマに陥っているのではないかという疑念に基づいています。イノベーションのジレンマという著作は、クリステンセンが1997年に発表したものですが、あまりのインパクトの大きさに、優良企業では推薦図書にはできない(社員が辞めてしまうので)と言われるほどでした。 「顧客の意見に熱心に耳を傾け、新技術への投資を積極的に行い、常に高品質の製品やサービスを提供している業界トップの優良企業。ところが、その優れた経営のために失敗を招き、トップの地位を失ってしまう」。つまり、すべてを正しく行なうがゆえに優良企業は失敗するというものです。

例えば、いわゆるフィルム方式のカメラ。アドバンストフォトシステム(Advanced Photo System 、APS)をご存じの方も多いと思います。たまたま1998年くらいに、某カメラ会社のリサーチにからんでいたので、非常に親しみがありますが、従来のフィルムカメラの短所をことごとく改良した画期的なフィルムカメラでした。しかし、その後、レンズ付きフィルム(使い捨てカメラ)やデジカメ、そして携帯電話に取って替わる歴史を見るにつけ、イノベーションのジレンマを思い知ります。

つまり、小型で超高性能のカメラを開発した優良企業の優良商品が、極めてスペックの劣るレンズ付きカメラ、やデジカメ(カシオのQV-10の画素数は25万しかなかった)に完全に凌駕されてしまったわけです。

同様のことがCRM業界でも起きているのではないでしょうか。例えばデータマイニングや統計のソフト。非常に高価で高性能、毎年の様にバージョンアップをし、どんどん進化しています。しかしながら、「買ったけれど難しくて使えない」「買った後にコストがかかる」「使っても思うような結果が出ない」という声をよく聞きます。これは、クリステンセンのいうところの、「ハイエンドで求められる性能を、製品の性能が越えてしまっている」ということにほかなりません。データマイニングを提供するソフト会社や高度なCRMソリューション、ERPやSCMソリューションを提供する優良企業も同様かもしれません。

製品の成長の傾きと、ユーザーの成長の傾きを比較すると、製品の成長の傾きのほうが大きいのが通常です。なぜなら、製品の開発は、その道のスペシャリストが寄ってたかって高度なものにして行くわけですが、普及が進めば進むほど、その新しい高度な技術に着いて行ける消費者は減って行くのです。今、皆さんが使っている携帯電話やパソコン、DVDレコーダー、様々なソフト、どれだけの機能があるかも分からないくらい高度で、しかもほんのわずかしか使っていないのではないでしょうか。

CRMも同じです。なぜ、今までのCRMソリューションが、超高額で導入に時間がかかり、しかも思うような結果が出ないということになっていたのでしょうか。まさにこれは持続的イノベーションの正しい姿であり、今こそ破壊的イノベーションとしての「カジュアルなCRM」が求められていると考えています。

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クリステンセンのイノベーションのジレンマ


22:55

2009年12月11日

社員合宿@伊東(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

今までは箱根、湯本方面で行なってきた合宿だが、今年は気分一新、伊東にした。合宿の場所を選ぶのも結構大変で、会社が新宿なので新宿起点で考えるのだが、バスは酔う人もいるし動けないので腰痛にもよくないのでもうやめた。電車の場合、千葉とか那須とかの案もあったが、コストと時間を考えるとどうしても伊豆方面が有利になってしまう。そんなこんなで、結局今回は伊東になった。

東京駅組と品川組に分かれて、踊り子105号で一路伊東へ。茅ヶ崎に住んでいる保月監査役と、訳あって小田急線で小田原で合流した浜田さんとも無事会えた。伊東駅で大量のお酒とつまみを買い、ホテルに。いよいよ合宿開始。合宿の模様は広報ブログにアップされる予定です。


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11:44

2009年11月19日

最近はツイッターで呟いています(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

もう、1ヶ月近くブログを更新していません。というのも、最近は何か思いつくとすぐツイッターで呟いてしまうので、どうもブログを書くモチベーションが薄れてしまっています。

ということで、今日の呟きを・・・・。

価値観が多様化している現在では、同じ物の見方をしていると思いこんでいる職場の仲間どうしであっても、認識や考え方のギャップを感じる場面が多い。 36分前 webで

価値観が共有できていれば、論理的な説明は不要。グローバル化、価値観の多様化によって、異なる文化や社会的背景を持つ人たちと仕事をする機会が増えている。 38分前 webで

論理的に構成されたプレゼンテーションができる人や、根拠や効果が明確な提案書が書ける人はとても優秀に見える。激しく同感。 約1時間前 webで

組織の目標を達成するための行動をメンバーに促すためには「組織機構」を整備するやり方と「組織文化」に働きかける方法がある。「日経産業新聞より」 約6時間前 webで

こんな感じです。携帯からも簡単につぶやけるし、こういう人って結構多いのではないかなと思います。

16:51

2009年10月20日

シュンペーターの企業家論(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

前回のエントリーで、シュンペーターが企業家の類型に関して、『「企業家は(1)創意、(2)権威、(3)先見性によって特徴づけられる」「一度創造された企業を単に循環的に経営していくようになると、企業家としての性格を喪失する。」「創造の喜びや勝利への意欲が企業家を動機づけるのであって、決して経済的動機(=金儲け)ではないのである。」』という考えを示した。今回は少しその続きについて、参考文献からの引用をしたい。

(参考文献から引用)

シュンペーターは、企業家の行動を適切に解釈する動機として、
(1)私的帝国を建設しようとする夢想と意志。
(2)勝利者意志、利潤量はしばしば別の指標がないというだけで成功の指標になる。
(3)創造の喜び、企業家は変化と冒険とまさに困難そのもののために、経済に変化を与え、経済の中に猪突猛進する。
を挙げている。さらに彼の見解で注目すべきは、危険を引き受けることは企業家機能の要素ではない、ということである。危険を負担する者は、常に資本家だけである。企業家は、しばしば資本家として危険を負担することがあるというにすぎない。通常は、事が失敗しても損失をこうむるのは信用供与者である。*1

静態的な(外圧だけで動く)経済における企業の活動は、過去における企業の活動(売上げ)によって自らファイナンスされるのに対して、新結合はまさに新結合であるがゆえに「すでに流入しつつある収益によってまかなうことができない」。つまり新結合はその定義からして「ベンチャー」なのであり、企業の内部留保によってファイナンスすることは不可能だから必ず外部の資金に頼らなければならない。そうした資金の出し手が「資本家」である。資本家は新結合の担い手としての「企業家」とは全く異なる存在であることに注意しなくてはならない。企業家が「ベンチャー起業家」だとすれば、資本家は「エンジェル」などと呼ばれる資金の供給者である。*2

起業者であることは職業ではなく、通常一般的には永続する状態ではない。消費者はもちろん、企業の経営者ですら大多数の人は「慣行」に基づき行動している。これまでのやり方がうまくいかなくなったとき、大多数の人は、とまどい立ち往生するものだ。新結合の遂行者たる「企業者」は、ここで立ち往生しない人々なのである。 *2(「企業者」は「企業家」に、現代では「資本家」は「VC」と置き換えるとわかりやすいかもしれない)

参考文献
*1 J.A.シュンペーター 清成忠男編訳:「企業家とは何か」(東洋経済)
*2 「吉川洋:いまこそケインズとシュンペータに学べ」(ダイアモンド社)

シュンペーターという経済学者は、現代においても我々創業者であり企業家にパワーを与えてくれる。「企業家は歴史を超えた存在である」とも言っている。シュンペーターが主張する、景気循環を引き起こす、産業革命に匹敵するイノベーションが起こせるかどうかは別として、限られた予算の分配方法変更や借金での経済成長はあり得ず、画期的な新技術、新製品の出現のみが、閉塞感のある経済を打開する鍵ではないかと思う。そのために、我々ベンチャー企業がその一翼を担えれば、これほど幸せなことはない。

15:37

2009年10月18日

企業家と起業家の違い(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

数日前、ツイッターで、「誤解をおそれずに言えば上村君は企業家、僕は起業家だ。(目指している方向が)」とつぶやいてみた。英語の『entrepreneur』の訳としては、「企業者」が用いられたり、最近(ここ20年くらいか)は「起業家」が用いられたりしているが、最も多いのは「企業家」のようである。

「~家」と言えば、作曲家、小説家、画家、翻訳家、建築家、政治家・・・・など、一芸に秀でていたり、その分野でのスキルや立場が高かったりと、卓越したプロフェッショナルをイメージする。しかし、企業家にしても起業家にしても、あまり卓越したプロフェッショナルと呼べる何らかの定義付けがないように思う。

企業家の概念を歴史的に見てみると、1725年にR.カンティオンが提唱したと言われる「先見の明を持ち、危険を進んで引き受け、利潤を生み出すのに必要な行為をする者」というのが、私が知る限りににおいて最も古い。1803年には、J.B.セイが「他者を結びつけて生産的な組織体を形成する行為者」と言い、その後もC.メンガーやA.マーシャルなども様々な概念を提唱しているが、企業家と言えば、シュンペーターを語らずにはいかないだろう。

オーストラリア出身の経済学者シュンペーターは1883年2月に生まれたのだが、この年には、翌3月にマルクスが亡くなり、6月にケインズが生まれており、経済学の歴史において特別な年だと言える。因みにシュンペーターが亡くなったのは、1950年の1月8日、つまり私が生まれる丁度7年前であった。(私にとっては歴史上の人物というより結構最近だなあという感じがする)

このシュンペーターは次の5つの新結合によってイノベーションが生まれるとした。

(1)新しい財貨(商品)の生産
(2)新しい生産方式の導入
(3)新しい販路の開拓
(4)新しい供給源(仕入先)の獲得
(5)新しい組織の実現

この新結合の担い手こそが、「企業家」だとするのが、シュンペーターの基本的な考え方だ。「企業家は(1)創意、(2)権威、(3)先見性 によって特徴づけられる」「一度創造された企業を単に循環的に経営していくようになると、企業家としての性格を喪失する。」というあたりは、彼の企業家に対する考え方を明確に表現していると思う。つまり、「創造の喜び」や「勝利への意欲」が企業家を動機づけるのであって、決して経済的動機(=金儲け)ではないのである。

もう一つ別の視点でシュンペーターは、「企業家は新結合の遂行に重点を置いており、発見や発明に力点を置いていない」としている。「企業家は発明家であることもあるが、原理的には偶然に過ぎない」「企業家は、発明や技術に着目し、新結合の可能性を見抜き、企業活動を展開する」とも言っている。 これらから、「シュンペーターの企業家像」というものが、おぼろげに見えてくる。

一方、起業家に関しては、早稲田大学の松田修一教授が『起業論』の中で、「自己のビジネス上の夢(目標・ロマン)を実現するために、成長する市場に独創的な製品やサービスによって、存在するリスクをギリギリまで計算し、果敢に挑戦し続ける強靭な意志を持った自主・独立意識と社会性・国際性を備えた成長意欲の強い創業者」と述べている。

こう考えると、現実はどうかは別として、私が目指しているのは、「起業家」であり、上村君が目指しているのは「企業家」ではないかと思う。あの『P.F.ドラッカー』は「イノベーションのための7つの機会」で、新しい知識、つまり発見や発明は、信頼性や確実性が低くリスクが高いとして、最も低い位置に据えている。しかし私は独創的な商品やサービス(他社になく独占できるもの)を開発するのが自分の使命であり職業だと考えている。それだけオリジナルへのこだわりも強い。インタースコープ創業時にいた平石さんの奥様が私のことを「山川さんはドクター中松の様だ」と言った。「お金儲けより何かを発明することが好きなんだ」と。だから金儲けが下手だという意味だったのかもしれないが、それなりに納得した。

こう考えてみると、私は「起業家」で、上村君は「企業家」なのかなと思うわけだ。もちろん目指している方向がだが・・・。

22:26

2009年10月12日

迂回生産方式マネージメント(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

「迂回生産」という言葉はあまり聞き慣れないかもしれないが、経済学ではよく使われる。機械、設備などの生産手段をまず生産し、それを使用して消費財を生産する方法のことで、簡単に言えば手で魚を捕るのではなく、まずは釣り竿を作ってから魚を捕ろうという考えだ。一見、遠回りに見えるが最終的には効率がよく近道であるということなのだが、これは日々の仕事のやり方でも同じことが言える。

身近な例で言えばエクセルのマクロもそうだ。1つの作業であれば、マクロを使うより手でやったほうが早いだろうが、数が増えれば圧倒的にマクロを使ったほうが早い。難しいのは、手で魚を捕り続けた成果と比較し、釣り竿を作る投資によって得られる魚の将来価値が、どのくらいのスピードでそれを上回るかという判断だ。あまりにも釣り竿を作るのに時間もコストもかかってしまったら、その間に捕れなかった魚の損失を補填できなくなってしまう。時には人海戦術で手で魚を捕ることも必要だ。特にスピード重視のベンチャーにおいては・・・・。

一方、学生アルバイトでもできるルーチンワークを経営者がやっていれば生産性が上がるはずがない。経営者やリーダーがすべきことは、自分でなくてもできる仕事はどんどん他者に任せ、自分は自分にしかできない仕事、クリエイティブで高度な仕事をするということだ。ALBERTでは、社員がアルバイトに教え、さらにはアルバイトがアルバイトを教える文化を作ろうと言っている。これは究極のリーダーシップの連鎖だ。

収益を上げるビジネスモデルには5種類ある。

(1)何もしなくても収益が上がるモデル
(2)一部の優秀な社員とオペレータと設備やコンピューター等で収益が上がるモデル
(3)一般社員が中心になり、外注などを活用して収益が上がるモデル
(4)一部の優秀な社員やリーダー、スキルの高い層が中心になって仕事をして収益が上がるモデル
(5)マネージメント層が中心になって仕事をしないと収益が上がらないモデル

さらに6番目としてベンチャー企業などでは、

(6)創業者が中心になって仕事をしないと収益が上がらないモデル

というのもありそうだ。ステイタスとしては、それでも収益が上がっていない場合もあるが、モデルとしての考え方なのでそこは議論しない。

もちろん、どれか一つということではなく、(1)~(6)までの比率の問題だ。(6),(5)→(1)へと比率が上がっていくモデルが最もよいわけであって、創業者が頑張らないと収益を上げられないモデルは最低だということが言える。

(1)の「何もしなくても」というのは極端だとしても、ほとんど何もしなくて収益が上がるモデルは極めてレアだと思うが、特許収入とか著作権収入などの利権ビジネスがそれに近い。

(2)のモデルとしては、アパート経営や駐車場経営などもそうかもしれないが、我々が目指しているASP(Saas)型ビジネスはこれだ。

大企業に多いパターンは(3)ではないかと思う。大企業の多くは、最も仕事をしているのが一般社員であり、経営者はそれほど長時間労働をする訳でもなく、外注や派遣社員などを活用して収益を上げている。中堅企業や中小企業は、(4)または(5)のパターンだろう。零細企業はほとんどが(5)ではなかろうか。

そして、ALBERTを含む多くのベンチャー企業がまだまだ(6)の段階ではないかと思う。しかし、我々が目指しているのは(2)のパターンであり、(6),(5)から一気に(2)に昇華させようとしている。徐々に(2)に向かったのではとても間に合わないのだ。さらに言えば、実は(3)から(2)に移行することはあり得ない。なぜなら(2)には多くの社員は必要ないからだ。一部の優秀な社員で収益を上げるビジネスモデルは、(3)は飛び越すのである。

そこで重要になるのが「迂回生産方式のマネージメント」だ。自分がやれば早いしミスも少ない。だから自分でやる。また自分の仕事を人に任せてしまうと自分の存在意義が薄れる。なので人に任せない。企業において迂回生産ができない大きな2つの理由がここにある。優秀なリーダーは、多少のリスクや心配があってもそれを人に任せる。また任せた以上は自分が責任を持つ。これを実現しない限り、いつまでたっても(2)のモデルにはならない。一度でも任せた人がミスをすると、「ほらみろだから任せられんだ」、「だから自分がやるんだ」、という考え方では、迂回生産方式はできず、ずっと手で魚を捕り続けることになる。

最近、データ解析はその方向性だけ示して、どんどん菅由紀子に仕事を任せている。その菅はその仕事を咀嚼して商品企画部のスタッフに任せている。今では、解析のテクニカルな部分だけを取れば、圧倒的に菅のスキルが上がって来ており、さらに言えば、私よりインターンや学生アルバイトのほうが、はるかに解析ソフトを使いこなしている。時々、咀嚼の仕方を間違えたり、早とちりで手戻りが発生したりもしているが、概ねよい方向に向かっていると思う。

次の段階として、解析の方向性や分析方法の開発、結果の解釈や次へのアクションまでできるようになれば、どんどん(2)のフェイズに近づいていく。分析の方法をパターン化し、サーバーができるまでに昇華できれば、真に「分析力を武器とする企業」になれるはずだ。

02:50

2009年09月17日

オフィス縮小!賃金を下げろ!人を切れ!(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

株主や社外取締役からこの様なご指導をいただくことがあると思う。インタースコープ創業3年目のことだ。オフィスを代官山から池尻大橋に移転したとき、将来を見据えてかなり広いスペースを借り、3階にはセミナーや会場調査ができる、ネットにつながるPCを24台完備した研修室も作ることができた。しかし業績はまだまだで、取締役会議は紛糾した。「なぜこんなに広いところに引っ越したんだ。」「3階のスペースはどうするつもりだ。」「外に貸すとか返すとか何とかしたらどうだ。」こんな声が出て、結局は総務が中心になって外部にパソコン研修室として貸し出す事業を始めた。

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実際、大手通信会社の新入社員研修に使われたり、いくつかの実績は作った。しかし、あっという間に社員は増え、さらに3階全フロアを借り増しても足りないくらいに成長して行った。私は1995年に独立して以来、毎年のようにオフィスを移転して来た。代々木1→代々木2→泉岳寺→中目黒→代官山→池尻大橋→代々木3という具合だ。現在のオフィスは2005年の8月に入居したので、もう5年目に入っており最長記録を更新している。

従って、オフィスの移転に関しては、それに関わる直接的間接的コストを考えると、極力すべきでないと考えている。現在のオフィスは、とてもラッキーなことに、丁度移転をするしかないかと考えていた時に、上の階と下の階が空いたので、3フロアになったのだが、長居に重要なのは、「売上が人の数に比例するビジネスモデルかどうか」ということだ。ALBERTでは売上が営業マンの数に比例しないビジネスモデルを作ろうということで、創業前から上村君と入念に検討をして来た。まだまだその時の思いが実現している訳ではないが、方向性に関しては全く間違っていなかったと思っている。

さて、今日の本題だが、ALBERTという会社は、普通ではない変な会社だと思う。もっと言えば「アリエナイ!」と思うわけである。なぜなら、このエントリーのタイトルにある「オフィス縮小!賃金を下げろ!人を切れ!」は、株主でもなく社外取締役でもなく、監査役面談で『社員』が話した事なのだ。もちろん、社員全員がそう思っている訳ではないが、少なくとも複数の人が、そのように提言しているそうだ。

確かに、私も上村君もリーマンショック以来の業界や当社が置かれている厳しい状況については何度も話している。ALBERTでは社員に毎月P/LやB/Sを公開しているので、会社の財務状況は皆把握できるようになっている。その結果かどうかは分からないが、経費削減案をオフィス縮小だけではなく、自らの賃金や首までにも言及しているという。そんな会社は、おそらく世界中探してもALBERTしかないのではなかろうか。

それだけ、社員が会社の事を考え、ひょっとしたら経営者以上に経営者精神を持って日々の業務に当たっているということだ。創業者二人が甘いという意見も出ているようで、確かに外部からそのようなご指摘を受けるなら分からないではないが、社内から出るという事は、まさに「労使逆転の構図」ではなかろうか。

私は「労使」という言葉が嫌いなので使わないが、労働者が会社(経営者)を使うのであれば大歓迎だ。「組合は要らない」ということを企業理念に書いているが、組合は「賃金を上げろ!人を切るな!」という事を言うのが相場であって、社員がその逆を訴える会社に組合が要るはずがない。私としてはまだまだ賃金が高いとは決して思っていないし、一部上場企業の平均にもなっていないと思うが、社員は全員今の評価や賃金にはほぼ満足しているそうである。

これだけの強い社員の思いを監査役を通じて聞かされ、一日も早く、「こんなに儲かっているんだから、もっと広い快適なオフィスに移転し、賃金も上げて人もどんどん採用して短時間労働にしてください!」と言われるような会社にしなくてはいけないと、気持ちを新たにした。

21:11

2009年09月07日

監査役全員面談結果(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

当社の保月英機監査役。実は、私のTDK時代の上司だ。インタースコープの時に監査役にご就任いただき、その後取締役を経て再度監査役になっていただいた。取締役から監査役になるケースはよくあるが、逆はあまりないと、弁護士の先生にも言われた。

さて、その保月監査役。もちろんメインのお仕事は取締役の監督など監査のお仕事だが、社員やアルバイトなどを対象に全員面談をお願いしている。直接上司や社長、会長に言えない事なども保月監査役には言えるからだ。なぜ皆が何でも言えるかには理由がある。それは聞いた事に関して決して誰が話したかを私を含め誰にも明かさないことだ。この不文律は2003年から今まで一度も破られたことがない。

過去に、この面談のおかげて、退職を決心した人が思い直し結果的には今でも元気に楽しくインタースコープの次の会社で仕事をしている人もいる。ただ、私がTDKを退職しようと思った時も当時の保月部長に相談したのだが、その時は「そうか。俺は去る者は追わない主義だ」と言われ、全く引き留められなかった。TDKにいても役に立たない人間だと思われたのか、またはこいつは説得しても無駄だと思われたかのいずれかだと推察している。

面接の結果はまとめで報告していただくのだが、経営や私自身に対する批判はかなり厳しいものがある。ショックで立ち直れないこともあるくらいだ。誤った現状認識や誤解によるところもあるが、そう思われても仕方がないと反省する事も多々ある。例えば、2003年インタースコープ時代のコメントにはこのような事が書かれている。

(経営、風土全般)
・一体感がない
・理念と現実が乖離している
・細かい議論が多く、大筋、基盤的な議論がない
・具体的施策に展開されていない
・求心力がない、共通の目標がない、先が見えない
・個人プレーで助け合いがない雰囲気
・セクショナリズムがあることが問題だがなるべくしてなった感が強い
・人の採用が多すぎる
・売上増=労働時間増大になっている
・上場を目指す会社のイメージではない
・残業代がつかないのは違法だと思うが訴訟したらいづらくなる

(山川に関して)
・山川トップ体制になっても実態は変わっていない
・もう少し丁寧に説明する必要がある
・人を見る目がない
・強い女性に弱い
・発言内容が突然変わり説明もない、発言がぶれることが多い
・現象の分析はしっかりしているが分析しっぱなしで最後まで責任を持って欲しい
・情に流されずに的確な判断をして欲しい、社長は寂しがりやではだめ
・圧倒的なリーダーシップが必要、超ワンマンでよいのではないか

今から6年前の指摘で、特に悪い部分のみを抜き出してみたが、皆さんはどう感じただろうか。全く当時から変わってないなと思う部分も、少しは成長したなと思う部分があるだろうか。私自身は、こういうありがたい社員やアルバイトからのメッセージを心に刻み、直すべきところは直そうと努力しているつもりだし、いやそうは言っても今のままがいい、またはそこを直してしまったら他が崩れてしまうとか、色々考えてはいる。先日も、ろくにチェックもしないくせに、最後の最後にダメ出しをしてけしからんと怒られたが、ここでは触れないが、これにも一応の言い訳がある。それにしても「強い女性に弱い」と言われているが、強い女性に強い男性などいるのだろうか。ここだけは今でも全く変わっていない自信がある。

さて、ALBERTの面談結果はどうだったのだろうか。実は、今回の監査役面談は今までとは全く異なる、「アリエナイ!」結果が出ている。ALBERTはどう考えても普通の会社ではなさそうだ。経営や風土に関しては、労働条件やビジネスモデルなど含め、インタースコープ時代からはかなり改善したと思っている。あとインタースコープ時代との違いは、自分なりの明確なビジョンや方向性が見えていることと、今やっている事への自信の強さである。そのあたり含め、ALBERTの全員面談の結果は次回のエントリーで書きたいと思う。

23:51

2009年08月31日

衆院選得票率のマーケティング的解釈(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

民主党の圧倒的勝利で終わった昨日の衆議院選挙。小泉郵政解散の時とは全く逆の様相を呈し、小選挙区制とはいえ、一国の最高決定機関である国会の構造がここまでダイナミックに変わってしまうことに、驚きとともに若干今後への不安も感じた。ご存じの通り、衆議院選は小選挙区比例代表「並立制」だ。この中で、比例代表の政党名得票数シェアを見てみた。

・民主党 45.3%
・自民党 25.4%
・共産党 9.5%
・公明党 8.5%
・社民党 4.8%

これを見ていて、クープマンの目標値を思い出した。シンプルマーケティングの著者であり、私のマーケティングの師匠でもある森行生さんに20年近く前に教わった理論だ。一部、森さんのホームページから引用させていただく。

米国の数学者、クープマンは、シェアと市場推移の関連性を分析し、シェアをみきわめるポイントとして6つの数字を上げている。これが「クープマンの目標値」だ。

具体的には次のとおり。

(1)独占的市場シェア ・・・73.9%
(2)相対的安定シェア ・・・41.7%
(3)市場影響シェア  ・・・26.1%
(4)並列的上位シェア ・・・19.3%
(5)市場的認知シェア ・・・10.9%
(6)市場的存在シェア ・・・ 6.8%

●相対的安定シェア……民主党は「45.3%」なので相対的安定シェアを獲得

市場で首位のブランド、ないし企業41.7%のシェアを占めている場合、トップの地位は安定しており、不測の事態に見舞われない限り、逆転されることはない。この数字はシェア獲得の最終目標として掲げられることが多い。トップにこの数字を握られると、下位ブランドや企業はシェアを上げにくくなる。またこのような市場では、特別に有利な条件がない限り、新規参入しても成功する確率はきわめて少ない。若干古いデータだが、この相対的安定シェアには以下のような事例がある。

・日清食品 42.6% 即席めん市場
・ライオン 45.2% 歯磨き市場
・ヤマト運輸 46.3% 宅配便市場

●市場影響シェア……自民党は「25.4%」なので市場影響シェアに若干足りない

この数字は、2位であっても市場に影響を与える水準値として、相対的安定シェアとともに目標にされている。ちなみに「市場に影響を与える」とは、ある企業が新商品を投入したり、キャンペーンを行うなどして動きだすと、競合もそれを無視し切れず、同調、あるいは対抗手段をとらざるを得ない状況をさす。また、不思議なことに、この水準のシェアをとっていて3位以下というケースはない。

(2位の場合)

・三洋電機 29.0% リチウムイオン電池市場
・日本通運 23.0% 腕時計市場
・ミノルタ 23.6% 一眼レフカメラ市場

●市場的認知シェア……共産党は「9.5%」、公明党は「8.5%」なので市場認知シェアに至っていない

市場においてようやく存在が確認される水準。つまり生活者が「こういうブランド(企業)もある」と思いだしてくれるレベルである。これ以下では、生活者の記憶にも残りにくい。

・東芝       11.0% ルームエアコン市場
・東洋ゴム工業 10.9% タイヤチューブ市場
・サンヨー食品 10.9% 即席めん市場

●(6)6.8%……社民党 は「4.8%」で市場的存在シェアに届かない

市場において、ようやく存在を許されるシェア。これ以下のシェアでは、今後よほどの成長が見込まれない限り、市場から撤退する方が賢明である。この水準では、生活者が、他人に言われてやっと思い出す程度の知名度しかない。


以上のように、マーケティングにおける市場シェアの理論に当てはめてみても、いかの今回の民主党のシェアが高いかが分かる。このクープマンの目標値は、ランチェスター戦略における基本理論なので、選挙も戦いそのものであると考えれば、ある程度適用できるのではないかと思う。相対的安定シェアを獲得した民主党がその優位性をどこまで活用できるか。来年の参院選での比例代表得票率に注目したい。

14:34

2009年08月25日

知識有限・知恵無限(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

経営者は常に「前のめり」でなくてはならないと言われる。前のめりって、前向きや積極的と何が違うのかと思うが、前傾姿勢で勢いがあることを言うようである。私の場合、あまり前のめりという意識はないし、周囲がどう見ているか分からないが、1995年に独立して以来、次の打つ手が枯れたことがない。

通販事業で失敗し、多額の借金を抱えた時にも、次なる商品、次なるビジネスモデルへの夢と希望があったからこそ、前向きにやって来られた。経営者の孤独に関して上村君が書いていたが、パートナーの存在や社会的価値を創出している事への責任感などの他に、次への確かな夢、思い、信念、施策などがある限り、孤独にはならない。

そういう意味で、「知識有限・知恵無限」を実感する。知識は本やネットでいくらでも得られるから無限にあるように思えるが、所詮オリジナルは同じであったりし、無限の知識などあり得ない。それに対し、知恵は本当に無限にむくむくとわき出て来る。もし失敗したら、もし戦いに負けたらどうしようと思うことも多いが、火事場の馬鹿力かもしれないが、追いつめられれば必ず知恵が出る。

逆に言えば、経営をしていて次の一手がなくなった時が経営者としての終焉だと思っている。前のめりとは、無限に知恵を出し続け、それをスピーディに実行する事なのだろう。

10:59

2009年08月21日

受付にBGMを流し始めました(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

以前から人気(ひとけ)がなく閑散とした受付にBGMを流したいと思っていたのだが、ようやく実現した。暑い中を歩いて来られたお客様にひとときの安らぎを感じていただければと思う。

かかった費用は5,990円。マルチメディア対応CDマイクロコンポをニッセンで購入した。この商品はCDからUSBやSDカードへダイレクトに録音できるイマドキのオールインワンコンポで、CDはもちろん、AM/FMラジオも搭載。このお値段でこの機能は素晴らしい。音質もBGMという目的には全く問題がない。

私は以前マルマンでオーディオ機器を企画し中国で製造して輸入販売していた。量販店に売りまくっていたのは現在当社で頑張っている田村秀史だ。当時はまだカセットが付いているCDラジカセだったが、大手S社の金型を使ってスピーカーの品質やワット数を抑えたものを、店頭価格12,800円という設定をし非常によく売れた記憶がある。最期はバーゲンで9,800円になったと記憶している。当時この手のCDラジカセは、安くても19,800円くらいはしていたものだ。

それが今では6000円以下で買えてしまうのだから、すごいコストダウンだなと思う反面、オーディオという嗜好性の強い商品が、こんな風になってしまったのかという残念な思いもある。因みに今かけている音楽は、MOMENTSという軽いジャズピアノのアルバムで、国府弘子さん(私の同級生の妹さん)が弾いているものだ。ALBERTに来られた方には是非聴いていただきたい。

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10:39

2009年08月13日

行動計量学会@大分(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

先週は大分大学医学部で開催された、行動計量学会で発表をしてきた。今年は、この学会以外では発表しない予定だ。学会参加の目的に関しては、以前のエントリーに詳しく書いたが、学会発表とイベントがあると、開発が進むという効用もある。展示会でも同じようなことがあり、各社シーテックなどを目標に商品開発のスケジュールを切るところもあるようだ。

今回は、モバイルとインターネット両方の行動ログ分析についての発表を行なった。まだまだ深い分析には至っていないが、やはり真の意味でのパーソナライゼーションに近づいている実感がある。一方、ベイジアンネットや人工知能などの複雑なアルゴリズムは、バッチ処理でモデルを作る時には有効だが、リアルタイムでルールを更新しようと思うと、処理能力に限界があり、学会と実業のギャップを感じざるを得ない。そのあたりは、明治大学の水野先生のエントリーにも書かれている。複雑系のアルゴリズムが空理空洞化しないことを願うばかりである。

余談だが、下の写真は発表の様子。私のパソコンにはシールがたくさん貼ってある。これは電車の中でも自社の広告塔としての機能を果たそうということで会社のロゴや商品ロゴを、わざわざ大森K子さんにシールにしてもらっている。しかし、最も大きくひときわ目立っているのは、神原社長率いる「リリースからニュースが生まれる”News2unet”」の青いシールだ。残念ながら、これを見ての問い合わせはないが、自社のシールより目立っていることから、社内では若干の批判もあるようだ。

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20:27

2009年07月27日

人を使うと言ってはいけない(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

先日の職能テストの問題。

人間は機械や物のように使う、使われるといった関係ではないので、ALBERTでは(         )とか、他部署から(         )といった言葉を使ってはいけない。

正解は、「人を使う」と「人を借りる」である。

「元気な高齢者をいかに使うか。この人たちは皆さん(青年会議所のメンバー)と違って、働くことしか才能がないと思ってください。」この発言は有名なので、ほとんどの方がご存じだろう。世間では「働くことしか才能がない」という発言が問題になっているが、私は「高齢者を使う」というほうに違和感を覚える。

失言というのはそもそも心のどこかにそういう思想があるから顕在化してしまうものだ。高齢者に対するネガティブな思想があるからこそ出てくる言葉だ。鳥越俊太郎が、「高齢者を使う」などと言うのは育ちの問題だとコメントしていた。人を上から目線で見ていると。まさにそう思う。

こういう発言ひとつで、リーダーとしての素養のなさを感じざるを得ない。

13:15

2009年07月22日

東京で日食が見えました!(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

曇の向こうに見えました。会社の前では、見えた見えたとピーチクパーチク大騒ぎ。ご近所の皆様、申し訳ありませんでした。

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11:34

ただ今職能テスト実施中(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

今朝は9:30から1時間、恒例の職能テストを実施した。

今回は今までとは若干違う方法を取り入れた。前回までは、1時間すべてがペーパーテストであったが、今回は後半の30分、自席に戻りインターネットを使って、あるテーマについてのレポートを書くというものだ。さらに、テーマはパーソナライズされており、難易度が人によって違うようにした。

詳細は本日体調不良でお休みの社員がいるので述べられないが、今後のALBERTにとっては重要なテーマなので、正解のないテストの素晴らしい回答に期待している。30分という短時間で、どこまで細かく分類し、整理、体系化するかがキモだ。

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10:14

2009年07月12日

都議選で初めて出口調査に回答(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

今後の政局を占うとされる東京都議選。夕方、近くの投票所に行った。今回の都議選は、期日前投票数も前回同時期の1.68倍で、当日の投票率も前回を上回ったという。私の地域の投票所は人影もまばらで、本当に投票率が高いのか思うくらいだったが、出口の門のところで、出口調査が行なわれていた。投票所に入る時にはいなかったので、丁度始めたところだったのだろう。

主催は朝日新聞だった。調査内容は以下の通り。

①性別
②年代(10歳刻み)
③支持政党
④投票者名
⑤麻生政権支持or不支持
⑥衆議院選は自民、民主どちらを中心に投票するか
⑦比例代表はどこに投票するか

非常に回答しやすかったが、いったい何%を抽出するのか精度と費用の関係で決まるのだろうが、各メディアはそのあたりにしのぎを削っているんだろうなと思った。出てきたばかりで質問するので、回答の精度はかなり高いだろう。設問設計も単純なので差がつくとは思えない。となると、あとはどこで何時にどれくらい回答を取るかだけだし、コストさえかければいくらでも精度が上がりそうだ。今日もまた20時ぴったりに当選確実が出るのだろう。

ところで、昨日家の近くで田中康夫元長野県知事が行革パン屋の応援にため軽トラックで挨拶をしていた。選挙って大変だなあと単純にそう思った。

19:03

2009年07月10日

広告クリック「増えた」35%(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

今日の日経産業新聞に注目すべき調査結果が出ている。「拡大するインターネット広告市場において、広告をクリックする頻度が増えたと回答した人が35%に上り、クリック後に買い物や会員登録をしたことのある人も6割近くに達した」。ターゲティング技術など広告のクリックを動機づける手法が普及したことがこの結果につながっているそうだ。

そもそも広告というものは邪魔な存在だ。テレビドラマでも最も盛り上がった時や、クイズ番組で100万円獲得するかどうかの回答寸前にCMが流れたりする。これほど不愉快なものはない。しかし、広告もタイミングと内容によっては、見たいものになる。つまり、有用な広告は消費者にとって必要な情報になり、さらにレコメンドに昇華すると考えられる。

広告をクリックするきっかけを複数回答で聞いたところ、「興味がある内容だったから」がダントツの85.7%だった。つまり、消費者の興味がある広告を出せばクリックされるということだ。ガリガリの上村がよく、「自分にダイエットの広告が出るが絶対にクリックしない」と言っている。私がmixiでメールを送った後に出る広告は、未だに女性用の化粧品であったりする。要は、ターゲティング広告というものは、まだまだマチュアでないということだ。

インターネットの広告は、バナー、クリック保証、アフィリエイト、リスティング、コンテンツマッチという変遷を経てターゲティングに移行しつつあると言われるが、リスティングやコンテンツマッチ型広告は、知っている人の過半数は「ほとんどクリックしない」か「クリックしない」と回答しており、あまり積極的には受け入れられていないようだ。さらに、閲覧履歴などをもとに関心のありそうな広告を表示する、「行動ターゲティング広告」については、「良いイメージではない」、「あまり良いイメージではない」の合計が41%、「便利でよいと思う」はわずかに6.5%にとどまったという。

「ネット広告が邪魔だ」と思ったのは、「検索結果と一緒に広告が出たとき」と回答した人が68.4%に上った。これらを総括すると、「自分の関心のある広告がさりげなく出る」というのが今後のインターネット広告の方向性ではないかと思う。ALBERTの調査では、「自分に似ている人が買っている商品をお薦めされる手法(協調フィルタリング)」に関しては、ネガティブな反応であった。

「あなたの行動履歴を元にあなたに関心のありそうな広告を出しています」とか「あなたに似ている人が持っているけれど、あなたが持っていないものをお薦めします」と言われれば、いい気持ちはしない。どんなロジックで提示されても、それがさりげなくマッチしていれば受け入れられる。レコメンデーションも広告も、詰まるところは個客と商品やサービス、情報の最適なマッチングなのである。

(調査は日経産業新聞ヤフーバリューインサイト「C-NEWS」の共同調査)

14:12

2009年07月07日

社内のレイアウト変更(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

7月1日付けの人事異動があり、ついに2階のフロアのスタッフが全員女性になった。仕事に集中していると何も感じないのだが、はたと立ち上がってみると女性だけの会社に紛れ込んだような気がする。中にはハーレム状態ですねと言う人もいるが、ちょっとでもセクハラ発言などしようものなら袋叩きにあいそうだ(もちろんしないが・・・)。夏になるとサマーインターンが10名近く来るので、おそらく男性も多くなるものと思う。

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15:57

2009年06月30日

日本の給与制度は”後払い”(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

今日のカンブリア宮殿、ご覧いただけただろうか。21の平本氏、僭越ながら給与の考え方に関しても考え方が近いことが分かった。もちろん、店舗展開する小売りの中堅企業と少数精鋭のコンパクトなベンチャー企業では同じ方法論ではうまく行かない部分もあるが、基本的な哲学は同じだ。

私は日本の雇用制度は、「終身雇用」ではなく「定年雇用」であり、「年功序列」ではなく「加齢序列」だと言っている。ALBERTには定年がないので「終身雇用」だ。また、年とともに功が積み上げられていけば報酬も連動して上がるのは当然なので「年功序列」だ。しかし、価値の創出ができなくなれば、報酬が下がるのは当然であるという考え方をしている。

平本氏はこう語った。「ピラミッド構造はご褒美だと思っている。大きな会社で若い時に目一杯働いて残業して新しいものを開発して会社にものすごく利益を上げた人は偉くなっていく。しかしそれは給料後払い制だと思っている。若い時しっかり頑張れ、会社が大きくなったら重役にするからと。それでみんな一生懸命働く。」

社会的な価値を提供しているまさにその時に、それに見合った報酬をもらうべきであるが、残念ながらほとんどの企業は価値の創出量の多い若手には報酬あまりを出さず、ほとんど窓際に近い管理職に多額の報酬を出す。まさにこれは、給料の後払い制だ。私は若いうちに多くの休みと報酬を得るのが幸せだと考えている。従って、給料はリアルタイムで払うべきであって、老後に備えて若いうちの貯蓄をしておくというのが、正しい給与制度の姿だ。休み1.5倍、給与2倍を目指している。それは給与のリアルタイム払い制とも言える。

01:21

2009年06月29日

利益なき繁栄(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

先週のカンブリア宮殿で、広島の眼鏡チェーンである株式会社21(トゥーワン)が紹介された。毎回、非常に楽しみにしている番組だが、今回は震えが来るほどの感動があった。すぐにでも広島に行ってこの創業者に会いたいと思った。

今日も第2回目が放映されるので是非ご覧いただきたいが、私が求めている理想の会社にかなり近い。まだまだ勉強不足で正しい認識に至っていないかもしれないが、「内部留保をせず利益は従業員に還元する」というところに、まさにこれだ!という感動を覚えた。人事制度も組織もユニークであるし、税金や投資に関しても非常に画期的でイノベーティブだ。

「利益なき繁栄」という言葉は、マルマン創業者の「実力主義の経営」180ページに説明されている。「本来企業そのものは利益を追求するものではなくて、人間がその労働成果を偉大ならしめる場所である。」とあるが、この概念は非常に難しく私も本質を理解するまでに10年はかかった。しかし、ドラッカーが「現代の経営」の中で、「事業体とは何かを問われると、たいていの企業人は利益を得るための組織と答える。たいていの経済学者も同じように答える。この答えは間違いなだけではない。的はずれである。」と述べている。利益は企業の目的ではなく、空気や水のようなものだとも言っている。

ドラッカーを勉強することで、企業にとっての利益の考え方がかなり咀嚼できた。ただ、未だ具体的な経営に活かしているわけではなく、それこそ「知行合一」でなくてはならない。そういう意味で、実際にそれを実践している平本清氏に会いたいと思ったわけだ。今晩のカンブリア宮殿が楽しみだ。ALBERTがベンチマークすべき企業だと思う。

00:25

2009年06月20日

リーダーの要件は「知行合一」(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

日経産業新聞に連載されている「部長のための経営学講座」については、「意思決定理論」というエントリーでも触れたが、今週のテーマは「役員を目指すには」だった。役員を目指すことが必ずしもゴールではないとは思うが、部長のために書かれているとすれば次は事業部長か役員なのだろう。このタイトルは「真に信頼される経営者(リーダー)になるためには」と読み替えてもよいと思うが、非常に納得できる内容であった。

知行合一(ちこうごういつ)ということばは、明の時代に王陽明が唱えた需学の思想で知(知識)と行(行動)は合一(合致)していなければならないと言う考えで、「知識をつけることは、行動することの始まりであり、行動することは、つけた知識を完成させることである。行なわなければ、知っているとは言えない。知っていても行なわないのは、まだ知らないのと同じである。知って、行なってこそ、本当の知恵、真知である。」という意味だそうだ。理屈を学んだだけではスキーや水泳はできない。経営でも同じであり、「よきリーダーの要件とは学問と行動を融合させ、自らの経験知の厚みを増し、将来を見通して、決断を行なう軸を形成することにある」と述べられている。

実践に役立つマネージメント力は、思考と行動の往復運動を高速に繰り返すことで伸びるわけだが、具体的に真に信頼される経営者(リーダー)の要件とは以下の5つだそうだ。

(1)全体最適が思考の基礎にある
(2)人間的な魅力を備えている
(3)厳しさに耐える精神力がある
(4)ぶれない軸を持っている
(5)部下の育成に真剣に取り組む

この他に、知識に関しては全領域すべてをカバーできるはずはないので、勘所を押さえられる理解力や推察力、地頭の良さがないと務まらない。地頭の良さは、ある程度持って生まれたものもあるだろうし、20歳過ぎてはあまり変わらないのかもしれないが、上記5項目は学生から新入社員、管理者になるに連れて身につけていくのだ。ALBERTでは「全員経営者精神」であって欲しいので、少なくとも新入社員で入社3年目、25歳以上の人には全員身につけて欲しいところだ。

先日の社員研修で、社長から「今ALBERTの社員に足りないものは何か、それは『mature』だ」という話があった。つまり成熟していない、大人ではないという意味だ。自部署のことばかり考えて全体最適が考えられない人は確かに多い。何か問題が発生した時に、どうすれば解決するか、次回から問題が起きなくなるかを提案するのではなく、ただ不機嫌に担当者を感情的に怒ったり他部署の批判ばかりするような人がいる。全体最適が思考の基礎にないということだ。

世の中には、仕事はできるし頭もいい、しかし人望がない人がいる。上司には受けがいいが、同僚や部下から尊敬されない人もいる。こういう人は人間的魅力に欠けているということだろう。人間的魅力を身につけることは、非常に難しいことだと思う。人望や教養ということをいつも言うのだが、しかしまずは小さいことから実践するということではなかろうか。「最低限約束を守る」、さらには「期待値より少し上を行く」というのがよいと思う。約束を守るという意味は、たとえば待ち合わせに遅れない遅刻をしない、納期を守る、言われたことはやる、自分でやると言ったことは必ずやる・・・・などどれもあたりまえのことだ。

上村君も以前は出張で朝ホテルで待ち合わせる時も、ゴルフの時もほぼ毎回私より遅れて来ていた。しかも指定時刻より遅く来ることもしばしばだった。最近ではIDEAの橋本社長にも叱られ、そういうこともなくなった。ちなみに橋本さんは私が知っている経営者の中で間違いなく尊敬する5本の指に入るのだが、人間的魅力という意味ではNo.1だと思っている。年齢性別問わず、誰からも好かれ愛されていると思う。彼に頼めば何かやってくれるという信頼感があるからだろう。

ALBERTの朝礼には、未だに電車遅延を理由に遅れる人が多発する。確かに中央線は人身事故が多いかもしれないが、1本でも乗り遅れたら、または電車が5分でも遅れたら遅刻する時間にしか家を出ない人がいる。常に始業時刻の5分前以内にしか会社に来ない人は、魅力あるビジネスマンにはなれないと思う。あとは、やりますと口だけは元気な人がいるが、やれないならやれると言うなと思う。しばしば「あれはどうなってる」「あれはもうやったか」と言われる人は、人間的な魅力に欠ける素養があると思ったほうがいい。

研修でALBERTに足りないものは何かということを上村君が話したが、上記の5つのうち、(3)~(5)は比較的まだよいのではないかと思う。皆かなり頑張り屋だしベンチャーとしての方向性はかなり共有できていると思う。また勉強会などを通じて教育にも全員が力を入れている。全員が真に信頼される経営者になるために圧倒的に不足しているのは、やはり(1)と(2)だ。マネージャークラスのスタッフには、是非もう一度セルフチェックをして欲しい。

13:45

2009年06月14日

分析力を武器とする企業(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

最近、色々なところでこの本が推薦されてており、私も色々な人におススメしている。実は、この本はデータフォーシーズの古本社長に教えていただいた。タイトルや表紙の帯を見た瞬間に、「これってALBERTのことを書いた本ではないか」と思うくらいすべてがマッチしていると思い、即座にアマゾンで購入した。

ALBERTは、もともと平石さんと私が2000年に創業したインタースコープの次なるビジネスモデルとしてニッセンとの合弁で設立した会社なので、ベースにマーケティングリサーチや統計解析、データベースマーケティングがあったわけであり、分析力を強みにしたレコメンデーションの専門企業である。今でこそ競合する部分もあるが、レコメンデーションの専門企業のひとつであるシルバーエッグさんにも、2000年当時は何度かお邪魔し、トーマス・A・フォーリーさんや西村淳子さんからディープナレッジを教わったものだ。当時のインタースコープは、リサーチベースでe-日本人価値観クラスターを作り、新しいパーソナライゼーションのモデルを構築しようと東京大学との産学連携で購買予測モデルNSXという研究を進めていた。残念ながらこのプロジェクトは、個人情報保護への機運の高まりなどもあり、当時のインタースコープでは購買履歴データを入手することが難しかったためにとん挫した。その後、ニッセンとの出会いがあり今に至っているので、統計解析や分析力に強いレコメンデーションの専門企業ができたことは、ある意味必然的な社会の要求であったのかもしれない。

本の話に戻すと、予想に違わず、第一章の1ページ目から「レコメンデーション」が登場する。『ネットで借りて~自宅に届き~ポストに返却♪』をご存じのかたも多いだろう。DMM.comのテレビコマーシャルだ。私もDMMではないが愛用している。このビジネスモデルを思いついたのが、30代、ソフト会社経営、映画マニアのリード・ヘイスティングスだ。少し本の内容を引用してみよう。

「アポロ13号」を借りて返し忘れ、40ドルもの延滞金を払わされたことで、「定額料金・貸出期間無制限・延滞料なし」にすればいいじゃないかと考えた。1997年のことである。そこで彼は自分の会社の売却益を元手に「ネットフリックス」を設立した。この事業の成功の最大の理由は、データ分析力にあった。顧客の行動パターンを分析し、シネマッチ(Cinematch)という推薦エンジンが、顧客にとびきりの「おすすめ」を提案する。このシネマッチには自慢のアルゴリズムが組み込まれている。星の数ほどある映画を分類してクラスターに分け、顧客が好むクラスターはどのクラスターかを見極める。顧客のレビューを数値化し、ネット上でのアクセスログから行動パターンを読みとる。こういったことを実施した結果、サイトを訪れた人に、たちどころに専用ページが用意される。

映画という商材は、レコメンデーションを語るには最適なものかもしれない。ALBERTはKDDI研究所と協調フィルタリングエンジンを用いたパーソナライズド・レコメンドエンジンの提供開始を発表しているが、KDDI研究所も映画のレコメンドエンジンに関する研究には定評があり、ベイジアンネットによる映画コンテンツのお薦めに関する論文も多数ある。こういった高度な分析力を必要とするレコメンドエンジンがある一方、人ベースの共起分析による単純な推薦アルゴリズム(この商品を見た人はこの商品も見ています)というものは、商品や顧客に対する知識が全くなくてもできてしまう。つまり「商品Aと共起するのは商品Bである」という結論は、その因果に関係なく自動的に計算されるからだ。商品が何であろうが、顧客が誰であろうが、数学さえ分かれば誰でもできてしまう。

おむつとビールの共起は有名だが、そもそもどんな顧客がどんな時に、なぜおむつとビールを一緒に買うのかは、誰も明らかにしておらず、ただこの意外な組み合わせゆえに、データマイニングの成果として取り上げられているにすぎない。最近ではこの様な単純なアルゴリズムを用いた廉価版レコメンドシステムが散見されるようになり、困ったものだと思っている。ネットでビールを買ったら、いきなりおむつを推薦されたらどんな気持ちになるだろうか。レコメンドシステム導入の最終目的は、クライアントの売上げ、利益向上であることは間違いないが、レコメンドシステムに用いられる顧客の行動ログや商品データなどを分析することで、真のCRM、顧客戦略や商品戦略策定の有用なツールになることを理解しなくてはならない。

ネットフリックスでは、配送にも分析力を活用している。頻繁に借りる会員と滅多に借りない会員を分類し、スロットリング(throtling)という方式で配送を調整している。RFM分析(Recency:最新購買日、Frequency:累計購買回数、 Monetary:累計購買金額)で言えば「F」に当たるわけだが、通常のCRM理論では「F」が大きいほうがよい顧客だと言えるが、ネットフリックスのモデルでは、Fが小さいほど優先順位が高いという。定額性なので利益率が高いということなのだが、当然のことながら解約されれば元も子もない。そこで、Fが小さい顧客の満足度を維持するために、配送の優先順位をうまく案配しているそうだ。

こういうパーソナライゼーションは、まさに究極のCRMであり、ネットフリックスは分析力を武器とする企業を代表すると言ってもいいだろう。他にも、DVDの頒布権(はんぷけん)をいくらで買うかの決定にも役立っているというし、意思決定に分析のできる人間を雇い、大きな成功に結びつけている。ログデータの集計、定量分析、定性分析、行動パターン分析、顧客満足度分析、マーケティングミックス最適化分析など、あらゆる部門で分析を行なうことが企業文化になっているという。

ALBERTの目指す方向は、この「分析力」を提供することでクライアントを成功に導くということであり、それが必然的に我々に与えらた社会的使命だとも思っている。

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21:31

2009年06月12日

代々木倶楽部にて社員研修中(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

今日は社員研修です。恒例の箱根での合宿は、経費削減の意味もあり上期は中止。会社から歩いて5分ほどの代々木倶楽部で日帰り研修とした。内容は、前回の合宿のレビューと上期振り返り、レコメンドエンジンについての復習、続CRM勉強会、ロジカルシンキング演習などを行ない、その後社長から中期戦略と下期戦略の話、最後に各部門から下期戦略を発表してもらう予定です。

夜は豪華なディナー。元アンケート会社だけあって、ランチもディナーも事前にメニューを提示してそれぞれ何を食べるかを決めました。ランチはたくさんのメニューの中から2つしか選べなかったので、誰からも不満が出ない設問設計をしました。結果は人気のきじ重が10名、ハンバーグセット(スープ・ライス付)が7名となりました。ディナーは予算の関係もあって、しゃぶしゃぶか、フレンチのフルコースのどちらかを選ぶことになりました。結果、しゃぶしゃぶが8名、フレンチが9名とほぼ半々になりました。

詳細は、広報ブログで近々報告されると思います。

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10:50

2009年05月31日

最近見た映画(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

ALBERTでは今年から毎日全体朝礼を行っており、順番に朝の一言(3分間スピーチ)をすることになっている。ただスピーチと言っても、何もテーマがないと漠然として話しにくいだろうと思ったので、テーマを決めている。「スポーツ」「家ですること」に続き、次回のテーマは「映画」にした。(決めていても家ではトイレで読書しかしないという話をした人もいたが・・・)

映画ほど幅広く親しまれている趣味のジャンルは少ないのではないかと思う。このテーマは一人1回でなくてもよいと思っており、MLでは以下の様な案内をした。

①初めて見た映画は?
②今まで感動した映画ベスト
③最近見た映画の評価
④駄作だと思った映画
⑤どうしても見たい映画

そこで私が最も最近(今日)見た映画の紹介をしようと思う。「アメリカンクライム」という1965年に実際に起きたアメリカ史上最も凶悪な犯罪の一つと言われる事件を元に描いた作品。シングルマザーに預けられた2人姉妹の姉シルビアが、一見ごく普通の家庭の主婦とその子供たちや友人に虐待、拷問を受け殺されるというストーリーだ。映画自体は決して好きなジャンルではないが、たまたま「ネットで予約で自宅に届いてポストに返却♪」に適当に予約していたら届いたという感じだ。しかし、その中で一つだけ人ごとではなく恐ろしいなと感じたことがある。

『人は大人数になって指揮官が別にいると、善悪やしてよいこと悪いことの判断が棚上げされる。責任の所在が曖昧になると、人は平気で悪いことをするのだ。』

これはあるブログに書かれていたものだが、多くのクレディビリティ欠如による問題の本質がここにあるのではないかと感じた。つまり、企業には上司や経営者がいる。その上司や経営者がちょっとした不正を働くと、部下は自分の責任ではないとその所在が曖昧になるために、平気で悪いことをするようになるということだ。そういうことからも、経営者にとってクレディビリティが非常に重要であるとの思いを再度強く持った。

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17:55

2009年05月29日

本当に仕事ができる人とは(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

人には色々な能力がある。私は「ロジカルシンキング」「コミュニケーション能力」「クリエイティビティ」が重要であって、国語・算数・理科・社会の成績ではないと言っている。ここで言う「成績」とは、学歴と置き換えてもいい。いずれにしても学生時代のテストの成績はあまり関係がないということだ。この3つの能力が高いと仕事ができるということになると思うのだが、もう少し上位概念で何か一言で必要な能力を挙げれば、「問題解決力」だと思う。

売れる商品が開発できない、商品が売れない、利益が上がらない、無駄がなくならない、スピードが遅い、社内がぎくしゃくしている・・・。これらの問題を解決することができる人がいれば、それは仕事ができる人と言っていいだろう。問題がない企業などどこにもないし、もし問題が見つからないとすれば、その「見つからないという問題」を解決することも問題解決力のひとつだろう。

私が就職した時代のTDKは、入社してから約1年間は研修であった。2週間の座学の後は、製造現場での実習や三交代勤務があり、毎日ひたすら段ボールをコンベアに積むような仕事もあった。こういうあたかも無駄とも思える単純作業をやらされた時に、文句ばかりを言ってぶうたれる人と、いかにその単純作業を効率よくやることを考える人と、さらにはその単純作業をなくしてしまうことを考える人がいる。言わずもがな、仕事ができる人は後者のほうである。

ALBERTの企業理念でも、単純作業は人がすべきではないと謳っているが、インタースコープのインターンであり当社のCFOでもあった佐々木大輔は、私が知っているビジネスマンの中でも飛び抜けて仕事ができる。インタースコープではエクセルで調査結果の集計を担当していた。彼は、こんなばかばかしいことはやっていられないと言い、マクロを駆使して自動集計システムを数日で完成させてしまった。エクセルでの単調作業を文句を言いながらやり続ける人と、そもそもその作業自体をなくしてしまおうと考え、しかもそれを自分の力で解決してしまう人では、何万倍もの差がある。

与えられた仕事をきちんとこなせない人は問題外だが、与えられた仕事をその通りにきちっとこなすだけでは本当に仕事ができる人とは言わない。どんな単純作業であってもつまらない仕事であっても、高い問題意識を持ち、まずは問題を発見する、そして自分で解決までできないまでもどうすればその問題が解決できるかを提案し、組織を動かし実行することができる人が、仕事ができる人だと思う。

13:05

2009年05月24日

知情意と経営(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

2004年、インタースコープの年始の挨拶で「草枕をGM的に考える」と題して、「知情意」の話をした。GMというのはグラフィカルモデリングのことだが、ALBERTはリサーチ会社ではないので詳細はこちらをご覧いただきたい。なぜ2004年年頭に「知情意」の話をしたかと言うと、インタースコープはその時期が最も成長のスピードが激しく、組織に軋轢が出てきたからだった。私が2001年の4月に社長に就任した時の売上は約1億、2005年に退任する時には約11億になっていたのだが、2003年から2004年は、3.5億から7億に倍増した時期であり、人員も大幅に増員した。小さな組織でも、組織の壁やセクショナリズムが問題になるが、バス1台を超える人数になるとさらに顕著になる。今のALBERTは、まだ鍋蓋型の組織なので役員の一声で何とかなるという側面もあるのだが、それなりのヒエラルキーができた組織だと、それすら通用しなくなる。特に経営理念に「科学的アプローチ」を謳っていたインタースコープでは、「知」の管理の弊害が出て来ていたように思われた。そこで、インタースコープの理念をグラフィカルモデリング的に紐解いてみたわけだ。

夏目漱石の有名な草枕の一節はこうだ。

山路を登りながら、こう考えた。
智に働けば角(かど)が立つ。
情に棹(さお)させば流される。
意地を通せば窮屈(きゅうくつ)だ。
とかくに人の世は住みにくい。

時代を超えて腹に落ちる一文だと思う。ここで知(智)情意とは何か?ということだが、

知・・・知識、理屈、道理、分別など
情・・・人情、気持、感情、情緒など
意・・・意思、意志、意地など

という説明をした。さらに現代社会での解釈は、

知・・・テクニカルスキル(専門技術力)
情・・・ヒューマンスキル(人間的能力)
意・・・コンセプチュアルスキル(概念創造力)

とも言われている。タイプ分けとしては、極端に分ければの話だが・・・

【知の人】
物事を知力で判断する。知力とは理論であり、経験とは異なる。理論に基づき合理的に判断するので、世間では冷たいとか理屈っぽい人に思われがちのタイプ。

【情の人】
自分の感性で判断する。簡単に言うと好き嫌いや相手の地位で判断する人。嫌いな人のやってる事は正しい事でも認めないとか、好きな人の言う事なら、信じても大丈夫だろうとかと考える人。世間では温かいとか人間味があるとか思われがちのタイプ。

そして、インタースコープの経営理念は、

科学的アプローチと・・・・・・・・・・知
徹底した人間主義により・・・・・・情
新たな価値を創造する・・・・・・・・意

という構成になっていた。これをグラフィカルモデリング的に表すとこうなる。


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科学的アプローチ=山川ismであり、従ってインタースコープは「知」の通せない人には居心地が悪く組織的にもうまく行かないということだったのだと思う。しかし、現実的には、ある意味共同創業者の平石ismでもあるかもしれないが、「情」の経営をしていたと思う。何よりも私のことをよく知っている上村君は、「山川さんほど感情的な人はいない」と言うし私自身も常に人は感情の動物であり、意思決定で最も優先されるのは最終的に感情であると言っている。

営業も同じだ。最近はいくらモノが良くても売れない時代だと言われる。まして商品にあまり差別性がない時には、「どの商品を買うか」ではなく、似たような商品なら「誰から買うか」だと中堅の営業マン向け研修でも教えている。スペックやモノ属性も重要だが、クライアントはほぼ同等のスペックやコストであれば、最終的には買いたい人(会社)から買うだろう。逆に言えば、買われなかった理由がスペックでないとすれば、買いたいと思われる営業マンではなかったと思うべきで、その理由はいくら問いつめても決して言わないことを理解しておく必要がある。

22:39

2009年04月27日

新作能「一石仙人」(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

突然、「能」の話なんて、一体どうしたんだろうと思われるかもしれないが、是非鑑賞したい「能」なのだ。あらすじの前半は、こんな感じだ。

『舞台はユーラシア大陸の果ての沙漠。にわかの日蝕の闇の中で、真理を求めて旅する女は、どこからともなく現れた羊飼いの老人に呼び止められます。女は、老人とともに不思議な体験をします。そこでは時間も空間も歪み、光さえ重力で曲げられて、見えるはずのない太陽の向こう側の星まで見えだします。』

ここまででこの能のタイトルの意味に「ピン」と来たかたはかなりのものだ。


「一石」=ドイツ語で「ein Stein」という訳だ。「一石仙人」は「アインシュタイン博士」という意味らしい。アインシュタインを題材した能なのだ。続きはこうだ。

『都、下京に住む七つばかりの双子の兄が、十年前天狗にさらわれ、宇宙を旅して昨日戻ってきたのですが、その姿はまだ前髪の子どものままで、双子の弟はすでに成人になっていたというのです。これは双子のパラドックスという、相対性原理で説明される時間の伸び縮み現象です。
 やがて星空の下、容貌魁偉な「茗荷悪尉(みょうがあくじょう)」の面を着けた一石仙人―アインシュタイン博士=ドイツ語「ein Stein」は「1個の石」意味― が登場します。
 相対性原理から導かれる宇宙の生誕から終末までを物語り、子方の務める核子達に舞台狭しと暴れさせた後、「原子の力を戦さや争いには使うな」とのメッセージを残し、一石仙人は重厚な「立廻り」を舞ううちに、ついには宇宙のかなた、ブラックホールに吸い込まれ、現在から未来の時空に消え去るのです。』

こんなに面白そうな能があるとは、全く知らなかった。実は、金曜日の夜からとある懇親会があり、人生と経営の大先輩に色々な事を教わった。詳細はまた別途書こうと思うが、この能のお話は、ALBERTはアインシュタインから取ったということを申し上げた時に、日本経済新聞の元代表取締役が教えてくださったものだ。他にも何名か著名なジャーナリストの方々とお話をさせていただいたが、とにかくその博学、教養、品格には脱帽した。どなたも皆、恐るべきロジカルな表現者だった。

01:42

2009年04月10日

意思決定理論(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

ALBERTではいくつかの新聞を担当を決めて読み、情報共有やビジネスの創出に役立てている。私は2000年のインタースコープ創業以来、日経新聞は欠かさず隅々まで読んでいたが、最近は日経産業新聞に切り替え、日経は別の担当に譲った。その日経産業新聞連載の「部長のための経営学講座」は、非常に身近で役に立つ講座なので必ず読んでいる。先週は表題の「意思決定理論」であった。

「意思決定」とは、1960年代に経営学とともに米国から伝わった「ディシジョン・メーキング」を翻訳してできた言葉だそうだ。今では当たり前に使っている日本語だが、私が生まれた時にはまだこういう言葉が存在していなかったのかと思うと、信じられない気分になる。意味としては、複数の案から最適解を導き出す管理職の日常行動を指し、「創案選択」と訳したほうが実体に近かったかもしれないと書かれている。

我々経営者でなくても、多くの場面で意思決定をしなくてはならないが、米国の経営学者であるハーバード・サイモンは「意思決定はプロセスとして一般化される」と主張し、「問題発見→問題(情報)認識→代替案設計→選択→実施→評価」という一連の活動の中で、①問題認識、②設計、③選択の3つ局面を意思決定のプロセスと考えた。当社商品企画担当の田村啓暁は、社内SNSの私の日記のコメントに「矢印の合間全てに「正しい」という形容詞を入れたくなります」と書いているが、まさにそれは「正しい」。

適切な意思決定には思考の技術を磨く事が必要なわけだが、『思考力が優れた人は、複雑な事実を単純化し、因果関係を短時間で徹底的に追求する習慣と思考手法を身につけている。論理思考だけでは解決できないと判断した時には、直感や感性、集合知の活用にかじを切り替えて行く。』という一文があり、激しく同意した。特に後半。人は感情の動物であり、「知情意」の優先順位は、「情意知」であるということだ。これは、スペックや価格だけでクライアントを説得できる訳ではないという風にも解釈できる。営業において重要な視点だと思う。

ここまで読んだ読者の中には、「山川はこのあと『あれ』のことを書くのか?」と思われたかたがあるかもしれない。

レコメンデーションというのは、意思決定の支援だ。ご存じの通りALBERTの経営理念は、「ITを活用し、消費生活における意思決定の支援、悩み・迷いの解決をする」であり、理念の中に「意思決定」という言葉が含まれている。そして事業コンセプトは「レコメンデーションの専門企業」。

改訂した法人ホームページの用語の説明に載せたのだが、ALBERTは「レコメンデーションの専門企業」を標榜しているが、レコメンデーション""やっている企業ではなく、レコメンデーション"だけ"をやっている企業である。さらに、レコメンデーションの「一部だけ」をやっている企業ではなく、あらゆるニーズに応える様々なレコメンドソリューションを提供している。また、産学連携での教育研究活動や学会活動などにより幅広い研究を行なっている。商品化に際しては、自社で運営している「見つかる.jp」に新しいレコメンドロジックを用いたエンジンのプロトタイプを実装、入念な検証をした後に提供するという他社にはない特徴がある。

そして、その代表的エンジンが『Bull's eye』である。このBull's eyeは、評価構造図を元にしており、「評価グリッド法」という手法を用いる。「評価グリッド法」はパーソナルインタビューで用いられることの多い手法の1つで、人間が「何を知覚して」その知覚から「どのような理解をし」、そこに「どのような価値を見出して」いるのか、という消費者が持つ評価構造を明らかにし、視覚的に階層構造として表現することができる画期的手法だ。

まさに意思決定理論そのものであり、購買履歴のデータマイニングや共起分析、協調フィルタリングだけではない幅広いソリューションを提供しているわけである。

17:07

2009年04月09日

レコメンデーションに関する課題(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

ここのところ、シリーズでレコメンデーションのロジックに関する勉強会を開催している。全スタッフのレベルがかなり上がって来たと思うのだが、とあるレコメンデーションの記事に関して、間違っている部分を見つける課題を出した。提出締め切りが昨日の18時だったのだが、その回答内容や提出時期にはまだまだばらつきがある。

まず、提出順を発表したいと思う。

1.濵田和美(2日前のAM)
2.辻慶(2日前のPM)
3.船串奈津子(1日前のPM)
4.深江方和(1日前のPM)
5.田村啓暁(1日前のPM)
6.見並まり江(1日前のPM)

その他の社員は当日または期限後であった。

私は「スタッフは納期」とか「Speed is money」とかよく言う。営業でも同じで、あと少し早ければ他社に決まる前だったということもある。最近のクライアントヒアリングでは、ALBERTの素早い対応を評価していただくケースも多い。見積もり提出や資料送付もスピードが大切だ。明日の夜までにはという約束をしておいて、明後日の朝になったのではもうダメである。逆に明日の昼頃とかに提出できれば、期待値を超える事になり評価が上がる。

ただし、納期さえ早ければ内容はどうでもいいかと言うと、そうではない。

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納期が早く内容も良いのがいいに決まっているし、両方ダメなものはダメに決まっているが、納期と内容とどちらを重視すべきかと言えば、納期だと思う。多少内容に問題があっても、納期さえ早ければ修正の機会もあるし、一時的に恥ずかしい思いをするかもしれないが勉強になる。納期に遅れたものは、なかったと見なされる事さえあるので、特にビジネスにおいて納期は必ず守って欲しい。

もっと言うなら、何らかの指示を求められたり課題を出されたときに、それが非常に多くの検討や調査を必要とするなら別だが、たかだか数分でできる課題であったり飲み会の出欠確認などは即レスをすべきと思う。ためらって返事をしたほうが価値があると思う人もいるようだが・・・・。

17:26

2009年03月22日

企業の成長とイノベーション(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

成長に限界はあるかのエントリーで、変曲点には重要な意味があると書いた。以下の曲線は、「イノベーションのS字曲線」とも言われ、X軸が技術開発の累計投入量、Y軸が製品のパフォーマンスを表している。同様に、これは普及率の曲線にも当てはまる。ロジャースはこの普及曲線を正規分布だと仮定し、上位2.5%をイノベーター、続く13.5%をアーリーアダプターと定義し、さらにジェフリームーアは、この2つの合計である16%を超えるところに、「キャズム」の存在を提唱した。この様に、このS字曲線おとびその累積分布曲線は、イノベーションや企業や経済の進化を考える上で非常に重要な意味を持つ。

henkyokuten2.jpg

変曲点というものは、このS字曲線の中央にあるいわゆる成長が鈍化する瞬間を表している。技術開発に投資をしても、スペックや信頼性があまり上がらなくなる瞬間であり、普及率で言えば、どんどん増えていたユーザーの増え方が減少し、急激な増加がなくなる点だ。この点の見極めは非常に難しい。なぜなら、まだまだ売れ続けているから、なかなか方針の転換ができないのである。ところが、このままにしておくと、どんどん投資効率は落ち、増加率は減少し、市場はサチュレートしてしまう。

これに気づかずに、どんどん開発をし続けた結果が、「優良企業はすべてを正しく行なうがゆえに失敗する」という「クリステンセン」のイノベーションのジレンマとして有名な現象だ。つまり、「優良企業は、顧客に耳を傾け、製品・サービスの改良改善に取り組むという優れた価値基準と行動規範を備えている。その結果、顧客ニーズのないアイデアは切り捨てることが善とされている。」「優良企業は、持続的イノベーションで好業績を上げており、破壊的イノベーションを軽視する。それは何より従来製品に比べて性能が劣り、市場規模は小さく収益性も低いため、大企業の成長率向上に寄与しないからである。」ということだ。

このことを回避するには、以下の図の様にこれに変わる新商品の投入しかない。またはクリステンセンの言う通り、「破壊的イノベーション」がこれを駆逐していくのである。

seityou02.jpg

この事は歴史が証明しており、成長し続けるものなどこの世に存在しないのである。

seityou03.jpg

17世紀から18世紀にかけ農業革命が起き、18世紀から19世紀には蒸気機関に代表される第一次産業革命、その後電力や石油に代表される第二次産業革命が起き、現代ではインターネットに代表される情報、知識革命が起きている。イノベーションのS字曲線は、変曲点の前半では、成長し続けるように見えるが、実は変曲点を過ぎれば成長は鈍化する。鈍化した時に、また新しいS字曲線が出てきてやがて一つ前のS字曲線を越える。

この繰り返しが、イノベーションの進化であり、長い目で見ればこの繰り返しが人類の進歩のスピードと一致しているといえるわけだ。つまり、いくらベンチャー企業であっても、急成長は続くわけではなく、特に現代のスピード感について行くためには、開発はし続けなくてはならず、新しいビジネスモデルを作り続けなくてはならない。縮小均衡などあってはならない。

15:22

2009年03月14日

イノベーションとは何か(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

今年度下期の明治大学MBAでの「イノベーション論」の講義は、既に2月で終わっているが、結局イノべーションとは何か?に対しての答えを出せなかったように思う。先週、上村君が僕の机の上に、「俺は、中小企業のおやじ(鈴木修)」を置いて行った。面白かった本は、時々交換して読むが、先日の「柳井さんと千本さん」のエントリーではないが、共感の質が経営者とそうでない人ではかなり違うと思っている。おそらく、上村君が共感する部分の適度な共有ができるようになったのではないかと思う。

鈴木修氏は、スズキ株式会社の会長兼社長 (CEO&COO)だが、この本の中に「いったん規則ができると、自分の頭で考えずにそれに従う人が出てきます。これを世間では『大企業病』というのでしょうか。最も頭にくるのが、こういう姿勢です。」というくだりがある。つきなみかもしれないが、これはイノベーション、ベンチャーの本質をついており、激しく共感する。上司や経営者が決めた事を、何の疑問も持たずに繰り返す。たとえ疑問を持っても言わない、改善しようとしない。ベンチャー企業でも、こういうスタッフは多い。人は安易なほうに動くものであり、できれば何も変えないほうが楽である。変えればよくなると思っても、悪くなる部分だけを主張してイノベーションを阻む輩が多いことは事実である。リスクを洗い出すことと、イノベーションや改善を阻むことでは全く意味が違うのである。

ALBERTでは取締役会議の決議をメールで行なうことが多い。監査役が取締役会で議論したほうがよいと判断して異議を述べたときはできないが、会社法では,機動的な会社経営の実現を図るため,定款で定めることを条件に,「書面決議」が認められている(会社法370条)。取締役の全員が同意している議案については、議論を省略して電子メールでも取締役会決議ができる。今回の株主総会開催決議もメールで行なった。しかも、監査役の保月は海外から携帯メールで「異議無し」という意思表示をした。失礼ながら保月の年の役員が、こんなことが行なっている会社は、数えるほどしかないのではないかと思う。

しかし、未だにこういった手続きを、リアルの会議や文書でなくてはできないという企業も多い。特に大企業はそういう傾向があるが、やはりこれはいったんできた規則を変えようとしないイノベーションに対する抵抗勢力が大きいからなのだろうか。それとも、改善しようという動きすらないのだろうか。コストを考えても、メールで済ませることができるものは、どんどんメールにすべきと思う。

『イノベーションとは何か?』

シュンペータのイノベーション論では、「経済成長は企業家のイノベーションによって推進される。しかし、企業家が群生し、イノベーションが枯渇すると低迷する。そして再び企業家によるイノベーションが生み出され、経済は循環していくことになる。」といった、景気循環に影響を及ぼす規模の創造的破壊を議論しているようにも思えるが、実は「人類発展、社会貢献のために、既存の概念にとらわれず、新しい発想で、変化を恐れず、抵抗勢力に負けずに果敢に戦い実行する」これがイノベーションの本質ではないかと思う。つまり、売上げの多寡とか、認知率とか普及率とかではなく、いくら小さいことでも、イノベーションはイノベーションなのではなかろうか。

ALBERTの社名は、ご存じの通り、アインシュタインから取っている。アインシュタインの相対性理論はニュートン力学とマクスウェルの方程式を基礎とする物理学の体系を根本から再構成した画期的イノベーションでであったわけで、ALBERTはイノベーションを起こし続ける。

23:02

2009年03月05日

ダイエットして4キロ痩せた(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

1月中旬からプチダイエットを始めて、正月から4キロ痩せた。ダイエットというものは不思議なもので、特に女性の場合はかなり痩せていると思われる人でも、「ダイエットしている」と言ったりする。文句なく絶対にダイエットする必要もないし、してはいけないと思えるのは、私の回りでは上村君くらいである。そういうことで、誰に話しても「どうやって4キロ痩せたんですか?」と興味津々に聞かれる。

どうやって痩せたかと言えば、「ダイエットをしよう」という明確な意思決定をして、期限と%の目標設定をして、それを周囲に公言したということが大きい。具体的な努力としては、まずは暴飲暴食をしないように気をつけるとか、夜中に食べないようにするとか、大盛りにはしないとか、居酒屋で揚げ物は食べないとか、少しずつの心がけの積み重ねではないかと思っている。極端な事をやっても続かないと思うし。

先日の人間ドッグでめでたく正真正銘のメタボに認定され、脳梗塞や心筋梗塞は普通の人の36倍起きる確率が高いと言われ、栄養士の先生に様々な食事療法を教わった。

×あまり食べないほうがよいもの

クリームソースのパスタ
ハム、ソーセージ
ハンバーグ
サンドイッチ
カレー
シチュー
グラタン
オムライス
チーズ
アイスクリーム
生クリーム
洋菓子
バター
マーガリン
鶏の皮
豚ばら肉
魚卵
干物

とはいうものの、全く駄目という事ではないので、気をつけて減らす努力をしている。

ただ、やはり食事制限だけでは難しいだろうと思い、1日6000歩を目標にウォーキングを積極的にやろうと心がけている。私の賢い携帯には、万歩計機能がついていて、時間単位での歩数がグラフ表示されるほか、消費カロリーや脂肪の燃焼量なども毎日自動的に記録される。歩数の目標設定をしておくと、達成時に音が鳴り、カレンダーにVマークが付く。たったそれだけの事でも励みになる。

私の場合、自宅が駅から1分程度のところにあるので、あまりそこで歩数を稼げない。商談で2回以上外出すると、6000歩を超える事もあるが、1日会社にいるとまず無理である。そこで、最近は朝2駅分歩いてから電車に乗ることにしている。また、帰りも遅くに食べなくてはならない時には、途中下車してその駅で食べて歩いて帰るという様なことをしている。

今までは、1キロくらいでもタクシーに乗ってしまう事が多かったが、その道のりを「移動」と考えるのと、「ウォーキング」と考えるのでは全く認識や行動が変わる。今までは移動もいかに最短距離でとか考えたのだが、最近は少し遠回りしても新しい道で新しい発見をしながらウォーキングと考えるようになった。こういうことは、やはり最初に書いた「ダイエットをする」という意思決定と明確な期限と目標(ビジョン)があるからできるのだと思っている。

仕事も同じではないかと思う。明確な経営理念や事業目的があって、ビジョンがあり事業計画や売上げ目標がある。そういう意識を常に持って気にかけていると、日々の行動も変わってくるし、ちょっとした空き時間に営業報告を書くとか、電車の中でも商品開発のことを考えるとかすると思う。もう一つは、やはり会社そのものもダイエットしてリーンな組織(Lean Organization)にして、不況に打ち勝つ強い体制を作ることが急務であると感じている。

11:24

2009年02月06日

成長に限界はあるか(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

企業の成長について何回か書こうと思う。非常に本質的で根源的な事を書こうと思っているのだが、上村君が前のエントリーで千本さんの言葉を紹介しているように、私がこのブログで書いたこともどれくらいが読み手に伝わっているか分からない。なるべく事例などを出しながら、かみくだいて書こうとは心がけているが、思っていることを言葉にした瞬間にその意味が変わるとも言われるので、なかなか難しい。

成年男子平均身長は歴史的に見るとかなり伸びている。縄文時代は155cmであったというから、明治時代くらいまではあまり伸びなかったようだ。その後は食料事情の改善によってどんどん伸びて来ている。
1898年   156.6cm---(明治31年)
1912年   158.1cm---(大正元年)
1932年   160.0cm---(昭和7年)
1958年   164.3cm
1968年   167.3cm
1979年   169.4cm
1988年   170.3cm

生まれ年ごとの日本人成年男性平均身長は以下の通り。
1935年   162.2cm
1945年   164.9cm
1955年   166.9cm
1969年   171.8cm

私は1957年生まれ172cmなので、子供の時はかなり小さかったが今では大きいほうなのだとびっくりする。最近では、日本人の平均身長の伸びも鈍化しているという。鈍化とはいえ、伸びているのだろうか。

ところで、私は父より背が高く、息子は私より背が高い。身長が遺伝かどうかは分からないが、この観察結果から、「息子の身長は父親より高い」という仮説は正しいだろうか。この質問をある人にしたら、「それが事実なら何万年後かには巨人になってしまうので、ありえない。」と言った。この回答は正しいだろうか。

明らかに間違いである。成長をY=aX+bの単調増加と考えれば巨人になることもあるが、例えば「子供の身長は2メートルから父親の身長を引いた分の半分だけ高くなる」という仮説があったとすれば、「子供の身長は永遠に父親の身長より高くなるが、決して2メートルは超えない。従って巨人にはならない」ということになる。巨人になると主張した人に、明らかにそれは間違っているという説得ができるということは、ロジカルな考え方ができるかであり、へりくつという人もいるかもしれないが、重要なことだと思っている。実際に上限があるかどうかはわからないが、人の身長の伸びには必ず限界があるのだと思う。

さて、企業の成長の話に戻すと、夢のような事業計画を描く時に以下の様な成長曲線を描くことがある。

seityou1.jpg

しかし、何ごともそうだがこのような指数関数的曲線で成長し続けるものはない。過去の文明の利器の普及率を見ても、どんな需要も市場規模も頭打ちになる。では、なぜ夢の事業計画ではこういうグラフを描くのか。特にベンチャー企業の場合は、成長が鈍化して成熟、爛熟するまでのビジネスモデルを描いていないことが多く、また描いてもその通りにならないということもあるだろう。この様な曲線というのは、実は以下の曲線の前半部分だけを抜き取ったものだと解釈するのがよい。

seityou2.jpg

この曲線はロジスティック回帰曲線と言われるものに近いが、必ず「変曲点」というものがある。変曲点というのは、曲線の凹凸が変わる点、もう少し数学的に表現すると、2回微分した時の符号が変わる点をいう。企業の成長においては、この「変曲点」というものに大きな意味がある。(続く)

14:07

2009年01月25日

『権限委譲』は間違いだ(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

世の中一般には、権限委譲をしろとか、権限委譲によって部下が育つとか、いかにも権限委譲が金科玉条のごとくに言う人がいるが、まるで当たっていない。権限委譲という言葉が取りざたされてきた本質は、インターネット出現以前のヒエラルキー型組織が主流だった組織石器時代の「職位の差別性は情報量の違いによって成立する」というパラダイムが崩れたことにある。つまり、平社員より係長、係長より課長、課長より部長は、経験も多く会社の過去や市場の状況や会社の方針もよく知っていて、仕事ができるという事が前提であった。しかし、インターネットの出現により、情報の共有化が進み、ナレッジマネージメントも進み中間管理職の存在意義が薄れてきた。

組織はヒエラルキーからフラットになり、情報は同時に共有されるようになった。インターネットの出現は企業経営においても、大きなイノベーションを起こした。そんな中で、権限委譲ということが、未だに組織づくりにおいて議論されているとすれば、相当遅れていると言わざるを得ない。

なぜなら、組織は権限委譲ではなく、人間結合の法則によって成り立つべきだからだ。私は、独立し会社経営を始めて以来、権限委譲をしたことがない。なぜなら、人間結合の原則に従って経営をしているからだ。シュンペータは、1.製品 2.生産方法 3.販売経路 4.原材料 5.組織の5つの新結合でイノベーションを定義した。WEB2.0では「マッシュアップ」という概念が取り入れられているが、これも新結合だ。つまり、企業経営において、「結合」という考え方は、過去においてもWEB2.0時代でも非常に重要な概念であるといえる。

会社の力は社員の力の総和ということを繰り返し言っているが、つまりこれは、社員の力の結合にほかならない。社員の力の結合によって企業が成立するのであれば、そもそも権限が一部の人に偏っていること自体がおかしい。権限委譲というのは、権限が偏っている石器時代の企業において、そもそも権限を持っている必要もない人から、その意思決定や決済を正しくできる能力のある人へ権限を解放したに過ぎず、権限委譲が誉められることではないことは明らかだ。

既得権益というものがある。『既得権益とはある社会的集団が歴史的経緯により維持している権益のことで、時流にそぐわなくなった特権としてその社会的集団を非難するときによく用いられる。』とWikipediaにあるが、まさにこれを言っている。一部のベンチャーでは、創業者がすべての権限を持って経営していることもあると思うが、そういうベンチャーは、創業期はよいが必ず滅びる。

私はよい提案をした人には、「じゃああなたがそれをやってくれ」という。私がTDKの商品企画だった時に、携帯型のナビゲーションシステムの開発を提案した。1990年くらいだと思う。せっかくTDKという素晴らしいB2Cのブランドがあるのだから、ハードメーカーの下僕のようなメディアではなく、ハードそのものをやるべきだろうと考え、オーディオ関連機器に参入すべきと言ったが、部品メーカーのTDKとしては、大手ハードメーカーにパーツを納めている手前、競合することはできないと却下された。分社化の提案もし社内論文でトップを取った事もあるが実現しなかった。では、競合しないまだどこもやっていないハードであるナビゲーションならいいのではと思ったわけだ。もし私がオーディオ関係の商品企画に残っていたら、少なくともRIOやアイリバーよりはよい条件で事業展開ができたのではないかと思う。

たかがメディア事業部の商品企画係長の提案なので、採用されることもなく、結局メディアの将来に失望して会社を辞めた訳だが、今ではそのブランドものともIMATION売却されてしまい、影も形もなくなってしまった。オーディオビデオのブランドとして一時代を築いた商品企画担当としては寂しい限りだが、これも時代の流れなので仕方あるまい。

そんな経験もあるので、よい提案をして来た人には「失敗してもいいからやれ」というのがALBERTの方針だ。今回の実績査定から、報奨金制度を設けたが、いずれは「最多失敗賞」を作る予定だ。失敗というのは、チャレンジしなければ起こらない。何もせず黙って成り行きを見守っているギャラリーはベンチャーには不要だ。

特にベンチャーは、社員一人ひとりの力の結合で成り立っている。力を結合している限り、権限の偏りは起きないし、そもそも持つ必要のない人に権限がある事がないのであるから、「権限委譲」という概念もない。ALBERTはおそらく一般企業よりアルバイトや学生の割合が多い。これは世の中一般の企業が、すぐにクビを切れるという理由で派遣などの一時雇用を多く採用しているのに対し、ALBERTでは全くそういう意図ではない。雇用形態に関係なく、その能力の結合によって企業が成り立っているという人間結合の法則に則っている。それぞれが、自分の能力相応の仕事をし、その反対給付を得るという、極めて単純な原理原則で経営をしているに過ぎない。

02:22

2009年01月22日

恒例の職能テスト実施(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

ALBERTでは今期から人事制度を改定した。詳細は後日述べるが、いわゆる専門職制度を導入した。専門職制度を導入と言っても、「専門バカ」でよいという訳ではなく、幅広い知識を持ち複数の専門分野を極めて欲しいと思っている。

そんな事もあり、今日のテストの問題を紹介しよう。

会社の力は(E        )の総和と言う話をよくすると思うが、さらに分解するとEは素質×(      )×(      ) である。そのためALBERTではEに力を入れており、毎週の勉強会、ほぼ毎日の(        )発行などを実施している。 また、専門知識だけではなく広く一般教養も身につけて欲しいと願っている。そのために、保月監査役の勉強会を毎週月曜日に実施しており、今期は2ヶ月に1回程度の水曜18時からの勉強会の講師もお願いしようと考えている。一つの専門分野しかない人を(    )型人間と呼んでおり、(   )型→(   )型→(     )型と成長してくれることを望んでいる。年を取った時のアイデンティティは人脈と教養であると言われる。そのためには、若い時から努力をし、 多くの事に興味を持ちできれば究め、いつでも一緒に飲んだり趣味を楽しめる家族や友達を大切にして欲しい。 これがALBERTの企業理念の要諦であり、経営に当たっての創業者の考え方や(      )を示したものである。

一般教養として、こんな問題もある。

利益は企業にとっては(    )や(    )みたいなものであり、これを上げることを目的にしてはならない。企業の目的は社会に(    )を提供することであり、これが企業が『(    )』だと言われる所以である。企業が利益を上げる事だけを目的にするようになった背景には、会社は(    )のものであり株価が全てという米国流の 「(    )資本主義」があり、これは(   )問題に端を発するアメリカ経済の崩壊で終焉を迎えた。

ほとんどが勉強会や代表者ブログの内容なので、普段きちっと勉強していれば、簡単にできる問題だ。ALBERTは毎月社員に対しては、P/LやBSを開示している。企業の透明性を重視しているからであって、最も大切にすべき社員に対しても、正しい現状認識をしてもらうのは当然のことだ。ということで、こんな問題も出した。

簿記は(        )の中の2文字を取ったもので、(     )式と(A     )式がある。A式簿記では、パソコンを買ったとすると(      )が減ったことと(      )が増えた事両方を同時に記録する。決算の目的は、企業の(      )を把握し、(      )の改善に役立てることにある。ALBERTの売上げ計上は、商品等を(B       )した時点で収益を認識する『B基準』 を採用している。一方費用は、原則として支出が(C       )した時点で認識する『C基準』で計上する。

さて、皆さんの解答はどうだったでしょうか。

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09:21

2009年01月12日

ALBERTは年功序列、終身雇用(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

一般に、「正しい」とか「よくないこと」と言われる中で、そうとは限らない言葉や格言なども多い。毎朝全員朝礼を始めたので、少しずつそんな話もしている。先週は、「朝令暮改」の話をした。朝令暮改は、一般的には『朝に出した命令を夕方にはもう改めること。方針などが絶えず変わって定まらないこと。』という悪い意味に使われる。定額給付金の説明などは、この例に当てはまる。減税なのか需要喚起なのか、高額所得者は受け取るべきなのか、そうでないのか、全く政府の見解はよく分からない。

朝令暮改が悪いのは、このように一貫性がなく、信念も理念もない中で方針が変わる事を指す。私は朝令暮改を推奨しているし、朝令朝改ですらやるべきだと言っている。よりよい方法やアイデアが出て来たら、たとえその日に入ったアルバイトの意見でも採用するというのが、ALBERTの方針だ。これはビジョンがないとか、一貫性がないということとは質が違う改善だという事を理解して欲しい。時々、前に言った事をくつがえして別の事を言うことがある。社員からは、「この間はこうおっしゃったんです!」とお叱りを受ける。それはそれで申し訳ないとも思うのだが、その時点でどちらがよりよいかを判断して欲しい。その時によりよいと思うのであば、変える勇気が必要だと思う。そういう意味で、朝令暮改が常に悪いことではない。

年功序列も同じである。一般に『勤続年数や年齢が増すに従って地位や賃金が上がること』を指すが、これも最近ではよくないとされている。しかし、よくないのは「加齢序列」であって、年とともに「功」が増して行く事により地位や賃金が上がる「年功序列」は当然の制度である。「年功」の意味は、『長年その事に携わって積んだ経験。長年の訓練で得た技術。』である。賃金を「加齢」で決めてはいけないのだ。逆に言えば、功のない人の賃金は下げなくてはいけない。

終身雇用も非常におかしな言葉だ。一般に『企業などが、正規に採用した労働者を、特別な場合以外は解雇しないで定年まで雇用すること。』とされている。年功序列とともに、日本の雇用制度の特徴と言われている。しかし、これは変ではないだろうか。「終身」とは、『命を終えるまでの間。生涯。一生。終生。』という意味である。定年までの雇用がなぜ終身なのだろうか。日本の雇用制度の特徴を表すなら、「加齢序列」「定年雇用」が正しい。

ALBERTには定年がない。つまりこれが本当の終身雇用だ。加齢序列の会社は、定年を設けないと会社がつぶれる。功のない人、つまり付加価値を提供しない人に対して報酬を支払っていれば、健全な経営ができるはずがない。やった人にやっただけの報酬というのが、企業理念であるから、これが本当の年功序列であり、終身雇用だ。裏を返せば、非常に厳しい制度であり、いわゆる窓際的な存在は絶対に許さないし、自分を高め続けない人は、どんどん報酬が減って行くということだ。

17:39

2009年01月08日

今日は52歳の誕生日(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

多くの皆様からメールやGREEやリアルに温かいメッセージを頂戴しました。この場をお借りして御礼申し上げます。私のいるフロアでは、ランチにピザを取って菅さんがとっても美味しいケーキを買ってきてくれお祝いしてくれました。私がモンブラン好きなのでモンブランと、もう一つオレンジのムースでした。さて、このケーキ、消費者ニーズが多様化しており両方食べたい人、どちらかしか食べない人など色々です。どの様に分ければ公平なのでしょうか。それをアンケートを取って、瞬時に解析し切り分けた菅さんはさすがです。

さて、52歳ということでどんな年になるのでしょうか。ほとんどの方から、「健康に気をつけて」と言われるのですが、プロゴルファの青木功が心技体ではなく、「体技心」だと言っています。体は資本であり、体力がなければいくら技術があっても駄目だし、気力だけでは続かない。そういう意味でも、健康には気をつけなくてはいけないとは思っています。

それでも、こういったケーキはやめられないし、お酒もそこそこ飲むしなあ。。。。
とにかく今年も頑張ります。

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15:31

2009年01月06日

今日から毎日朝礼(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

ALBERTはフロアが3つに分かれている。ベンチャーのオフィスは1フロアが理想なのだが、このあたりでこの広さを1フロアでとなると、賃料が跳ね上がる。まだまだ余裕がある訳ではないので仕方がない。3フロアと言っても、1階は受付と会議室とリラクゼーションルームと倉庫しかないので、実質は2フロアだ。それでも、コミュニケーションの問題はあり、お互いの顔を1週間に1回くらいしか見ない人もいると思う。そこで全社一丸となって目標に向かって突き進まなくてはならない2009年、毎朝全体朝礼を行なうことにした。

私は2階にいるのだが、2階では菅由紀子の発案で昨年から毎日朝礼をやっていた。仕事以外の話題で朝の一言を全員持ち回りで話す事になっている。朝礼の文化はTDKの頃からあったし、マルマンでは社是の唱和や朝の一言があったので私は何の違和感もないが、初めての人には受け入れにくい「場」であるかもしれない。マルマンでは、部長以上は朝の一言にコメントをしなくてはならず、全く関心がない話や難しい話をされると何をコメントすればよいか分からずとても困ったものだ。いつもカリスマ社長が聞いているのでヘタなことも言えない。そこで、事前に朝礼当番に何を話すか聞いて、コメントも考えておいたりした。

こういった朝礼も「場のマネージメント」の一つだと思う。全員が毎朝顔を合わせるという事で、朝礼前後でのコミュニケーションが発生するし、朝の一言によって、スタッフの新しい側面を発見することもできる。また、皆に伝えたい事がたくさんあるのだが、週1回の朝礼やこのブログでは限界がある。そういう意味でも朝礼の機会は重要だ。あとは、微妙な遅刻に効果を発揮する。10時に始まるのであれば、10時にはパソコンが立ち上がっていなくてはいけないのだが、ギリギリに来てまずはコーヒーを淹れに行く人すらいる。朝礼があると遅刻が目立つので、皆が朝早く来るようになる。(そういう初日から微妙な遅刻をした人が2名いたのは残念であるが・・・)

TDKの磁気テープ事業部長であった赤井さんという方が、「スタッフは納期、現場は規律」とおっしゃった。ALBERTは製造業ではないが、少なくともカスタマーサポートという最前線の顧客対応窓口があるので、自由闊達で楽しい職場の中にも「規律」は必要だ。電車が遅れたというのは、遅刻を正当化するものではない事を認識しておいて欲しい。遅刻は遅刻だ。

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11:10

2009年01月04日

ベンチャーに不況はない(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

あけましておめでとうございます。今年は100年に一度の大不況ということで、年末からあまり明るいニュースがなく、さきほども厚生労働省の「派遣村問題」を取り上げていたが、「あけてもめでたくない」という雰囲気が漂っている。そんな中で、ベンチャー企業に託された責任は非常に大きいと考えている。なぜなら、この不況を打開する唯一の方法は、「新産業」、「新事業」、「新商品」の創出だと思うからだ。結果として雇用も創出され、消費も拡大する。そして、その担い手は我々『ベンチャー企業』だということだ。形ばかりの規制緩和や定額給付金では、何の本質的解決にも至らない。

年末に挨拶に来られた金融機関の方々や、正月に会った両親や親戚の皆さんに、「ALBERTのようなベンチャー企業でも不況を感じますか?」と聞かれた。はっきり言って事業としては感じていないというのが答えだ。なぜなら、新しいビジネスモデルで、新しい商品を販売しているので、昨年対比とか昨月対比という概念がなく、何%ダウンという様な指標がないからだ。つまり、新事業や新商品には不況は関係ないのだ。もし好況であれば、さらに売上げが上がったのかもしれないが、それは結果論であって、明確な因果はわからないと思う。

そんな中での目標や予算を作る事は極めて難しい。金融機関や証券会社の方々に、市場規模や類似企業に関して質問される事があるが、失礼ながらはっきり言って愚問だと思う。ベンチャー企業は、新しい事業を興し新しい市場を切り開き、新しく顧客を開発するものである。ドラッカーが「企業の唯一の目的は顧客の創造だ」と言ったが、新しい市場なので、市場規模などを計った人はいないのが通常だ。あのSONYでさえ、ウォークマンの市場規模は予測できなかっただろう。市場規模が明確に分かっている市場への参入は、その時点でベンチャー的ではないと言っても過言ではない。

また類似企業はどこかという質問がも多いが、そもそも先行する類似企業がある時点でフロンティアではない。もし私が投資家だったとして、経営者が類似企業をすらしらとたくさん挙げたら、その時点で投資を断念する。もちろん類似サービスや類似商品はあるだろう。部分的に競合する事もあるが独自性のない企業はベンチャーとは言わない。競合は「対応できれば自社を成長させてくれる存在。対応できなければ自社を衰退に追い込む存在(ドラッカー)」と定義されるように、企業の健全な発展にとって必要な存在だ。私など、競合が自社を脅かすサービスを出して来るとうきうき♪する。徹底的にそれを分析してそれを超えるものを出せばいいだけなので、より優位な展開ができるからだ。そんな時こそアドレナリンを大放出しすべての脳細胞をフル稼働して知恵を出す。

では、どの様にして目標を立てるべきかであるが、創業以来の先行投資のフェーズはもう終わったと考えている。すでに、業界でのある程度の知名度と地位は獲得したと思うし、上村君が述べた通り、クライアントの数もクライアントから学べるほどに多くなっている。これはシェアを上げる事のメリットの大きな目的の一つである。つまり、少し遅かったがようやく社会に付加価値を提供できる時が来たと言えるだろう。年末の合宿で「利益は企業の目的ではなく、空気や水の様なものだ。あってあたりまえで、なければ生きられないものだ。」という話をした。短期的利益を目標とする「金融資本主義」はサブプライム問題に端を発するアメリカ経済の崩壊で終焉を迎えた。これからは、適切な企業運営をし、適切な金額で商品を販売し、それを適切な原価で製造し、適切な利益を上げる状態が、適切な目標だと言える。ベンチャーの場合、創業期にすぐそれを達成する事はできない。いつ、その状態に持って行くかだ。できれば3年以内に達成したかったが力及ばずできなかった。しかし、5年目からはその状態に持って行く。つまり、今年の下期からだ。

その後は、ライフラインを獲得している状態になるので、あとは成長させるのみだ。冒頭に述べたように、「新産業」、「新事業」、「新商品」の創出を実現し、雇用の促進、需要の拡大に猪突猛進する。それが公器としてベンチャー企業に託されたミッションであり、経営者の使命だと思う。

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●昨年末の合宿「経営戦略勉強会」で企業の公器性に関して講義をしている様子

19:00

2008年12月24日

組織づくりはクリエイティブな仕事だ(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

ベンチャー企業における組織づくりは、大企業のそれとは同列に考えられない。有名な「組織は戦略に従う(アルフレッド・D・チャンドラーJr.) 」という言葉がある。戦略は組織に従うと言った人もあるが、ベンチャー企業は大きなビジョンや強い目的意識、理念などがあり、それに向かって組織を最適化するものだと思うので、「組織は戦略に従う」と思う。

「組織は人なり」「組織は頭から腐る」など、組織に関する格言や名言は多い。最近、ドラッカー学会に入った。ドラッカーと言えば、難解なビジネス書の代表のようなもので、ハーバードビジネスレビューを読んでいるようなMBAホルダーであれば別だが、一般的なビジネスマンにとってはかなりハードルが高い。中には上っ面だけ読んで本質を理解していないにもかかわらず、分かった気になっている人もいると思うが、色々調べて見ると、やはりドラッカーは難解らしい。

久恒啓一さんが、「図で読み解く!ドラッカー理論」でこうおっしゃっている。『「ドラッカーの理論が分かりにくいのは、文章が論理的にたたみこむスタイルではなく、飛躍が多い思想家型であるため」「ドラッカーの所論を忠実に理解することはやめて、自分たちがドラッカーの頭脳を借りて、独自の考え方を構築すればよい」という解決策をとった。』

難解には2種類ある。
(1)表現が難解
(2)内容が難解
私は化学出身なので、学生時代は熱力学とかシュレディンガーの波動方程式とかを勉強させられた。しかし、未だかつて一回も理解できていない。これは内容が難解だからだと思う。しかし、ドラッカーが難解なのは、理論そのものよりも表現が難しいからだと言われている(ドラッカーの経営のツボがよ~くわかる本)。たとえば、「重要な事が3つある」と言いながら、その3つがMECEでなかったり階層が異なっていたりすることがあるそうだ。つまり、ドラッカーという人は完璧なロジカルシンカーではないということなのだろう。

それでも、ドラッカーに惹かれる経営者が多く、これだけ著書が売れているのは、経営者に語りかける何かがあり、しかも表現が難解であるため、「もっと理解したい」という欲望のために、また別の本を買ってしまうという、知識欲の連鎖が働いているのかもしれないと思う。米国のテレビ通販で次々と発売される腹筋マシンが非常によく売れるが、メタボは一向に減らないのに似ている。もし、誰でも簡単にダイエットできるマシンができたら、メタボは減り皆がスリムになり、売れなくなるはずだ。

話は少しそれたが、組織変更という経営の中でも最も重要な意思決定は、非常にクリエイティブな仕事だ。ALBERTの場合は2代表なので、ほとんどの場合どちらかが発想して、修正をしながら合意して決める。重要なのは、組織に人を当てはめるのではなく、人が組織を作るということだ。幸い、コンパクトな会社であるから、組織変更にかかるコストはあまり大きくないし、意思決定も早い。ドラッカーは組織に関して「構造は戦略に従う。組織構造は目的を達成するための手段である。組織構造に取り組むには、目的と戦略から入らなければならない」と言っている。さらに「組織づくりの最悪の間違いは、理想モデルや万能モデルを生きた組織に機械的に当てはめる時に生じる。」と述べている。

こういう言葉は、本当に組織構造をとことん考えた人にとっては、まさにBull's eye!(ダーツでど真ん中に当たること)である。通常、経営管理部等の間接部門は、総務、人事、経理、財務、法務などの機能がまとまって一つの部門になっている。しかし、ALBERTでは人事は広報と一緒にし、コーポレートコミュニケーション部を構成している。これは、佐藤めぐみというディレクターが、人事と広報に長けているという人的な理由と、コーポレートコミュニケーションは社外に対してだけではなく、社内に対するコミュニケーションも含むと考えている事、そしてALBERTでは社員教育を重視しているので、人事機能の中には「教育機能」も含め単なる経営管理的な人事部とは一線を画しているという3つの理由がある。

この組織構造に変更したのは、まだ最近のことであって、その前までは佐藤めぐみが、広報と経営管理部の人事を兼務するという従来の概念にしばられた不都合な組織であった。まさに、ドラッカーの言う最悪の間違いを犯していたのかもしれないと思う。組織については、まだまだ書きたいことがあるが、長くなりすぎるので今日はここまでにする。

16:35

2008年12月19日

専修大学での講義(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

専修大学の「ネットワーク情報概論2」という授業で、「ネットビジネス最新動向~ セカンドライフ、Google Street Viewの向こうに何があるのか ~」というタイトルで講義をした。専修大学は、元々『ウェブログの心理学』で高名な山下清美教授とのご縁からサマーインターンを受け入れる事になり、その後継続しておつき合いをしている。学会でお世話になっている消費者行動の江原淳教授が、この講義に来られびっくりした。

講義は、結論から言うと大失敗だった。専修大学の初代インターンに濱田さんという優秀な学生がいた。彼女は、卒業後一社を経て現在はALBERTの社員なので、彼女にヘルプを頼んでいた。講義の内容としては、ALBERTの事業紹介、就職について、ネットビジネスの最新動向という順に話す予定だった。ALBERTの事業紹介は、濱田さんにお願いし、WBSのDVDを見てもらった。そこまでは順調だったのだが、ネットビジネスの最新動向の最後にARの話をし、電脳フィギュアARisのデモを見せて、このソフトをクリスマスプレゼントにしようという企画を練っていたのであるが、デモができなかった。
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前日までに濱田さんに練習をしてもらっていたのだが、濱田さんが会社説明をしている間に既にインストールをしてあった「ARis」を立ち上げた。すると、突然バージョンアップを始めてしまい、イーモバイルだった事もありものすごく遅く、これでは間に合わないと思いキャンセルした。そこでPCがフリーズ。二度と立ち上がる事がなかったのである。

急遽教壇に設置してあった、大学のパソコンを濱田さんに立ち上げてもらい、メモリースティックにバックアップをしてあったパワポを立ち上げようとしたのだが、これがまたメモリースティックがうまく認識されないという。その間、焦る濱田さんを横目に、ひたすら口だけでつないだのだが、今ひとつ学生の反応は薄い。10%くらいは寝ているし、質問をしても挙手しない。

さすがに、どうしようもなくなり、一時中断をしてメモリースティックを認識させ、ようやくパワポが写った。何とか就職の話から再会したのだが、他にも準備していたARのデモも何もできず、結局はパワポの画像だけで説明し、最後は希望者対濱田さんのじゃんけんでプレゼント当選者を決め多少盛り上がった。

講義自体は、まあ何とか話すべき事は話せたが、多くの反省点が残った。こういう講演や講義は何回も経験しているが、事前の準備や段取りはし過ぎる事はない。パソコンのフリーズやネットが繋がらない等のトラブルはある事を想定しておかなくれはいけない。今回、念のためにパワポをメモリースティックに入れて行ったのが不幸中の幸いだったが、これがなかったらせっかく教壇にお花まで準備していただいた担当の小林先生や学生の皆さんに本当に失礼な講義をすることになっていた。今後は充分に注意したいと思う。

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00:58

2008年12月14日

合宿と勉強会と飲み会(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

企業には、人が集い、コミュニケーションを深め、自己を高めるという要素がある。公式な仕組みとしては組織があり、様々な規定があり我々は日々活動している。同様に学校には授業があるが、もう一つの「場」であるクラブ活動やサークルがある。青春の想い出の多くが、公式の「場」ではない、もう一つの「場」にある人も多いだろう。

私にとって2社目であるマルマンには「ダイヤモンド委員会」というものがあった。これはダイヤモンドの分子構造になぞらえ、組織にとらわれず縦横無尽に問題解決の場を与えるものだった。「コスト削減委員会」「商品開発委員会」「物流改善委員会」「レクリエーション委員会」などがあり、各委員会の中にはその道の専門家も入るし、全く関係のない部門の人も入る。私はTDKでは商品開発と商品企画を経験していたので、「商品開発委員会」に入り、全く別の部署の人たちを指導し新しい商品の企画を作った。その委員会には、デザイナーもいるし間接部門の人や、全くその商品に関係ない企画部門の人もいるので、まるで小さなベンチャー企業を作ったごとく様々な発想が飛びだし、就業時間後に定期的に行われていたが、非常に盛り上がっていた。

このダイヤモンド委員会の延長上にあったのが、「バーチャルコーポレーション構想」であった。どちらもすべてマルマン創業者である片山豊社長のアイデアであるが、1980年代からこの様な斬新な考え方を取り入れ実施していた事は、文句なく昭和の偉大なアントレプレナーとして尊敬せざるを得ない。バーチャルコーポレーション構想というのは、各事業部がまるで一つの会社のごとく、責任を与えられ損益管理をする組織だが、最終的にはバーチャルではなく、リアルの企業として独立する事を目指していた。その一つが、1995年に創業したイデアインターナショナルで最近上場したし、もう一つが昨年Yahoo!ジャパンに売却したインタースコープの前身であるエムアンドシーだ。エムアンドシーのエムは実は「Maruman」のエムを取ったもので、「Marketing & Communication」の頭文字というのは後付だ。

場の論理とマネージメント」という経営書がある。ここでいう「場のマネージメント」とは、「人々が共感し、高め合える心理的空間を発展、進化させるための仕組み」という事だろうか。物理的な空間だけではなく、心理的、概念的な空間だ。この観点から言えば、マルマンのダイヤモンド委員会や合宿、勉強会、飲み会も「場のマネージメント」なのかもしれない。

ヒエラルキー的組織に対し、場は創発的だと言ってもよいかもしれない。ヒエラルキー型組織のマネージメントは、決定し、命令し、動機付けをし、先頭に立ってリードするのに対し、場のマネージメントは方向を示し、土壌を整え、承認し、流れを見ながらかじを取ると言われる。まさにALBERTの目指すマネージメントは「場のマネージメント」に他ならない。方向指示器付きお茶汲みというのは、まさにこういう事を言っているわけだ。

しかも、この「場」は創発的に生成し開花する事を期待している。場のマネージメントにおける組織は、情報相互作用の束、各人の強み(能力)の結合であるべきてあって、全員が創造性と企業家精神を持つ事に期待をしている。

00:32

2008年12月13日

ALBERT社員合宿終了(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

2日間の合宿が終わり、帰路に着きました。広報ブログでも紹介された通り、今日はチームによる発表と全体でのディスカッションを行ないました。確かに箱根は寒いですが、合宿はかなり熱かったです。

合宿の最中にも受注の一報が入り歓声が上がったり、来週に控えた大型リリースにピリピリする場面もありましたが、今年以上に厳しい来期をどうすれば乗り越えられるか、全員の認識が一致したと思います。来年は結果を出します。結果を出すためには、その原因を作らなくてはなりません。引き続きステークホルダーの皆様のご支援をお願いしたいと思います。

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上の写真は帰りのバスで、美味しそうにお弁当を食べる社員達。初めてバスでの往復にしましたが、バスは酔う人もいるし、疲れるので次回からは電車にしたいと思います。

17:31

2008年12月12日

ALBERT社員合宿中(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

今日、明日と箱根のホテルで合宿を行っています。今回の参加者は社員13名、役員3名の合計16名です。現在、社長の上村君が今期の振り返りと来期事業計画概要の話をしています。この後、私が経営戦略について、ランチェスター戦略やドラッカーのマネージメント論などを話し、その後はチームに分かれて来期の戦略立案を行います。

今回の合宿は事前に2週間、5つの業務ユニットに分かれ、かなり突っ込んだ調査分析を行ないました。かなり大変な作業だったと思いますが、それぞれ色々な発見があったと思いますし勉強になったと思います。明日のディスカッションに大きな期待をしています。

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13:14

2008年12月10日

手首に負担のかからないマウス購入(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

前回の合宿でアームレスリングをして手首を痛めて以来、未だに完治していない。毎週、鍼とマッサージに通って、ようやく痛みがほとんどなくなったのだが、写真の様なマウスを見つけてすぐ飛びついてしまった。
サンワサプライがネット限定で販売しているものだが、品切れ状態が続いているようだ。ようやく、今日それが届いた。

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早速試しているのだが、比較的手の大きい私には、一回り小さい感があるものの、慣れてくると非常にいい感じである。今までスクロールは人差し指で操作していたが、これは中指になる。右クリックは中指でもできるが薬指でもできる。何よりも、手首を変に左にひねらず、自然な形で握れるので、おそらく肩こりにも効くのではないかと思う。若干、クリックのスプリングが強い印象だが、慣れれば気にならなくなるだろう。

まあ、ここでこの商品の宣伝をしても仕方がないのだけれど、とある株主から「山川さんのブログは難しい」というご意見を頂戴したので、たまにはこういう軽い話題もよいのではないかと思いエントリーしてみた。因みに、キーボードも昨年の忘年会で社員がプレゼントしてくれたエルゴノミクス系のものを使ってます。

23:43

2008年12月03日

中学生にも分かる相対性理論(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

これは、今日の勉強会のタイトルだ。確かに中学生でも分かった。かもしれない。

現在、東工大理学部物理学科で素粒子等の勉強をしている学生がインターンとして来ている。ALBERTという社名は、アルベルト・アインシュタインに因んでいるので、相対性理論くらいはスタッフ全員知っていてもよいだろうと思い、勉強会の講師を頼んだ。私自身も学生時代からアインシュタインの考え方には非常に共感し、何冊も本を読んだのだが、今ひとつ理解できていない所も多かった。そういう意味でも非常に楽しみにしていた勉強会だ。初めての講師だったが、説明も分かりやすく話し方も非常に素晴らしかった。今まで見せていなかった彼の優れた一面を見た気がする。

ALBERTでは毎週水曜日の18:00~19:00まで勉強会を開催している。教育を重視しているという事は、何回も話して来ているが、人に教える事ほど自分の勉強になることはない。私も毎週MBAで講義をしており、講義の準備はそれなりに大変だが非常に勉強になる。また講義の中や後から出る学生の質問や指摘によって、生徒から学ぶ事も多い。隣に座っている菅も、岩手県庁の依頼で2回ほどセミナーの講師をさせていただいたが、SEOなどものすごく勉強になったと言っていた。

そういう意味で、ALBERTでは社員に限らず、できるだけ多くの人が講師をやるべしと言っている。未だ講師をやっていない正社員が数名いるが、早急に講師を買って出て欲しい。講師をやるためには、事前の勉強や準備に講義時間の5倍はかかると言われるが、その勉強が重要なのだ。勉強というのは、すればするほど自分の無知を知るものである。勉強しない人に限って、自分は勉強は必要ないと思っており、そういう人は気がつかないうちに、どんどん勉強する人から取り残されて行くことになる。

19:04

2008年11月24日

「E=mc²」をついに証明(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

欧州物理学チーム,特殊相対性理論の「E=mc²」をついに証明

すごいニュースが飛び込んで来た。アインシュタインが1905年に発表した特殊相対性理論の有名な関係式「E=mc²」が、1世紀余りの後、フランス、ドイツ、ハンガリーの物理学者のチームが行ったコンピューターによる演算の結果、ついに証明されたそうだ。何が驚いたかって、この有名な式が「仮説」であって、証明されていた訳ではないということだ。

「E=mc²」と言えば、相対性理論の影の部分である、原子力爆弾を思い出さざるを得ない。原爆で最も大きな被害を受けたという、広島の市立舟入高等学校の子女慰霊碑の少女が持つ箱に、この「E=mc²」が刻まれている。建立当時(1948年)の占領軍の報道規制により、『原爆』の文字が使えなかったため、代わりにこの文字が刻まれたそうだ。原子爆弾で核分裂を起こしたのは、たった1kg弱だったそうで、質量がエネルギーに替わる恐ろしさを感じる。

ほとんどの人が気がついていないかもしれないが、ALBERTの事業内容にも、「E=mc²」が刻まれている。レコメンデーションテクノロジーを意味するV字のセンターの球の左側に薄く描かれている。これは、もちろん原子爆弾を表現したものではなく、アインシュタインが弱冠26才にして特殊相対性理論を発表した事への畏敬の念であり、アインシュタインの既存の概念にとらわれないイノベイティブな姿勢を忘れないというの私の意志でもある。このチャートには、他にもたくさんの式が薄く描かれている。ここではそれぞれの式の意味は説明しないが、決してイメージ画像ではなく、実は意味のある数式なのだ。

22:46

2008年11月20日

痛くないインフルエンザの予防接種(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

昨年も実施したが、今年も社員を対象としたインフルエンザの予防接種を実施している。会社の近くにある林クリニックで、日程を決めて順番に行く事になっている。今日、海鮮丼ランチの後に実施してきた。会社を出る時に、「痛いですよ~」と脅されて行ったものの、ちくりとした程度。看護婦さんの腕がよかったのだろうか。

今週の講義で、「最近考えたイノベーションは何か」と一人ずつ聞いてみたところ、痛くない注射器の話をした学生がいた。WBSなどでも取り上げられているので、ご存じの方も多いと思うが、社員たった6人の岡野工業株式会社が開発したものだ。蚊にくわれても痛くないのになぜ注射は痛いのかという疑問から開発が始まったそうだ。その苦労話は、ここに詳しく出ているので是非ご覧いただきたい。

ここで言いたいのは、「蚊が痛くないのに注射器が痛いのはなぜか?」という発想がイノベーションなのではなく、「一日何万個も作るシステムができなければできたうちに入らない」という考えのもとに、「70年間生きてきて得たものを総動員した」いうところに真の価値があるということだ。

私はまだ70才までは約20年ある。まだまだイノベーションに挑戦し続けなくてはいけないと、改めて思った。

21:09

2008年11月16日

IVSに参加して思うこと(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

恒例のIVS(Infinity Ventures Summt) 2008 Fall に参加した。2004年のNILSから通算すると、9回目になると思うが宮崎では5回目だ。2004年のNILSには堀江さんも参加され、そのパネルディスカッションやセッションには感動した。SNSやWeb2.0などまだ誰も騒いでいない頃から、あたり前のように話題が出て来ており、今回のAR(Augmented Reality=オーギュメンテッド・リアリティー=拡張現実)などもおそらくその流れが来るのだろうと感じた。VR(仮想現実)には否定的だった私だが、ARに関しては全く次元の違うものではないかと思う。

Launch Pad では電脳フィギュアARis(アリス)の発表があった。早速Amazonで購入したが、ゴルフの後の懇親会で芸者東京エンターテインメントの田中社長が、「こんなものは序の口だ、もっとすごいものが山のようにある」とおっしゃっていた。この世界に限りない可能性を感じる。

その他、セッションの中で色々なスピーカーの方々のお話を聞いたり、デモを見るにつけ、ALBERTの方向感が間違っていないなという事を確信した。マルマン創業者の片山豊社長は、「人間は神に近づく動物だ。神は無手段にして全知全能である」とおっしゃっている。まさにそういう事だ。例えば、検索エンジンに検索ワードなど入力しないほうがいい、キーボードなんてないほうがいい、もっと言えばパソコンなんてないほうがいいのである。

そんな話を聞き、私も上村も大いにインスパイアされて戻って来た。来年のALBERTはヤバイかもしれません。

22:24

2008年11月09日

創業者の引き際(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

はじめに、私は別に引退を考えている訳ではないし、今辞めようという気持ちは毛頭ないのでご安心を。

なぜ、こんなタイトルでブログを書き始めたかと言うと、明治大学MBAの講義で前回までシュンペーターを扱っていた。シュンペーターは、「企業家とは何か」の中で、『企業家は、一度創造された企業を単に循環的に経営していくようになると、企業家としての性格を喪失する』と言及している。また、企業家の行動の適切な解釈として、『企業家は変化と冒険とまさに困難そのもののために、経済に変化を与え、経済の中に猪突猛進する』とある。まさに、これは自分に当てはまると思った。

今週からは、いよいよピーター・ドラッカーに入る。ドラッカーと言えば、難解でよくわからないという印象がある。インタースコープ時代に久恒さんがハーバードビジネスレビューを読んだりやドラッカーの話をよくしたりしていて、よくあんな難しい本を理解できるなと感心していた。難解というのには2種類あって、1つは「表現が難解」、もう1つは「内容が難解」である。表現が難解というのは、例えば英語やロシア語で書かれた書物は童話でも難解というのに似ており、易しく翻訳すれば中身は理解できるというものだ。内容が難解というのは、シュレディンガーの波動方程式とか偏微分を使った熱力学など、化学系の大学を卒業した私でも未だに理解できないもので、今更理解しようとも思わないものである。

そういう意味で、こと経営書に関しては、まさに自分が経営者となり経営を実践しているのであるから、内容が理解できないということはないはずだと信じている。となれば、ドラッカーは表現が難しいという事になるわけだ。特にドラッカーの経営論は、大企業や国際的な企業だけに適用されるものではなく、中小企業にも当てはまると言われているのでなおさらだ。

例えば、ドラッカーの有名な言葉で「企業の唯一の目的は顧客の創造だ。」というのがある。これを初めて聞いた時には、まるで何を言っているのかわからなかった。しかし、これも表現を易しくすれば誰でも理解できる。「顧客の創造=売上げを上げることだ」、と言われればそりゃそうなのかと思う。さらに、そのためには、売上げをもたらす顧客を増やすことだ。当然のことながら、企業は購買の決定権のある顧客の売上げで成り立っているわけである。

商品とは、「顧客の問題解決の手段」であり、ニーズとは「お金を払ってでも解決したいと顧客が思っている問題や課題」、利益とは「顧客への貢献度の物差」。このように、常に顧客を主語で経営を考えると、非常にわかりやすくなる。企業の目的は、決して利益を上げることではないと言う。利益は企業にとって、空気や水と同じ存在であり、人が生きる目的が、空気を吸い水を飲む事ではないように、企業の目的は利益を上げる事ではなく、その利益によって顧客を創造し、社会に貢献する事だという考えは非常に重要だし、理解しなくてはならない。

そんな経営の神様と言われるドラッカーの、代表的な著作である「イノベーションと企業家精神」の15章「ベンチャービジネス」の中に、「創業者は何を貢献できるか」という項があり、「トップ経営陣を構築した後に自分自身の将来を考えなくてはならない」とある。さらに、ベンチャービジネスが発展し、成長するにつれて、本来企業家である創業者の役割は容赦なく変わり、これを受け入れない限り事業の発育が止まってしまう、と述べている。

この事と、先に述べたシュンペーターの「企業家とは何か」を併せて考えると、ALBERTが順調に顧客を創造し続け、上村君の目指す安定した基盤ができればできるほど、創業者山川としての経営上の役割は減少し、自分としての新たなイノベーション、職業開発に注力できる体制ができるという事になり、即ち経営の第一線からも引くという事に他ならない。それが何年後になるかは分からないが、その時にはドラッガーが書いているように自分自身にこう問いかけるのだ。

「今後の経営のため、客観的に見て、何が必要なのか?」

「自分は何が得意か。これらのニーズのうち何を供給できるのか。しかも立派に供給できるのか?」

この2つの質問に結論を出してはじめて次のように問うことができる。

「本当は何をしたいのか。何をすることに価値を置いているのか。残りの人生とは言わないまでも、これからの数年間を何に費やしたいのか。それは会社が本当に必要としているものか。それは重要かつ基本的、不可欠の貢献なのか?」

23:57

2008年11月02日

テレビはどこまで薄くなるのか(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

今やパソコンもテレビも液晶があたりまえになっているが、当然のことながら数年前まではブラウン管が主流だった。そもそもブラウン管というくらいなので、1897年「ブラウンさん」が発明したものなのだが、1926年 日本の高柳健次郎氏が受像装置の開発を成功した。日本ビクター久里浜研究所にそのブラウン管式テレビ受像器(復刻)があるそうだが、世界で最初にブラウン管に写った文字は日本語の「イ」)とのことだ。(復刻版の映像はこちら

こうして発達して来たテレビの受像器だが、私が子供の頃のテレビといえば、角も前面もまるくて、後ろに突起がある代物だった。その後、角は直角に、前面は平面になり、サイズも大型化が進みし1インチ1万円という時代があった。私がマルマンにいた頃、14インチのテレビのシェアはトップだったが、入社当時は19,800円くらいだったと思う。どんどん値下がりして最終的9,800円くらいになっていたのではないかと思う(パチンコの景品にもなったくらいだ)。その頃、韓国製の安いテレビは、画面の大きさに対して奥行きは長かったが、ソニーなどは画面に対する奥行き比の低下(薄型化)を実現していた。

その後液晶テレビが出現し、液晶で1インチ1万円という時代が再度復活した感もあったが、今ではサイズより厚みの逆数のほうが、値段との相関が高いと思われる。韓国のLGが2004年に今までのブラウン管より薄く、液晶テレビよりかなり安いといいう、実に中途半端なブラウン管テレビを発表した。この話を聞いた時、液晶テレビの価格がどんどん下がる事などは、誰が見ても明らかなのに、何でまた余計な開発費をかけて商品化をしたのだろうかと、全く理解ができなかった。

一方、今年の3月にソニーがブラウン管テレビ、トリニトロンの歴史に幕を降ろすという衝撃的な報道があり、国内だけではなく海外への出荷も在庫限りとなったわけだ。一部ではトリニトロンという優れたテクノロジが液晶でシャープの後塵を拝する事になったという意見もあるようだが、一世を風靡したことは間違いない。日本ではおそらく地上波デジタルへの移行でほとんどブラウン管テレビが姿を消す事になるだろう。

ブラウン管から液晶への変化は、間違いなくイノベーションだと思う。たとえば、厚みの変化は非連続的であり、原材料も生産方法も非連続的な変化であった。さらに薄くなるという事は体積が大きく変化することから、梱包材を含む物流コストが激減したわけだ。このことは、地球温暖化という問題からも大きな進歩である事は間違いない。

ここまでは、テレビにおけるイノベーションとして誰も疑わないと思うのだが、ソニーが世界最薄という薄さ9.9ミリの液晶テレビを発売したり、CEATEC2008でも相変わらずの薄さアピールであり、薄さ競争は終焉と言われつつも、未だにこの争いは続いているのではないかと思う。一般的な消費者にとって、薄さの効用値がどの程度なのか、コンジョイント分析などを用いて調査をしてみたいところだが、某社のTVコマーシャルは、いかにもこの薄さ競争を地球温暖化対策に取り組む企業姿勢をアピールする材料にしているようで、いささか腑に落ちない。

つまり、イノベーションのスピードというのは、消費者のリテラシー進歩のスピードを超えた時に、キャズムが発生し、イノベーションのジレンマが起きるのではないかと思うからだ。70点を95点にする事に比べ、95点を99.97点にする難しさは尋常ではない。それだけ、そのかかる労力やコストに対しての効果が小さいとも言える。品質管理におけるσの世界であれば、6σを追求する意味があるだろうが、ことイノベーションに関しては、どこまで製品のパフォーマンスを上げるべきかは、よく考察すべきである。

積載効率を95%から99.97%に上げるのにかかるコストが、その効果より遙かに大きいようであれば、追い求めるべきではなく、日本のメーカーは非連続的イノベーションか、またはよりローコストで低品質の商品開発に注力すべきではなかろうか。そのよい事例が台湾製のノートPCだ。今や世界のノートPCの9割は台湾製だと言われている。消費者のリテラシーの進歩のスピードを無視した商品開発を進めると、こういう事が起きるのだと思う。ほとんど使われていない機能満載の携帯電話も全く同じではなかろうか。私が開発者だったら、ひたすら空しさを感じざるを得ない。

23:40

2008年10月23日

ダイバーシティとイノベーション(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

「ダイバーシティ」と言うと、技術屋の私はまず「ダイバーシティアンテナ」を思い出してしまう。車のテレビアンテナに使うのだが、複数のアンテナで受信した同一の電波を、電波状況の優れたアンテナの信号を優先的に用いる技術のことだ。経営で使う「ダイバーシティ」は、英語の"Diversity & Inclusion"の前半だけを取ったもので、「多様性の受容」という意味だという。つまり、外見的属性などに関係なく、すべての人が各自の持てる力をフルに発揮して組織に貢献できるような環境をつくる」ということだ。

今週、日経産業新聞の「部長のための経営学講座」でダイバーシティが連載されている。この言葉は上村君もよく口にするのだが、ALBERTでは創業以来ベトナム、ミャンマーの技術者を受け入れ、現在はカン君とリュ君という韓国の方2人に頑張っていただいている。私もそうだが、上村君も「国籍、性別、年令、教育」へのこだわりがほとんどない。国籍はもちろんの事、ALBERTでは女尊男卑とも言えるくらい女性を大切にしている(つもり)し、学歴なども一切関係ない。そもそも上村君などは、社員の出身校などほとんど知らないのではないかと思うほどだ。

今回の連載では、この様な外形的な属性のほか、3つの軸が紹介されている。2つ目の軸は「肩書・職位、雇用形態、勤務年数」など人事組織的な仕組みに基づくものだ。ALBERTはアルバイトでもインターンでも非常に重要な仕事を任せるし、社員を優遇という事など全くない。3つ目の軸は、「ライフスタイル、夫婦の役割分担」などの生活様式、生き方に関するものだ。4つ目としては、「価値観、宗教、性格、志向性」などの個人に内在する全容が見えにくいものとある。3つ目の軸はいいとしても、4つ目に関しては特にベンチャーでは受容し難い部分もある。前のエントリーで上村君が言っているように、逆風の中を生き延びるにはスタッフ全員が一丸となって同じ方向を向く必要がある。その時に、価値観や志向性が違う人がいると、減速する事がある。そういう意味で、すべての多様性を受容するのがよいとは決して思わないが、オール4より、一つでも5があり、他が2や3でもいいという考え方をしているので、ダイバーシティは非常に重要な概念だと思う。

もう一つ着目すべきはイノベーションとの関係だ。ルネッサンスは、フィレンツェの大富豪であったメディチがあらゆる分野の芸術家や文化人を保護したために、多種多様な人々が切磋琢磨し文化を創造したものだ。人種の坩堝であるアメリカではイノベーションが起きやすいとか、開国により異文化との遭遇によって日本の近代化が始まった事とか、多様性を受け入れる事がイノベーションにつながる事は歴史が証明している。イノベータは多言語を話すという説もあるが、当社に来ている韓国の二人は、とにかく日本語がうまい。お笑いのテレビを30年分見たとか、日本語のドラマを見たとか、それなりの努力はしていると聞いたが、もう40年近く英語に触れているにもかかわらず、ろくすぽ会話もできない私から見れば、たった数年でここまでうまくなるとは信じられないことだ。

ALBERTは色々な意味で、多様性を受容する企業だ。本当の意味でのダイバーシティを実現するには、まだまだ人事制度や社員教育、評価制度など問題は山積みだが、素地がある企業なので継続的なイノベーションに向けて全社一丸となって頑張って行きたい。

22:17

2008年10月19日

誰でもイノベータになれる方法(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

かなりブログのエントリーをさぼってしまった。別に病気をしていた訳ではないのだが、ここのところ、勉強と開発に明け暮れている。勉強というか研究かもしれないが、明治大学のMBAで教えるようになって、色々と研究テーマが増えた。イノベーション論を教えているのだが、今まで自分ではたくさんの物を開発して来たし、それを事業化しようと起業も3回しているので、まあ自分はイノベータでありアントレプレナーの末席を汚すくらいではあるかなとは思っている。ただ、じゃあなぜ自分がイノベータなのかという理由に関してはあまり考えた事がない。

好奇心旺盛で創造力がある、とことん理解しないと気が済まないほうだとは思っている。ただ、それをシステム化してイノベータを育てたり、組織として企業で経営に活かすという事はあまり考えた事がなかった。そもそもイノベータなんて、ロジャースの普及理論で言えば、2σからはずれた2.5%しかいないのだから、40人の組織では1人いればいいわけで、「企業の規模はバス1台がベスト」を持論としている私とすれば、これ以上いる必要もないかと思っていた。ALBERTでは少なくとも社長もイノベータだから2人はいるので充分なのではないかと・・・。多すぎても方向が定まらず、一意専心になれないという事もある。

しかし、イノベーション論を学ぼうというくらいの社会人は、個々がイノベータかどうかは別として、誰でもイノベータになれる方法を知りたいようだし、イノベーションを起こす人材育成や組織運営の方法を知りたがっているようだ。元々、今回のイノベーション論がなぜ開講されたかと言えば、文部科学省のサービスイノベーション人材育成推進プログラムの一環として大学が委託されたものであったので、イノベータを育てる方法を研究しなくては意味がなかったのだろう。

イノベーションを起こす人をイノベータと言うのだが、ではイノベーションとは何かという問題が出てくる。先日の授業でも「スターバックスはイノベーションか」という議論をしたが、賛否両論で実に面白かった。そもそもイノベーションかどうかを判定する裁判官のような人はいないので、それがイノベーションだろうがそうでなかろうが、乱暴な言い方をすれば、斬新なことをして結果的に事業が成功すればそれでいいのではないかとも思う。もちろん、微少な改善はイノベーションではないし、かと言って馬車が蒸気機関車に変わるくらいの変化がないとイノべーションと言えないかと言えば、そうではないだろう。

そこで、後期のテーマとしては、イノベーションとは何かという自分たちなりの定義をし、誰でもイノベータになる方法はあるのか、という壮大なテーマに臨んでみようかと思っている。今はシュンペータの研究をしているのだが、新結合の事例としてALBERTで近々発表する新エンジンについて考察したいと思う。それがイノベーションかどうかは別として・・・。

21:49

2008年10月04日

インターネットリサーチの将来(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

私はいつも経営者の仕事は「方向指示器付きお茶汲みだ」と言っている。そんな事を公言するものだから、元インタースコープFI(現ヤフーバリューインサイト)のYさんが、「じゃあインターネットリサーチは将来どうなると思いますか?」と質問して来た。お前は方向指示器なのだから、方向を指示しろという訳だ。しかし、私はもうインターネットリサーチ会社の経営者ではないので、それは田部さんの仕事だろうと思ったものの、やはり自分の創業した会社の元社員が活躍しており、大きく成長している訳なので自分の考えを明らかにしておいたほうがよいだろうと思い、今日はこの話題を書くことにした。

私は現在ALBERTというレコメンデーションの専門企業の経営している訳だが、元々はインタースコープの事業として「レコメンデーション」は創業前の1999年から平石さんと一緒に考えていた事で、その後もリサーチやデータマイニングのノウハウを活かし、ALBERTのようなシステム開発までリサーチ会社でやってもいいではないかと思っていた。ログ解析や最適化のノウハウがあるのだから、それをエンジンとして販売する所までやればいいじゃないかと思っていた。結局は、様々な事情で外に出て別の会社でやる事になった訳だが、これも一つのインターネットリサーチ会社の方向性の一つだと思っている。

ただ、その時にYさんに答えたのはそういう内容ではなく、「今後のインターネットリサーチは量ではなく質を追求する様になる」と言った。インターネット リサーチは、大幅なコスト削減により、街のラーメン屋さんがメニューを決める時にも使えるサービスだ。これはマクロミル創業者の杉本さんがおっしゃっていた事だが、今までの紙と鉛筆の調査からネット調査への移行は、大きなイノベーションであったし、リサーチそのものの変革であった。

それだけに、2000年当初は抵抗も多く、特に統計数理研究所のO先生とインターネットリサーチ研究会でのバトルは激しいものがあった。しかしこれも、新しいものが出て来る時に通過しなくてはならない登竜門であり、進歩のための抵抗でもあり、結果的には研究も進み理解も深まりよかったのではないかと思う。そういう時代も経てインターネットリサーチ業界も落ち着きを取り戻していると思う。2005年前後からCGMが台頭し、ブログ分析や掲示板情報の分析が流行った。AISASの最後のSが機能するようになると、定量調査などしなくてもネット上のCGMデータを分析すれば何でも分かってしまうから、インターネットリサーチは不要になるという様な乱暴な意見もあったが、私は絶対にそれはないと思っていた。

市場調査には様々な目的や分類があり、社会調査はインターネット調査と相性が良くない事は明らかだし、出現率や認知率などの率を聞く調査と、商品企画のアイデアを抽出する調査では、同じ定量調査だとしても全く目的が違うので、サンプリングの仕方も調査手法も変えなくてはいけない。そのあたりをごっちゃにして話す事はできないが、CGMの分析データから得られる事も多い。しかし、それだけでリサーチが不要になる事はあり得ないし、代替えとい う種類のものではない訳だ。ただ、今までリサーチでしか取れなかったデータが、CGM利用で取れるようになるという事はあり、トータルとしての定量調査の需要は減る可能性はあると思う。また、最近ではデスクリサーチで、かなりの部分が取れてしまう。ヤフーバリューインサイトの超優秀なリサーチャーであるKさんと話していると、「ああそれはここにありますよ」「そのデータはここで売ってますよ」と次々に欲しいデータの在処をを教えてくれる。優秀なリサーチャーというのは、「リサーチしなくていい事」をよく知っているものなのだ。

インターネットリサーチが、量から質へ向かうというのは、量の拡大であったWEB2.0から、質の追求、集約のWEB3.0へという流れにも合致して いるが、モノが売れない、世界的な金融不安で消費が伸びない時代に、消費者の購買行動をもっとサイコロジカルに分析する必要が出て来ていると思う。 AISASに関しては、近々このブログで書こうと思っているが、消費者の購買行動のモデルが、AIDMAからAISASになったかどうかは別として、購買における情報収集や意思決定のメカニズムが、1990年代とは明らかに変化をしている。この時代の変化に、企業のマーケティングは本当に追いついているのだ ろうか。

先日、クチコミセミナーの講師をしたが、WEB3.0時代における「ソーシャルグラフ」という考え方や、インターネットが作り出す新しい「きずな」 が購買行動に与える影響などを、もっと研究する必要が出てくると思う。そういう意味で、インターネットリサーチに限らずだが、市場調査というものが、より人の心に踏み込んだ方向に向かうのではなかろうか。

もう一つの別の視点で考えてみたい。

そもそもマーケティングリサーチにおける定量調査は、仮説を立ててそれを検証するものがほとんどである。出てきた結果を統計的に処理し、仮説を美しく正当化しレポートにするのが仕事と言っても過言ではない(ちょっと言い過ぎか)。専修大学の新井範子先生が、「創発するマーケティング」(共著)の中で、「従来のような、あらかじめ仮説を立て、その仮説を検証していくことに調査の主眼を置く、いわゆる仮説検証型の調査も意味がなくなる。」と述べておられる。所詮人が作った仮説なので、検証される事が目的になっており、検証されやすいものが仮説になっている。分かりやすい因果関係で考えられ、この因果関係を導くのがマーケティングリサーチだとしている。

ここには、関係という視点が足りず、昨今の消費行動を理解するには、より人の関係や情報ネットワークの複雑な連鎖を分析する必要がある。「社会的 ネットワーク分析」という分野にリサーチ会社はもっと真剣に取り組むべきである。誰と誰がどの様な関係、知り合いで、どの様に情報をやりとりし、どの様に意 志決定に影響を与え合っているのか、このあたりをリサーチという手段を用いて可視化しなくてはならない。

インターネットリサーチ会社は(私の反省も含めて)、画面作成のシステム開発には多額の投資をし、効率的な実査を追求する。それはそれで競争優位を築く戦略としてアリだとは思うが、そもそも何をリサーチしなくてはならないか、何を明らかにしなくてはならないかの部分をおざなりにしたシステム開発には意味がない。所詮、人の考えたシステムは、どの企業が行っても同じ様なものであり、後発の企業がよりよいシステムを作るだけだ。結果的にその戦略では差がつかない。

12:49

2008年09月28日

三笠フーズ事件に思う(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

経営者のクレディビリティ欠如に関しては、何回か述べている。一連の三笠フーズに始まる汚染米事件などは、今更語る気もしない。政府の対応もひどかったが、関係会社の役員は解雇、即刻営業停止にし、全員お詫びと回収に走るべきだと思う。風評被害に遭った小売店などがどれほど迷惑をしているのか。子供がいじめにあっているとも聞く。

しかし、以下の様な考え方もある。書いている方が栄養学のプロなので、説得力もある。

>三笠フーズによる事故米の不正転売事件などが取りざたされている。
>もちろん、モラル的にどうよ、ってのはある。
>ルールがあるのに破っちゃダメでしょ、そんなとこで儲けちゃ、みたいなのはわかる。
>
>でも、そもそもルールがおかしいってことは無いのか?と。
>誰も疑わないのかね?
>食糧不足で、アフリカじゃ殺し合いしているのに、
>カビが生えたら、全部捨てる?ってか。
>もったいねーと思うのは普通の感覚だ。
>事故米だって、使い道限定で許可する道だってあったろうと思う。
>
>今回の事故米だって、焼酎原料に使ったところで、
>カビ毒も農薬のメタミドホスも蒸留するから移行しないし。
>問題ないんじゃないのーとね。
>ご飯やあられ原料に使ったとしても
>米は洗って使うから、メタミドホスは流れちゃうし、
>神経質な日本人はカビが肉眼で確認できて黒い粒があったら
>洗ってるそばから、取り除くのは、わかってる。
>もちろん、害になる可能性は低いけど、ある。
>けど、それよりもっと食中毒リスクの高い食品は、山ほどあるがな、とも思う。

確かに、子供の頃は真空パックの餅などなかったので、餅にはすぐカビが生えた。それでもそのカビを切り落とし洗って食べたものだ。最近は賞味期限のみが食べていいか悪いかの価値判断になっているので、あり得ない事なのかもしれないが、私の子供の頃はそうだったので違和感はない。

しかし、あのカビの生えた米の映像をテレビのニュースで見せつけられ、その米を使って日本酒や芋焼酎が造られているとすれば、飲みたくなくなるのは当然のことだ。カビの生えた米を使った食品の安全性やそれを食べるかどうかの議論と、経営者がその米を安く仕入れ不当な利益を上げていいかとは全く別の議論であり、後者に関してはクレディビリティ欠如にほかならない。

経営者の道徳教育など無意味だという意見もある。そもそも経営者の多くは、良いも悪いも自分の価値観に凝り固まっている人が多いわけで、今更道徳観が変わるとは思えない。なので、巷ではガバナンスだコンプライアンスだ、規則はうるさく言うが、道徳観とか倫理観の教育などほとんどないに等しい。

では、そういうクレディビリティは、どのように形成されるのだろうか。私は、親の教育とか育った環境が大きく作用するのではないかと思っている。稚拙な事例で申し訳ないが、私は子供の時にシャツはズボンの外に出してはいけないとうるさく言われて育った。小学校1年の頃、やんちゃ坊主だった事もあり、いつもYシャツを外に出して先生にしっぽが出ていると叱られたものだ。しかし、最近ではシャツをズボンに入れる事のほうがださくて、おじさんだと言われる。もちろんスーツのYシャツを外に出す人はいないが、少なくとも私の場合はゴルフの時でもシャツは外に出さない。

伝統のあるゴルフ場に行くと、服装の規律もうるさい。私の父はゴルフ場のルール委員にもなっているくらいで、ゴルフのルールやマナーにはうるさかったので、高校生の頃から色々仕込まれた。半ズボンの場合はハイソックスをはかなくてはいけないとか、クラブハウスにはサンダルや下駄は当然禁止、ジャケット着用、帽子は脱ぐというのが常識だった。こういうゴルフ場では、今でもシャツを出してプレイするとキャディさんに注意される。

しかし、そういう英国紳士流のゴルフ場もあるが、アメリカのパブリックの様に、Tシャツ半ズボンでビーサンで行くゴルフ場があってもいいし、必ずしもゴルフ場が英国紳士の場でなくてもよいと思う。要は、そういうカジュアルなゴルフを楽しみたい人は、そういうゴルフ場に行けばいいのだし、英国流紳士ゴルフが好きな人は、そういうゴルフ場に行けばいい。郷に入っては郷に従えで、超一流のゴルフ場にサンダルTシャツで行き、シャツを出してゴルフをしてはいけないのである。

話はそれたが、私の場合はそういう環境で育っているので、シャツを出す事には抵抗感があるので、カジュアルなゴルフ場でシャツを出すとかいう使い分けもしないし、普段も別に出すモチベーションは全くない。そういう事は、やはりいいとか悪いとかは別にして、子供の頃の育った環境や価値観がなかなか変わらないのではないかと思う。他にも、霊柩車を見たら親指を隠すとか、夜は爪を切らないとか、どうでもよさそうな事で、気にする事があるのは子供の頃の教育の賜だ。

そういう意味で、改めて子供を育てる家庭環境や学校教育というものに、真剣に取り組まなくてはいけないのだなあと思う。

06:09

2008年09月26日

社長と係長とはどちらが多いか(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

総務省統計局の平成18年事業所・企業統計調査によると、平成18年の会社数は約260万社、会社従業者数は3996万人だそうだ。つまり日本には260万人の社長がおり、従業者15人に一人は社長であり、これに公務員や個人経営者を含む従業者を加えると、5863万人なので、日本で仕事をしている人の22人に一人は社長だということだ。

260万社あると言っても、実際に稼働している会社数は160万社と言われ、複数の社長を兼務している人もいるので、実際の社長はもう少し少ないかもしれない。因みに、上場企業数は約4000社と言われるので、たったの0.15%に過ぎない。私の場合、平社員→係長→課長→部長→事業部長→平取締役→常務取締役→副社長→社長→会長と、サラリーマンとしての王道を歩んでいるので、色々な立場を経験しているが、最近は当社の社長の様に、いきなり社員から社長になる人もいるし、学生時代から社長を兼務している人も多いので、いったい役職って、何なんだろうと思ったりもする。

私は、「専務」という肩書きのみ経験がない。まあ、専務と言うと「何にもせんむ」という誹謗中傷を受ける事も多いようだし、常務ですら「ああいえば常務」などと駄洒落で言われる事もある(これは私だけかもしれないが・・・・)ので、どうでもよいのだが。

国内海外を問わず、繁華街で「社長!」と声をかけて当たる確率は、その繁華街属性を考えるともっと高いのだと思う。飲み屋の呼び込みは、それを経験上知っているのかもしれない。もしもデータをお持ちの方がいらっしゃれば教えていただきたいのだが、係長、課長、部長の数はどれくらいなのだろうか。最近のお洒落な企業では、パートナーとかマネージャとかディレクターとか、旧来の日本語役職がない所も多いので、なかなか把握できないかなとは思う。

企業規模の分布はロングテールになっており、中小企業が圧倒的に多い訳だが、小さい会社だと、社長とそれ以外みたいな所あるし、奥さんが専務でそれ以外という所もあるだろう。従業員が少なければなかなかフルラインナップという訳には行かないと思うので、おそらく係長の数は大企業が圧倒的に多いだろう。上位2万社に平均10人の係長がいれば、200万人になるわけで、稼働している社長の数より多くなる。私は圧倒的に社長の知り合いが多い訳だが、社長と係長とはどちらが多いのだろうか。

14:22

2008年09月22日

2番目に優秀な人はベンチャー企業に就職する(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

先週、とある勉強会でイー・モバイル代表取締役会長兼CEOである千本倖生さんのお話を伺う機会があった。私は、マルマン創業者の片山豊社長イデアインターナショナル橋本社長を尊敬する経営者5人の中に入ると言っているが、千本さんは現役の経営者中では最も尊敬する経営者と言って間違いない。そして、真のシリアル・アントレプレナーというのは、千本さんの事を言うのだと思う。

千本さんをあまりご存じない方のための紹介すると、1966年に日本電信電話公社(現NTT)入社され、その後京セラの常務を経て、1984年に稲森さんと第二電電株式会社(現KDDI)を共同創業、1996年に一度は会社経営からは身を引き、慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授(専門:ベンチャー企業経営論、IT経営論)として教鞭を執るも、1999年イー・アクセス株式会社を創業し代表取締役社長兼最高経営責任者(CEO)に就任、さらに2005年 イー・モバイル株式会社を創業し、代表取締役会長兼CEOになられた。関西セルラー、DDIポケット(現ウィルコム)を合わせると何と5社の通信ベンチャーを立ち上げられた訳だ。

しかもそれぞれの規模は尋常ではない。KDDIは1995年に一部上場に鞍替えし、2008年3月期の売上げは3兆5963億円、イーアクセスは2003年マザーズ、2004年には東証一部に上場し、2008年3月期の売上げは676億円である。3社目のイーモバイルも1兆円は確実だと言われている。私の定義から言うと、今はどれもベンチャーとは言えないのだが、千本さんはこれを「巨大ベンチャー」と言われる。確かにその通りだと思う。

彼がNTTのエリート部長という椅子を蹴って、第二電電を創業したきっかけは、アメリカの大学に留学している時にどんな会社に勤めているかを聞かれ、日本最大の電話会社だと言ったところ、「君は何とつまらない男だ」と言われたそうである。米国の学生は1番優秀な人がベンチャー企業を起こし、2番目に優秀な人はベンチャー企業に就職し、3番目に優秀な人が大手企業に入社する。そして、あまり優秀でない人が公務員になる。千本さんはその話を聞いた時に価値観が変わり、ベンチャー企業を作りたいと思ったそうだ。

当日の勉強会でのお話は非公開という事なので、既に雑誌等で公開されている内容しか書けないのが残念だが、数ヶ月かけて700ページに及ぶ事業計画書を作り、ゴールドマンサックスからの511億円を調達を決めたそうだ。何よりもすごいと思うのは、700ページの事業計画書を作られた事ではなく、厳しい投資委員会の全ページに関するあらゆる質問に対して、笑みを浮かべながら納得できる回答をされたという事だ。もちろん流ちょうな英語で。

これが呼び水となり、まだ事業に着手していない企業が3632億円もの巨額な資金を集めたわけだが、、過去に10億程度しか集めた事がない私から見れば、360倍もの乖離があり、達成した売上げ規模で言えば、3万倍以上である。そういう千本さんを真のシリアルアントレプレナーと言うのだと思った。それでも、米国流に言えば、ALBERTも少なくとも1番目と2番目に優秀な人だけで成り立っている訳であるから、「googleを抜く感性検索システムを作る」という夢を追いかけ、少しでも千本さんに近づけるように頑張って行きたい。

02:06

2008年09月18日

いい加減な仕事はいい加減にやれ(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

何ごともバランスとか統一性とかが必要だと思う。豚に真珠とか、猫に小判とか言うが、一部分だけ豪勢でもあまり価値はない。私は以前TDKでオーディオの商品企画をやっていた。自分はマニアではなかったが、オーディオは好きだった。でも、人は私をマニアと言うのかもしれない。「SLにひかれそうになりながらも生録に賭けた日々」なんていう記事が雑誌に出たくらいなので、生録に関してはかなりのマニアだったかもしれない。黒岩哲彦という建築家がいるのだが、彼は小中学校の同級生で子どもの頃の唯一の親友と言える奴だ。彼の話はまた別の機会に書くとして、山陰本線の蒸気機関車の音を録りに行ったのも彼とだ。彼も私も中央線の三鷹近くに住んでいたのだが、その生録の旅の前に中央線の音を生録して色々な実験をした。踏切で録音した音を目をつぶってヘッドホンで聞く。過ぎ去ったはずの中央線が、まさに自分の前を通過しているかのごとくに再現されるのだ。この時の感動は今でも忘れられない。

蒸気機関車に乗ったら窓から機関車の音を録ろうと思った。しかし、当然のことながらマイクに風の音が入り、うまく蒸気の音が録れない事は火を見るより明らかだった。そこで、おもちゃ屋に行き、直径20cmくらいのスポンジのボールを買い、それをワンポイントステレオマイクの形にくりぬき、風防にしたのだ。これを武蔵境から出ている是政線(西武多摩川線)でテストした。見事に全く風の音は入らず、電車の音や通過する踏切の音だけが撮れたのだ。これほどまで完璧な風防はないと思った。あまりにすごかったので、SONYのロゴを切り抜いてスプレーでスポンジに印刷した。当時私はしょっちゅうソニーショップに通ったり、工場見学に行くようなソニーフリークだったのだ。

蝉や秋の虫の声も録った。これには集音器が要る。ソニーから発売されていたが、とても高くて買えない。そこで自作する事にした。母親に不要な傘はないかと聞き、柄が木でできた布製の傘をもらった。この傘を分解し、裏表を逆に取り付ける。いわゆるおちょこ状態にする訳だ。そして、布の表面にペンキを何回かに分けて塗る。そして、傘の先端にマイクを取り付けると、超高性能の集音器ができる。正確に傘の曲面が放物線になっている訳ではないが、焦点に近い部分にマイクを置くと、遠くの音がびっくりするくらいよく聞こえた。駅でホームの反対側でおしゃべりしている人の声も明確に聞こえるほどだった。元来いたずら好きだったので、こっそりと人の話を聞いたりしたものだ。早朝、自転車で田無のお寺に行き、夜明け前に鳴くひぐらしや、夜明けとともに鳴くみんみん蝉の声を録ったり、終電で青梅線の軍畑まで行き、鈴虫や鳴く虫の王様と言われる「カンタン」の声を朝まで録ったりもした。

かなり話はそれたが、私は生録のマニアだったかもしれないが、オーディオのマニアではなかったので、高級オーディオにはあまり興味はなく、当時も3800円のヘッドホンで充分満足していた。それでも世界一のオーディオテープメーカーの商品企画を任されていたので、当社でもお世話になっている麻倉怜士先生や著名なオーディオ評論家のお宅にお邪魔して、新製品の視聴をお願いする事も多かった。

マニアでない私でも、評論家の先生のお宅のオーディオセットの音の良さには感動した。その時に学んだのは、カセットデッキ、アンプ、ケーブル、スピーカー等の中に、一つでも性能劣るものがあると、全体の音がその性能で決まってしまうという事だった。ケーブルで音が変わるとか、コネクターの素材で音が変わるとか、にわかに信じられない事が、数千万円レベルのオーディオセットだと、明確に分かるのだ。あたりまえの話だが、そこらにあるミニコンポなどのケーブルを代えたところで、元の音が大した事はないので、何の変化も起きない。

仕事でも同じで、何らかの理由でどうしても精度が上がらないボトルネックがあったとしよう。普段は全体の品質を保つために、各工程が必死に頑張っている事が多いのだが、そもそも投入した素材の純度があまり高くないのであれば、途中の工程をいくらクリーンルーム化しても、あまり意味がない訳である。もちろん、いい加減がいい加減を呼び、さらにいい加減になる性質のものであれば注意が必要だが、そうでない場合は、いい加減な仕事はいい加減にやればいいのである。

計算する時の有効数字の考え方もこれに似ている。3打数1安打の選手の打率を、3割3歩3厘3毛という解説者がいたらそれはアホだ。最近のリサーチ会社は、そもそも回答者の5%は嘘つきだという様な意識は全くなく、全員が正しくロジカルな回答をすると勘違いしているようだ。実際に何%の人が適当に回答しているかは分からないが、1000サンプルの中の1人が矛盾回答をしていたとしても、そんな事は統計的には何の意味もないし、まして企業の意思決定には一切関係がない。それを無理矢理ロジカルにしたり、サンプル削除をしたり、それをどうするか等の相談に時間を取られるほどばかばかしい事はない。そういう事を要求するクライアントもクライアントだが、それを真に受けて必要以上のデータークリーニングをするリサーチ会社もリサーチ会社だ。そもそもいい加減な工程があるのであれば、そのいい加減さを認め許容して仕事の精度を決めるべきで、意味のない過剰品質には何の価値もないと思う。

23:27

2008年09月14日

51歳は若手か(山川義介51歳青春)

posted by Yoshisuke Yamakawa

自民党の総裁選立候補者5人を年齢順に並べると、与謝野馨経済財政担当相(70)、麻生太郎幹事長(67)、小池百合子元防衛相(56)、石破茂前防衛相(51)、石原伸晃元政調会長(51)となる。私と同い年が2人いるが、政界では圧倒的に若い感じがする。今回、残念ながら、さらに若い山本一太外務副大臣(50)、棚橋泰文・元科学技術相(45)は立候補に必要な国会議員20人の推薦人を集める事ができないという理由で(本当はどうなのか分からないが)、断念した。これが年功序列で若いもの2人は遠慮しておけ、という筋書きでなければよいと思う。

石破さんは同学年、石原さんと山本さんは学年は一つ下だがほぼ同い年だ。オバマ氏は47歳だし、若手が政界でも台頭する事は非常に歓迎すべき事だと思う。そもそも若手かどうかというのは、相対的なものであり、私などIT業界では完全に「ロートル」だ。という言葉を使う時点で「ロートル」なのだが、ロートルというのは、「老頭児」と書き、年寄り・老人という意味の中国語だそうだ。若い世代のグループに先輩または上司が居合わせた場合、年長者が「オレみたいなロートルの出番じゃあないなあ」と言って引き下がる、との調子で用いられたらしい。

年2回のIVS(旧NILS)でも、ほぼ最年長だしngi group株式会社元会長の西川さんが出場されないとゴルフコンペでも常に最年長である。同年代のみんな、どこへ行ってしまったのだろう。若手という本当の意味は、相対的な年令ではない。私の大好きな詩にサミエル・ウルマンの青春がある。頭の体操で有名な恩師、多湖輝先生に教わったものだ。

 青春とは人生のある期間を言うのではなく、心の持ち方を言う。
 優れた創造力、逞しき意志、炎ゆる情熱、
 怯懦きょうだを却ける勇猛心、
 安易を振り捨てる冒険心、こう言う様相を青春と言うのだ。

 年を重ねただけで人は老いない。
 理想を失うときに初めて老いが来る。

 歳月は皮膚のしわを増すが、情熱を失う時に精神はしぼむ。
 苦悶や狐疑こぎや、不安、恐怖、失望、
 こう言うものこそ恰あたかも長年月の如く
 人を老いさせ、精気ある魂をも芥あくたに帰せしめてしまう。
 年は七十であろうと十六であろうと、
 その胸中に抱き得るものは何か。
 曰く、驚異への愛慕心、空にきらめく星辰、
 その輝きにも似たる事物や
 思想に対する欽仰、事に処する剛毅な挑戦、
 小児の如く求めて止まぬ探求心、
 人生への歓喜と興味。

 人は信念と共に若く 疑惑と共に老ゆる。
 人は自信と共に若く 恐怖と共に老ゆる、
 人は希望と共に若く、失望と共に老い朽ちる。

若手という意味は、この青春に通じる。年令だけ若手というのだけは、勘弁して欲しい。

20:57

2008年09月12日

ALBERTが地方再生に一役(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

9月26日(金)に開催される、いわて未来づくり機構 および岩手県主催の『いわて未来づくり機構マーケティングセミナー 』にて、メディア事業部の菅由紀子が講演を行なうことになった

「WEB3.0時代の情報化戦略~インターネットでの拡販術~」と題して、地産品を拡販するためのECサイトへの集客方法やレコメンデーションの有用活用法などを紹介するのだが、そもそものきっかけは、私が盛岡の学会で発表した時に県庁の友達と話した岩手県の再生作戦にある。その後、何回かやりとりをして、少しでも岩手県の物産拡販のお手伝いができればと思い、講師を派遣することにした。微力ながら地方再生の一助となれば幸いである。

23:53

2008年09月09日

秋の学会発表を終えて(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

今日、感性工学会で『SUDACHI』の発表をし、一連の学会発表が終わった。感性工学会に関しては、昨年も発表した。この時のブログで学会の効用について別の機会に述べると言ったきり、そのままになっているので、今回少し触れてみたいと思う。

大辞林によれば、学会とは「同じ学問を専攻する学者が、研究上の協力・連絡・意見交換などのために組織する会」だそうだ。という事は学会は元来「学者」だけのためにあったのだろう。しかし、最近の学会は産業界からの参加も多いし、私ももちろん学者ではないので裾野が広がっていると思う(もちろん質が落ちているという批判もあるが・・・)。

論文には、査読付きとそうでないものがあり、また学会発表にも査読セッションとそうではないものがある。査読とは学術雑誌等に論文を発表する際、あらかじめ同じ分野で仕事をしている他の研究者による評価を受け、適性かどうかを事前に審査する制度である。この論文の数がいくつあるかという事で、様々な事が判断されるらしいのだが、大学の講師になる時にも、査読付き論文が3件以上ないと難しいという事があるようだ。私の場合は、査読付き論文は佐々木大輔君と一緒に書いた「PSMに関する理論的考察とその改訂」しかないので、それなりに大変だった。

私にとって学会で発表する目的は、以下の3つである

(1)自分の勉強
(2)情報収集、情報交換
(3)自社の広報

秋の学会では、CSを上げるレコメンデーションファジィスペックサーチ、類似画像検索『SUDACHI』の3つが大きなテーマだった。学会発表のために自主調査を実施し、生活者にとってのレコメンデーションがどういう位置づけなのであるか等、多くの知見が得られた。この結果に関しては、近々発表の予定だが、忙しい日々の中で学会発表でもなければ、なかなかこういった調査をすることは難しいし、実施してもきちっとしたレポートは書かない。

幸いにして、私の隣にはリサーチに精通した人間がいる。菅由紀子だ。近々、とある場所で講演をする関係でこのプロフィールは公開されるので、まあ紹介してもいいだろう。

 中央大学経済学部卒。2004年株式会社サイバーエージェント入社。
 インタースコープ社との協業でネットリサーチ事業の立ち上げに従事。
 2006年3月に株式会社ALBERTに転じ、消費者向けウェブサイトの立ち上げ等に関わる。
 2008年1月よりメディア事業部チーフマネージャーに就任。

彼女は、設計から複雑な集計、レポートまで何でもこなす。お陰で今回のチュートリアルセミナーや一連の学会発表もとても助かった。本来の業務ではないのだが、そんな社員にも支えられ、色々な知見を得る事ができたと思う。

二番目の情報収集や情報交換という意味では、他の発表を聞いたりする事はもちろんだが、毎年参加していると人脈も広がり、様々な情報が入って来る。今回も用いた魅力品質と当たり前品質を応用した『CONEL』もそうだし、ニーズインプット型レコメンドエンジンに用いる評価グリッド法やテキストマイニングの技術など、すべて学会に参加していたからこそインタースコープの調査手法にもなったし、それがALBERTのレコメンド技術にも生きているわけだ。

最後に広報だが、学会に参加されている産業界の方、アカデミアの関係者に対しての認知アップもあるし、また発表するというニュースリリースや学会活動を盛んに行っている会社というイメージが、ALBERTの技術開発力を示す傍証にもなっている。

今年の学会は、比較的「開発した事実」の発表が多かったが、来年はその効果検証や膨大なログデータの解析をすることで、新たな知見を得たいと考えている。いかに、消費者にとって有用な情報を効率的に配信するかが、インフォミディアリ戦略の中核だと思うので、今後は精度と納得性の勝負になるはずだ。仮説構築は既にできているので勝算はある。


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21:18

2008年09月08日

大麻は吸っても罪にならない(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

露鵬と白露山が大麻の陽性反応を示したとの事だ。法律にはあまり詳しくないので、大麻を吸っても罪に問えないという事は知らなかった。大麻取締法によれば、

第二十四条の二
大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、五年以下の懲役に処する。

という項目があるものの、許可を得て大麻を栽培している人が、その仕事の中で大麻の成分を誤って吸ってしまうことがあるため、罪にはならないらしい。一方覚醒剤は、そのような間接的吸引が想定されないので、吸引も罪になるとの事だが、何か納得が行かない。

もちろん、廃業等の社会的制裁は加えられる可能性はあるものの、家宅捜索でも何も出てこず、本人も自供をしないとすれば、真実は闇に葬られるわけだ。手品に使う改造コイン、改造したり輸入販売したりするのは罪だが手品に使うのは罪ではないというのと似ている。何となく釈然としない感じだ。手品に使っている日本の硬貨があるとすれば、明らかに誰かが罪を犯しているという事なのだから。

13:05

2008年09月02日

セミナー@成蹊大学で講演(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

今日は、日本計量学会第36回大会「レコメンデーションの理論と実際」と題したセミナーで講演した。開催されているのは武蔵野市にある成蹊大学。私は、吉祥寺にある「すみれ幼稚園」出身で、成蹊大学はそのすぐ近くなので地元なのだが、大学に足を踏み入れたのは初めてだ。

今回の学会では、チュートリアルセミナーのほか、明日のCSマーケティングセッション、好みの計量セッションの3回の講演がある。今日のセミナーは、弊社顧問の芳賀麻誉美先生、KDDI研究所の小野智弘氏とともに、弊社エンジン事業部のエースである巣山剛も講師を務めた。巣山は、その風貌からは考えられないほど繊細なところがあり、はじめての学会講演という事でかなり緊張していたようだが、話っぷりは非常に堂々としておりそのまま大学教授になってもおかしくないのではないかと思うほどだった。もう心配ないので、次回からの講演は彼に頼もう。

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16:46

皆に気を使わせる奴は子供だ(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

やたらと皆が気を使っている人が近くにいないだろうか。もちろん、社長とか先生とか大臣とか、相対的に立場が格段に上だから気を使われている人の話ではない。友達同士とか同僚とか同じ部署のメンバーとか、比較的近しい関係でもそういう人はいないだろうか。

この事を真剣に考えた事があるのは、今から約30年前だ。TDKのある部門に、いわゆるお局さん的な人がいた。若い人はもちろんの事、上司も同僚も気を使っているように見えた。僕は比較的そういう人を得意としていたので、あまり苦にしていなかったのだが、ミスが多く、仕事があまりできない人にとっては天敵だったようだ。その当時も「なぜあの人には皆が気を使うのだろうかと」よく考えたものだ。

営業マンには比較的こういう人が少ないと感じている。まあ、そういう人には営業はできないということなのだろう。その後も何人か皆に気を使われている人を見ているので、共通点を考えて見た。

(1)機嫌がいい時と悪い時がはっきりしている。
(2)予想外の言動をする→期待値の調整がしにくい。
(3)すぐ感情的になり、それが顔に出る。
(4)自分がそう思われている事に気がついていない→鈍感。
(5)仕事はそこそこでき、その人がいないと困る。

朝、機嫌のいい時はにこにこしているのだが、悪い時は、その機嫌の悪さが顔や態度に出ている人がいる。昔は、ジャイアンツが負けた日は機嫌が悪いオヤジとか、そういう分かりやすいケースもあったが、まだ20代でもなぜか朝から不機嫌な顔をしている人がいる。回りの人々は、「週末に何かあったのだろうか」、「体調でも悪いのだろうか」とえらく気を使う訳である。社会人なのだから、プライベートは顔に出すべきではないし、体調が悪いのであればその旨を先に告げればいい。仕事での不満があるのであれば、不機嫌になるのではなく、上司や同僚に相談する等で解決すればいいのである。訳も分からず不機嫌な顔をしていると、皆が気を使う。不機嫌オーラを出して皆にその理由を考えさせたいのだろうかと思う。そういう事が分かっていない奴は子供だ。

ジャイアンツが負けた時に不機嫌になるオヤジに関しては、不機嫌を予想できるのであまり気を使う必要はなく、そっとしておけばいいので楽だ。ところが、以前はにこにこと受け入れていたのに、今回は怒り出すというような事があると、非常に気を使う。あまりにも一貫性がないと、どういう態度に出るのかが予想できないので、心配で仕事をお願いしたり質問したりできなくなる。

感情的になる事が悪いことだとは思わないが、ちょっとしたことで怒鳴ったり真っ赤になって怒り出したりされると、訳が分からない。熱い議論で感情をむき出しにするのならばまだ許せるが、自分はろくにできていないのに、他人ができてないと感情的に責めるのは最悪だ。

そういう様な事は、おそらく自分では気づいていないのではないかと思う。もし、気づいていて気を使わせているのであればひどい話だし、そもそも相手がとう思うかとか、どう感じるかを察知できない子供さがあるから、皆に気を使わせるのだろう。

そんな皆に気を使わせる様な性格な人でも、もし仕事はできないし、いなくてもいい様な存在なら、誰も相手にしないし無視するだろう。ところが、往々にしてそういう人に限って仕事ができたり、キーマンだったりする。その人がいないと、業務が進まないとか、いなくなったら代替えがいないなど、皆が腫れ物にさわるようにせざるを得ないという事になる。こういう人には、異常なほどへりくだった丁寧なメールが送られる事もある。もし、そういうメールをもらっている人があれば、自分の事だと気づくべきである。

組織にこういう人がいると、コミュニケーションのボトルネックになり、健全な事業運営ができない。ベンチャーはスピードが重要だが、コミュニケーションを躊躇させる原因があるとすれば、何としても取り除かなくてはならない。

01:43

2008年09月01日

明治大学大学院の非常勤講師に就任(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

ひょんなことから、明治大学ビジネススクール専門職大学院 グローバル・ビジネス研究科の非常勤講師に就任することになった。明治大学の専門職大学院では、今まで2回ほどゲスト講師として話をした事がある。インタースコープの創業前から大変お世話になっていた、元D通局長がここの特任教授をされており、そのご縁でお話をさせていただいたのだが、今回はスポットではなく後期13回に渡る普通の講義という事で打診があった。

講義科目は「イノベーション論」。平石さんと同じ3度目の起業をしているので、シリアルアントレプレナーなのかもしれないが、一橋大学イノベーション研究センターの教授、米倉誠一郎さんによれば、「アントレプレナーとはイノベーションを遂行する人」だそうだ。そういう意味で、自称職業「開発」、TDKやインタースコープでも新しい商品を開発して来たので、イノベーションを遂行している人の端くれかもしれない。しかし、それと「イノベーション論」を教えるのとはちょっと訳が違う。自分では実践していても、体系的な研究をした訳ではないので、色々勉強する事が山積みだ。

12:00

2008年08月28日

ニューズ・ツー・ユーのパネルディスカッション(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

本日、株式会社ニューズ・ツー・ユー主催『ネットPR事例セミナー2008 Summer』セミナーのパネルディスカッションにて、当社 広報担当 佐藤めぐみが講演をした。

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詳細は、広報ブログにアップされているので、そちらを参照してください。

17:15

2008年08月27日

コピー用紙の裏は使うな!(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

先週、某M信託銀行のセミナーで、株式会社コスト削減総合研究所の村井哲之社長のお話を拝聴した。さすがに分かりやすい会社名の社長だけあって、分かりやすく有用なお話だった。村井社長には、「コピー用紙の裏は使うな―コスト削減の真実 」という著作がある。セミナーでは参加経営者に対して、コピー用紙の裏を使っている人に挙手をさせて、「ではそれで月どれくらいのコストが削減されているか知っていますか?」という質問をされた。もちろん、回答できる経営者は一人もいなかった。

私なら、「ではコピー用紙は1枚でいくらくらいだと思いますか?」と聞きたい。アスクルで購入すると5.000枚で3.000円弱だ。つまり、1枚60銭である。コピー料金に占める紙代の割合は非常に小さいのである。そういう意味で、もしコピー費用を削減しようと思ったら、10枚の紙を節約するより、1枚のコピーを「しない」方法を考えるほうが、遙かに効果的なのである。

出張旅費もそうだ。上場企業の役員などが、「うちはコスト削減なので役員でもグリーン車を使わないのです」という様な事を言うのだが、そんな事より、出張をしないで済む方法を考えたらどうかと思う。出張コストに占めるグリーン代金は、おそらく5~6回の出張を1回減らせば簡単に捻出できるはずだ。

7月6日のエントリーで、「企業のコストダウンで、廊下の蛍光灯を消すとか、2本を1本にするとかいう方法があるが、私は決してそのような事はしない。意識付けさせるために、暗い廊下を歩かせるというなら分かるのだが、社員のモチベーションが最大の企業力→社会への貢献だと思っているから、僕なら企業のコストに占める比率を分析し、多い所から手を付ける。」と書いた。セミナー後に村井社長とお話させていただいたが、社名を見ただけでどんな社長か分かるし、著作名を見ただけでどんな内容かもわかり、素晴らしいコミュニケーション戦略だと思った。

私が創業した某会社の大株主になった会社から派遣された方が、コストダウンのためコピーの裏紙を使う様に全社に指示を出した。当時私はこの会社を去る事が決まっていたが、それでも全体朝礼で、コストダウンはその効果や意味を考えてやって欲しいと言った。「蛍光灯はつけたり消したりする時に電力を使うので、頻繁に消灯する事はかえってコスト高になる。社内を暗くして意識を持たせる目的ならいいが、そういう指示をする人はその効果も併せて明示すべきだ」という考えを示したと思う。

コピー機で裏紙を使うという事は、2001年くらいにインタースコープでもやっていた。しかし、機密情報であったり、そうでなくても社外に出したくない内容の裏紙に、企画書などを印刷してクライアントに提出する人がいたり、ホチキスしたままの裏紙をコピー機に入れて機械を詰まらせたりする人がいたりで、トラブル続出したので中止した。コピー機で裏紙を使わないというのは、紙のコストの問題もあるが、トラブルによるコスト増という事もあり、その某会社はシステム部にいた賢明なIさんの忠告で、裏紙作戦は中止されたが、そういう訳の分からない指示を上から目線でする親会社には、どうも馴染めない。合理的でない精神論には、たとえそれが大株主であろうと持論を通すつもりだ。

15:29

2008年08月26日

努力は報酬に値しない(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

毎週チェックしているテレビ番組の一つに「カンブリア宮殿」がある。2008年8月25日放送の「レアメタル争奪戦 資源を確保せよ! “宝の山”を掘り当てる山師」のゲスト、中村繁夫(なかむら・しげお)氏アドバンスト マテリアル ジャパン社長の話の中で、「努力は賞賛に値するが報酬には値しない」という言葉があった。

当社社長の上村は「結果が全て」とよく言う(言った)。確かにそれには賛成なのだが、本人も言うとおり誤解される場合がある。裏を返すと「プロセスはどうでもよい」ととられる可能性があるからだ。4月のエントリーで「文章は理解できるように書くだけでなく、誤解できないように書く」という師の言葉を紹介したが、その通りだろう。

そういう意味で、中村繁夫社長の「努力は賞賛に値するが報酬には値しない」という言葉は、「結果が全て」を補完してくれる、とてもよい一言だと思った。

17:53

2008年08月23日

AならばBであるということ(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

前回のエントリーで、「文章を図やチャート、表に表す事や、包含関係をベン図で表す能力などもクリエイティブなビジネスにおいては非常に重要な能力の一つである。」と述べたが、これが具体的にどういう事か分からない人がいるようなので補足をしたいと思う。

まず、「ベン図」とは何かという事を知らない人もいるようなので簡単に説明すると、「ある命題における集合関係と求める集合範囲を視覚的に図式化したもの。」である。ベン図さえ書ければ理解が早いのだが、なかなか正しいベン図が書けない。たとえば、四角形を全体集合として、「正方形」「長方形」「菱形」「台形」「凧形」「平行四辺形」を正しいベン図にする事ができる人がどのくらいいるだろうか。算数が得意だと思う方はやってみて欲しい。

さて、前回のエントリーの中にあった、「AならばBである」をベン図にしてみよう。

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ここまでは非常に簡単だろう。では同様にして「ベンチャー企業の経営者は夜中まで仕事をしている」をベン図に表すと以下の通りになる。

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ここで問題を思い出してみよう。

(1)夜中まで仕事をしている人はベンチャーの経営者である。

図のPの部分に、夜中まで仕事をしている人でベンチャー企業の経営者以外の人はいるので、明らかに間違いである。

(2)ベンチャー企業の経営者ではない人は夜中まで仕事をしない。

これもPを考えれば明らかに間違いだ。

(3)夜中まで仕事をしない人はベンチャー企業の経営者ではない。

これはQの部分を考えて、ここにはベンチャー企業の経営者はいない。従って正しいという事になる。

文章を図にする事で、理解が早くできる最も簡単な事例だが、複雑になるほどこの手法が生きてくる。機会があれば、もう少し複雑な事例で説明しようと思う。

追記)四角形に「平行四辺形」が抜けていたので追加しました。2008.8.27

19:40

2008年08月20日

入社テストを実施(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

今日は入社テストを実施した。と言っても、半数くらいの社員とインターンに対してだ。ALBERTの入社テストは、私がインタースコープ時代に作ったものを踏襲していたが、ちょっと量が多いのと、内容を変えなくてはいけない部分が出てきたので見直す事にした。

ALBERTでは、ロジカルシンキングの能力を重視しているので、論理性を試す質問が比較的多くなっている。ただ、実際の入社テストを受けた方の能力は、比較対象がないと評価しにくい。そこで、最近入社した社員とインターンにも受けてもらい、レベル感を確認する事にした。

質問の一例としては、以下のようなものである。

(問題1)
「ベンチャー企業の経営者は夜中まで仕事をしている」という命題が正しいとき、次のうち確実にいえるものはどれか」
(1)夜中まで仕事をしている人はベンチャーの経営者である。
(2)ベンチャー企業の経営者ではない人は夜中まで仕事をしない。
(3)夜中まで仕事をしない人はベンチャー企業の経営者ではない。

この問題は、「論理・推理」というカテゴリーに属するが、かなり易しいほうである。「対偶」という概念はおそらく中学くらいで習うと思うが、「AならばBである」という命題に対して、「BでないならAでない」は真であるという事だ。これだけ分かっていれば、一瞬にしてできてしまう。

こういう回答に対して、そもそも命題が間違っていると言い張るあまのじゃくも中にはいるが、ALBERTではそれはそれで面白いヤツだという判断をする事もある。先日の中間職能テストでは、メディア事業部の見並まり江さんが、問題の誤字を指摘してくれた。私は迷わず彼女に1点をプラスした。

継続的にロジカルシンキングの勉強会を実施していることは、広報ブログでもお知らせしているが、「分類」「整理」「体系化」という基本のほかに、文章を図やチャート、表に表す事や、包含関係をベン図で表す能力などもクリエイティブなビジネスにおいては非常に重要な能力の一つである。先日、あるインターン生の成果発表会があったがこのあたりが素晴らしくよくできている学生だった。ロジカルシンキングは、「話す」「書く」「聴く」というコミュニケーションの場で必要となる能力なので、このあたりは入社テストでも是非見極めたいところだ。

22:18

2008年08月11日

文章の書き方とチェックの仕方(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

ロジカルシンキングの勉強会を月1回のペースでやっている。ロジカルシンキングは、「話す」「書く」「聞く」といったコミュニケーションの場で非常に役に立つという話をするのだが、それ以前の「国語力」の問題ではないかと思う文章や会話によく出くわす。

広角打法で有名な元ジャイアンツH氏のテレビの解説で、「私はですねえ、今のグラブさばきはボールから目を離したためにイレギュラーバウンドに対応できなかった訳で、プロとしてはあり得ないレベルの低さですね。」などという面白いコメントがしょっちゅう聞かれた。聞き流しているとあまり違和感を感じないが、主語+述語というように、余計な部分を省いて見るとそのおかしさが分かる。

「私は、プロとしてはあり得ないレベルの低さです。」となってしまうからだ。こういう事例を出すと、笑う人がたくさんいると思うのだが、実際に社内で様々な原稿をチェックすると、しょっちゅうこの手のおかしな文章を目にする。この文章の誤りは、「私は」という主語に対して、話しているうちに「だと思う」といった述語がなくなってしまった所にある。

先日、私は「経営者の役割は方向指示器付きお茶汲みだ。」と言った。しかし、これを聞いたある人が、「山川さんは経営者の役割は方向指示器だと述べた。」と人に伝えた。これは述語のすり替えであり、明らかにおかしい。経営者の役割が方向指示器である事はあたりまえであって、とりたてて言うほどの事もない。会社の力は社員の力の総和であり、その方向に向かって邁進する主体は社員なのだから、社員が仕事をしやすい環境を作る「お茶汲み」が経営者の役割なのである。

私の小学校の成績は、(算数)>(理科)>>(国語)>(社会)の順だったので、決して文章を書くことも読むことも得意ではないが、高校時代の文通(古いと言われるが)が功を奏したか、あまり文章を書く事に対して苦手意識はなくなった。誤字脱字なども、子供の頃にまるで国語辞典の様な祖母から、「義介は本当に漢字を知らないわね」と言われ続け、あまり漢字は書けないが人の文章を見るとかなりよく気がつくほうだ。

ロジカルシンキングというのは、ほとんど考えなくても本能的というか、感覚的におかしさを感じる人にとってはあまり意識する必要はなく、日常のビジネスに於いてあまり不具合はないのだと思う。当社エンジン事業部の田村秀史さんは、そういう部分を持っている人だ。ただ、自分の感覚や経験を超えて複雑な案件に対峙した時には、ロジカルシンキングの習得をしておかないと、パニックになる可能性がある。まして、感覚的なおかしさを感じず、平気で前述のH氏の様な文章を書く人は、まずは形容詞や副詞を除き、主語と述語だけにして、裸にしておかしくないかを確認して欲しいと思う。

18:56

2008年08月06日

中間職能テスト中(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

ただいま、中間職能テストの真っ最中。ALBERT広報ブログにもあったように、今回のテストは給与には反映させないものの、半年に1回の貴重な一夜漬け勉強の機会である。

今回からガラリと様相を変えて、穴埋め問題を多くした。今までは自由記述が多く、問題を作るのは簡単だが採点が大変であった。今回は問題を作るのは大変だったが、採点は楽になると思う。一例を挙げよう。

(1)一般的・普遍的な前提からより個別的・特殊的な結論を得る推論方法を(       )と言う。それに対し、個別的・特殊的な事例から一般的・普遍的な規則を見出そうとする推論方法を(       )と言う。

(2)労働時間とは従業員が会社の(        )のもとにおかれた時間の事をいう。ALBERTでは(          )制を導入しているが、これは1ヶ月以内の期間のなかで、一定時間数働くことを条件に、1日の労働時間を従業員の自由に設定できる制度のことである。

(3)レコメンデーションとは対象となる商品・サービス・情報等または(      )を分析し、(      )化を行なうことで、対象者にとって(      )があると思われる商品・サービス・情報等取捨選択して提示することを指します。


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成績優秀者のインセンティブに関しては豪華ランチを考えているが、今回から新たにもう一つ考えた。1番を取った人は、来年の中間テストを免除。もちろん免除はするがその時のインセンティブは黙って付いて来るというものだ。さて、今回は誰が1番を取るのだろうか。

09:13

2008年08月05日

上村社長の誕生祝い(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

昨晩は、上村崇社長の29回目の誕生日だった。たまたま上村君は関西出張だったのだが、新幹線で19:45には品川に到着。そのまま歌舞伎町のお祝い会場にかけつけた。社内外から約20名がかけつけ、全員からお祝いの言葉を頂戴した。いやあ、皆いい事いうなあ・・・・、それに上村君はみんなから愛されているという事を実感した。何としても、ALBERTに関係してくださっている皆さん全員を幸せにしなくてはと、再度気合いを入れ直した事と思う。お忙しいところお集まりいただきました皆様、本当にありがとうございました。

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10:28

2008年08月03日

検索deゴー!とっておき世界遺産(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

昨晩19:30から、、NHKの世界遺産の旅特集番組「検索deゴー!とっておき世界遺産」を見た。個人的には自由人として生涯現役を掲げているものの、老後は半分の時間は地球探訪を実現したいと思っているので興味深かった。世界遺産そのものへの興味もあるが、この番組が「横断検索」を活用しているところに時代性を感じた。

仕組みは簡単だ。878ある世界遺産に属性情報が付与されていて、「白」「高い」「寒い」などで検索すると、横断的に検索ができるということだ。NHKによれば、「NHKは2005年から毎日『シリーズ世界遺産100』を放送するなど、世界遺産のデジタルアーカイブス構想を進めながら、ユネスコのホームページを通して世界にも世界遺産映像を発信してきました。この特集は、膨大な映像の蓄積からさまざまな「キーワード検索」によって、850以上にのぼる世界遺産を縦横無尽に引き出しながら、新たな発見を体験するものです。」とのことだ。

ALBERTの見つかる.jpが目指す、「横断的検索」という概念がNHKでも取り上げられた事は非常に嬉しいのだが、この検索エンジンの名前に、すでにある検索エンジン名が使われていたのには驚いた。古い話で恐縮だが、かつて山口百恵が「プレイバックPart2」の歌詞の中の「真っ赤なポルシェ」 を「真っ赤なクルマ」に替えて唄っていたのを懐かしく思い出した。

12:54

2008年07月29日

~学と~論の違い(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

社長の上村と同行営業する時などに、時々頭の体操をする。今日のお題は、「~学と~論の違い」であった。

ALBERTの入社試験には、何と何の違いを述べよという設問がたくさんかある。例えば、「ざるそば」と「もりそば」の違いとか、「宅配便」と「宅急便」の違い、「預金」と「貯金」の違いなどである。このあたりは、私の世代では常識的に知識として持っている人が多く、いったいいつ誰に教わったかも記憶にない。以前は虹の7色を答えよというものもあった。答えは「赤橙黄緑青藍紫」なのだが、後に松田聖子ファンであれば答えられてしまう事が分かり削除した記憶がある。このあたりもなぜか知識として持っている。

違いを述べる設問は、使われている事例を数多く挙げる事で答えを導ける事が多い。それにはもちろん、それなりの知識や教養やクリエイティブが必要だ。ただ、「ざるそば」と「もりそば」などについては、いくら事例を挙げてもその違いが分かりにくい言葉だ。「ざるそば」とは言うが「もりそば」とは言わないという場面にあまり遭遇しないからだ。それに対し、「預金」と「貯金」の違いなどは、「銀行預金」と言うが、「銀行貯金」とは言わないなあとか、「郵便貯金」と言うが「郵便預金」とは言わないなとか、つらつら思い浮かべているうちに答えが出たりする。(しかしこれらの正答率の低さには驚く・・・)

「愛」と「恋」の違いという設問もある。よく、「恋は異性間でしか使わないが、愛は同性でも使う」と答える人がいるが、あまり正しくない。「故郷を恋する」と言うし、愛はもちろん動物に対してでも使うからだ。では、「愛は永遠、恋ははかない」という答えはどうだろうか。これも間違ってはいないし、よい答えではあるが、言葉の定義というのはある程度の可逆性が要求されると思う。愛は永遠かもしれないが、永遠なら愛かと言えばそうではないし、はかないから恋とも言えず、あまり説明にはなっていない。TDK時代の上司の吉野さんが、「英雄色好むと言うが色を好むから英雄とは言わないんだ」と、とある人の批評をしていたが、まさにそういう事である。

このあたりは、実は論理学で言うところの対偶.(命題「AならばB」に対する「BでないならAでない」という命題)に関連しており、ロジカルシンキングにも欠かせない考え方なのだ。そういう意味で、冒頭の頭の体操は、知識も必要だし、お互いがクリエイティブでありロジカルであり、かつコミュニケーション能力ないと楽しめない。(ま、上村君は一つも楽しくないのかもしれないが・・・)

さて話を戻すと、「~学と~論」の違いは比較的感覚的に分かりやすいのではないかと思う。何となく~学のほうが、よりアカデミックで高尚な香りがするのではなかろうか。事例で考えて見よう。「経済学」と言うが「経済論」とはあまり言わない。しかし、「アジア経済論」とか「農業経済論」とか、分野を限定すると「経済論」もよく使われる。「ピーター・ドラッガーのイノベーション論」と言うが、「ピーター・ドラッガーのイノベーション学」とは言わない。これもある程度論者が限定されているからだろう。

そこで、いくつか調べてみたら比較的分かりやすい説明があったので紹介しよう。

「学」
 対象が普遍性を持っている、ある歴史的経過を経ている、その中で研究の積み上げによる論理の構築がしっかりと行なわれている、その構築の構成要素となるものがふつう各論として展開される、といった条件を備えている

「論」
 学と呼ばれるほど高い普遍性は持たないけれども、対象に関して「学」に要請されるのと同じくらい厳密な検証や論証を経て、構築される内容を有するものに与えられる名称

(藤川正信 ”図書館情報学の中心課題:記号,情報,人間” Journal of Library and Information Science,Vol.10.73項より引用)

つまり、学問を構成する要素として「論」があり、分類、整理、体系化すると「学」に昇華するのだ。学問(Science)と論・研究(Study)と言われたりする事からも理解しやすいと思う。

(独り言)そう言えば、8月6日は職能テストの日だった・・・・。

23:52

2008年07月25日

監査法人(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

「公認会計士は常に品位を保持し、その知識技能の習得に努め、独立した立場において公正かつ誠実にその業務を行わなくてはならない。」(公認会計士法第一章 第一条の二)

これは先日までNHK土曜ドラマ「監査法人」の最終回の冒頭に紹介された一節である。このホームページによると、

【「監査法人」とは…】
 公認会計士のグループで、企業が作成した財務諸表の真偽を監査し、決算書を承認するか否かを判断する。監査法人が「不適正」と言えば、その企業は上場廃止に追い込まれ、倒産することもある。全ての上場企業は監査法人による監査を受けなければならず、現在は4つの大手監査法人が、日本の大企業の監査のほとんどを請け負っている。

という事だ。私はマルマン時代に初めて「監査」という行為を実体験した。突然(私にとっては)見知らぬ怪しげな男達が数日間にわたり会議室を占拠し、経理部門などから大量の書類が持ち込まれ、ドアには「監査中」の貼り紙が・・・。夜は施錠され入室禁止。いったい監査って、何をやっているのだろうと思っていた。

その後、インタースコープを創業する時に、エムアンドシーと平石さんのクリードエグゼキュートの2つの事業をどのように合体させるかで、中央青山監査法人のとある方に手弁当でお世話になった。1999年の事である。かなりの著名な方で、IT系に非常に強かったので頼りにしていた。その後、両社から営業譲渡という形をとって、インタースコープを立ち上げたのだが、そのごしばらく同監査法人にお世話になった。

現在おつき合いしている監査法人の方とは、かなりいい関係であり、何でも相談している。あのドラマは何年か前のとある監査法人がモデルらしいが、私から見れば面白い内容だが現実離れしているなという感想だ。しかし、これだけ監査というものが世の中で注目されているのだから、あながち外れた内容ではないのだろう。それにしても、経営者のふがいなさというか、クレディビリティのなさに、子供達が会社の経営者というのはニュースで頭を下げて謝る人と言うのも無理もないかと思う。

ALBERTは、超透明経営を目指しているし、監査法人の方とは若干の方針の違いで議論をする事もあるかもしれないが、基本的にはよき相談相手であり、ALBERTの「適性さ」を証券会社や市場に代弁していただける有り難い応援団だと思っている。

23:47

2008年07月24日

岩手県地震お見舞い(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

昨晩、盛岡での学会発表やぴょんぴょん舎の冷麺のブログを書いた直後に地震があった。残業で遅くまで仕事をしていたメディア事業部の菅由紀子さんと田村啓暁君と3人で、「だんだん揺れが強くなるね」と話しながらテレビをつけると、岩手で震度6強という報道。震度6強と言えば、かなりの大きさ。今朝のニュースによれば予想されたよりは被害が少なかったようだが、八戸には当社の株主であるヤフーバリューインサイトのオペレーションセンターもあるし、元インタースコープで先日大量のさくらんぼを送ってくれた下井田さんも青森なので心配だ。被害に遭われた方には心よりお見舞い申し上げます。

09:55

2008年07月23日

感性工学会@岩手で発表(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

先週は、技術立社セミナーのパネルディスカッションに参加した後、盛岡に行った。目的は「感性工学会第22回あいまいと感性ワークショップ」にて、「ファジィスペックサーチ」に関しての発表。「ファジィスペックサーチ」とは、商品の類似性やスペック数値の距離感に着目した全く新しいアルゴリズムを搭載し、従来の絞り込み検索で「該当しない」という結果が出る欠点を解消、ファジィに類似商品を絞り込むことができるエンジン。スペックで定義できる商品やサービスであれば、ほぼすべてに適用することができる。特許を出願しているので、今回初めて少し踏み込んだアルゴリズムまで発表した。

学会が開催されたのは、岩手県立大学。盛岡駅からバスで30分ほどなのだが、道中のバス停の名前をピックアップするだけでも、その景色が想像できると思う。「農業研究センター」、「岩手牧場」、「果樹研究所」、「森林総合研究所」、「岩大農場」などなど。とにかく緑も空気も綺麗だし、大学は牧場の様にのどかで美しかった。

img5.jpg

バス亭の中で、「果樹研究所」にそそられた。「ふじ」などのりんごを、いかに寒冷地で育てるかの研究をしているそうで、りんご研究部という部署があり、りんご研究部長という人もいるそうである。時間があったら是非訪問してみたいと思った。

たまたま大学時代の同級生が岩手県庁にいるので、四半世紀ぶりに会った。彼は県庁の総合政策部政策調査監という立場にいる関係で、今置かれている地方の深刻な状況に憂い悩んでいた。地震と平泉の世界遺産登録延期で岩手はなお落ち込んでおり、風評被害で観光客も減少しているそうだ。

岩手県、盛岡名物三大麺と言えば、わんこそば、盛岡冷麺、じゃじゃ麺。 中でも盛岡冷麺で有名な「ぴょんぴょん舎」は全国区だそうだ。とにかく麺の腰が強く、キムチも旨い。社長は在日韓国人の辺(ぴょん)氏とのことで、銀座にもお店を出したそうだ。東京でも味わえるので、是非トライして欲しい。今後、インターネットを活用して岩手県や地方をいかに活性化するか、「地方の名物見つかる.jp」でも開設し、少しでもお手伝いができればいいなと思っている。

20:33

2008年07月18日

技術立社セミナー(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

昨日、日経産業新聞「技術立社セミナー」が大手町のJAホールで開催され、『技術革新を導く経営』と題したパネルディスカッションにパネリストとして参加した。1200名を超える応募があったそうで、400名の会場はほぼ満席状態で熱気を帯びていた。

冒頭にエーザイの内藤社長から「研究開発生産性の向上」に関しての基調講演があったのだが、非常に面白くかつ共感できる内容だった。詳細は7月31日付けの日経産業新聞で紹介されるとの事なので割愛するが、ピンマイクを使われ壇上を歩きながらのお話はとてもお上手で、時間もぴったり45分で終わられた。

休憩に続いて、 クラレ取締役・専務執行役員の蜷川洋一氏、安川電機 取締役の宮原範男氏とともに登壇したのだが、会場も暑かったと思うが、とにかく舞台はライティングでもっと暑い。水を飲み汗を拭きながらのディスカッションだった。内容としては、各社の紹介、技術開発戦略の話のあと、開発のマネージメント、製品化、人材活用と評価、知財戦略、M&Aなど多岐に渡ったが、なんせ他の2社と比較するとALBERTは社員数も売上げも500分の1程度しかなく、社歴も30分の1くらいしかないので、なかなか同じ土俵で話をするのは難しかった。もし出席された方があれば感想など聞かせていただければと思う。詳細は広報ブログにもアップされる予定です。

06:33

2008年07月13日

本の読み方(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

インターネットで何でも情報を得る事ができるので、新聞も本も要らない。これは本当だろうか。

私は2000年のインタースコープ創業以来、1日も欠かさず日経新聞(最近は日経産業新聞)を読み、スクラップをしている。もちろん、ネットではRSSなどを駆使して、最新のニュースを敏感にキャッチしようとアンテナを張っている。それでも新聞を毎日読むと、ネットでは拾い切れていない情報や、ノウハウ、特集などを見つける事が多く、止める訳にはいかない。

本も同様だ。体系立てて何かを学ぼうとすると、やはりインターネットでは無理だ。一つには情報の信頼性がある。大学ではWikipediaの引用は認めないという所があるが、当然だと思う。自分が最も詳しい分野について調べて見るとよく分かる。本についても、一人の著者から学ぶのは危険である。いつも同じテーマで3冊の本を読みなさいと言っている。これは、同じ事でも違う人が書くことで受け取り方が違いも分かるし、また表現の仕方が違うのでこちらの本では理解できなかった事が、こちらの本では理解できるという事もあるからだ。

最近はAmazonさんのお陰で、中古の本を簡単に購入できるので今月に入って20冊くらい購入した。色々な講演や学会、セミナーに先立ち、どうしても勉強する必要があるからだ。もちろん、これらの本を隅々まで読むことは時間的にできないし、中古で買う古い本には、今となってはほとんど読むに値しないものもあるので、それほど時間をかけなくても、一応目を通す事はできる。

それでも最近は、圧倒的に読書量が少なくなっていると実感する。マルマン創業者の片山豊社長は、2~3ヶ月に1回くらいブックセンターに行き、何十冊も本を買って来た。ほとんどが経営に関するビジネス書で、当時は「リエンジニアリング革命」とか「経営破壊」とか、あらゆる本を読み、そしてその中で社員に読ませるべき本を「社長推薦図書」として公開していた。読書感想文もよく書かされたものだが、これは非常に役に立った。

片山社長は当時70を超えており、目もあまりよくはなかった事もあり、本は読むのではなく「聴いて」いた。秘書が分厚い経営書をすべてマイクロカセットに録音するのだ。毎週のようにゴルフに行っていたが(遊びというよりは健康管理を兼ねたクラブの開発)、行き帰りの車の中でも、奥様が経営書を読んでいたそうである。以下は、奥様からのメールだが今でも思い出しては目頭が熱くなる。

「いつも、いつも私は本を読む役目で、片山社長は真剣に聞いていました。当時の経営書を何冊も何冊も読まされました。ゴルフ場へ行く車の中ででも「生まれ変わっても経営者になる」と、情熱的に夢を語っていました。」

朝、顔を洗うときも、移動の時も常に本を聴き続けていたという。時間を有効に使う事もすごいが、あれほどの会社を一代で築いた方でも、常に最新の経営書を読んでいたのだ。

ある時片山社長に、「社長、テープを聴くのなら電車でもどこでもできるので、僕にもそのテープを貸して下さい」と勇気を振り絞って頼んでみた。そうしたら社長はニコニコして、「いくらでも貸してやる。ただしお前には無理だ。」と言われた。そんな事はないだろうと、借りたテープを通勤途中で聴くことにした。しかし、いくら集中しようとしても、つい別の事を考えてしまい、頭に入らないのだ。推理小説ならともかく、さすがにドラッガーなどを聴いても全く駄目だった。

悔しいけれど、テープは全て社長に返却したが、またニコニコして「そうだろう。」と言われた。「本を聴くにも、かなりの訓練が必要なのだ。」と言われた。社長の推薦する本は、常に最新のものだったので、社長より先に読んでいる事はまずなかったのだが、唯一、TDK時代にODSにおられ、私の師匠でもある森行生さんの書かれた「ランチェスターを超えて」はよく知っていた。この本は、後に「シンプルマーケティング」とタイトルを変えたが、ALBERTでは必読書である。もしまだ読んでいない社員がいたらすぐに読んで欲しい。

本の読み方はそれぞれだと思うが、インターネットで情報がいくらでも得られる現代においても、やはり本はたくさん読んで欲しいし、それ以前に若い人にはもっと勉強をして欲しい。一般的に年上の人のほうが過去に読んだ本の数は多いだろうし、広い知識を持っていると思う人も多いと思うが、ビジネスにおいては実はそうでもない。役に立たない過去の知識など、ないほうがよいのである。情報の吸収力は年とともに衰退して行く。それに逆らって新しい情報を取り入れようとすると、若い人以上に勉強をしないと追いつかないのである。そう思って何十冊も本を買い込んでいるのであるから、若い人も最低月1冊くらいはビジネス書を読んで欲しいと思う。

23:05

2008年07月10日

協調フィルタリングは消費者が求めるレコメンド方法か?(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

9月3日から日本行動計量学会第36回大会が開催される。今年は2日のチュートリアルセミナーでリコメンデーションの理論と実際と題して講義を行なうほか、特別セッション「CSマーケティング」の中で、顧客満足度を上げる商品レコメンデーションに関しての発表を行なう予定だ。その抄録原稿の締め切りが、今日10日なので色々な調査結果の分析をしている。

その中で、様々なレコメンド方式に関して、消費者がどう感じているかを聞いている。私と社長の上村がインタースコープで開発した、「魅力品質とあたりまえ品質」質問を使った。その結果、極めて面白い結果が出ているので、少しだけ紹介したい。

消費者にとって、魅力的な商品レコメンドは、「ランキング」と「類似商品の提示」である事が分かった。一方、協調フィルタリング的な推薦方法は、認知度も高くあってあたりまえだが、魅力度も必需度もほぼ最下位だった。

この調査結果から読み取れるのは、消費者が本当に推薦して欲しいのは、どこにいる誰だか分からない自分に似た人が買っている商品である必要はどこにもなく、その商品に類似した商品や関連した商品を推薦して欲しいだけだという事だ。

レコメンデーションにおいて、類似度を定義することは非常に重要であるが、その類似度をコンテンツベース(モノベース)で定義するのか、人ベースで定義するかという選択に関して、結果的にどんな方法を取ったとしても、消費者が望んでいるレコメンデーションは、類似している商品に帰する。
ではなぜ協調フィルタリング=レコメンデーションの様に思われているのだろうか。これはamazonの功績が大きいが、モノベースの類似性より人ベースの類似性を定義するほうが楽だったからではないかと思う。また、今回の調査から、今後伸びる推薦方法が何かもわかった。

そのあたり、詳細は9月2日、3日に話をするつもりなので、今日はこの辺で終わりにしておく。

04:49

2008年07月06日

地球温暖化はロジカルに解決(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

いよいよ洞爺湖サミットが始まる。もちろん焦点は地球温暖化問題の解決に向けて8カ国の首脳が目標を共有できるかだ。さて、この目標は、どのように決めるのだろうか。米国は数値目標設定に対して抵抗しているとも言われるが、私は「2050年までに半減」「1990年対比何%」という様な目標はいかがなものかと思う。これはロジカルに考えた時にあまり大きな意味、効果を感じないからだ。

先週、ALBERTは広報祭りだった。30日(月)の日経産業の1面カラーで取り上げられた『SUDACHI』搭載に始まり、1日(火)には「ITmedia 製品NAVI」「ファジィスペックサーチ」「おまかせ!ログレコメンダー」「るいじしゃく」採用、そして3日(木)にはALBERTとしては初の店舗設置型接客システムとして「Bull's eye」が採用された事が大きく取り上げられた。さらに3日(木)の夜、WBSのトレンドたまごのコーナーで『SUDACHI』を搭載した「見つかる.jp」が放映された。(見られなかった方はこちらから)。

決まったのは前日の正午、取材は当日の13時からと、色々な準備もあり相当な忙しさだった。上場企業の経営者なども含め、何人かのかたに、なぜALBERTさんはそんなにたくさん新聞やテレビに取り上げられるのですか?と聞かれた。この回答についてはALBERT広報ブログに譲るが、先週はその騒ぎの中ロジカルシンキング勉強会を実施した。

ロジカルシンキングについては、色々な場面で書いたり話したりしている。たとえば「ロジカルシンキングは言葉である」とか、「数学者をロジカルな人だとは言わない」とか、結局は「帰納と演繹」「MECE」「ロジックツリー」を覚える事だ等。今回の教育では、「ロジカルシンキングて結局何なの?」「ロジカルシンキングって本当に必要なの?「ロジカルシンキングて何に役に立つの?」という3つの問いかけをした後、3つの事を「うまくやる」ために必要なのだという話をした。その3つとは、「話す」「書く」「聞く」だ。

では、実際にビジネスの場面ではどんな事なのだろうか。全員にいくつかの質問をし自分に点数をつけてもらった。例えば「簡潔な口頭報告ができるか」「ポイントが明確な資料を作れるか」「時間内に会議を終わらせる事ができるか」「MECEなヒアリングができるか」・・・・・・等々。点数はすべて相対評価。15人の参加者がいたので、上位何位に入るかで、1位・・・5点、2位~4位・・・4点、5位~11位・・・3点、12位~14位・・・2点、15位・・・1点という自己評価をしてもらった。この結果が非常に興味深いが、今日は本題からそれてしまうので述べない事にする。

次にグループワークを2種類行なった。今回のロジカルシンキング研修は、私が書籍や実施例などから収集した情報にさらに独自に考え出したアイデアをプラスして実施している。当初はほどほどロジカルな人を社外セミナーに派遣、後日その内容を全員に共有してもらおうと考えた。しかし、色々調べたが、社外のセミナーは、かなり質的ばらつきがある事が分かり、しかも事例などが自社の業容に合っていない等の問題もあり、高いお金を払って無駄に時間を使うくらいなら、自分で考えてしまおうとオリジナルなプログラムを編み出した。

その一つが紙の枚数カウントコンテストだ。ある決まった枚数の紙をグループに1束ずつ配賦し、どこのグループが早く正確に数えられるかというゲームだ。事前に作戦タイムがあるので、3人でどう役割分担をするか等を考える。スタートの合図で数えるのだが、各チーム色々なやり方を考えるものだ。まず3等分して各自の合計を暗算が得意な人が計算する方法、10枚ずつ置いて行き端数を数える方法、枚数を数えるのが得意そうな一人が数える方法などだ。どのやり方が優勝したかは明らかにしないが、5チームのうち2チームが枚数を間違えた。たった50枚の紙の数すら数えられないとは、誠に情けない。それ以上に準備段階で50枚ずつセットしてもらったのだが、その50枚が50枚でなかったというオマケ付きだった。1ヶ月後に同じチームで同じゲームをやるので、それまでに充分な作戦を練っておくように指示してあるので、次回が楽しみだ。

さて、かなり回り道をしてしまったが、地球温暖化問題の話。目標というのは達成しなくては意味がない。またそれに向けて何らかのアクションが打てなくては役に立たない。2050年に半減という目標はどうであろうか。あまりに先過ぎて、私もそうだが、失礼ながら現役の国会議員のほとんどがいらっしゃらないだろう。これは数値目標とは言えないと思う。「地球温暖化を防止しましょう!」というスローガンとあまり違いはない。企業も同じで、ALBERTでは長期計画は立てない。3カ年の中期計画止まりだ。私が某企業にいたときに、1990年に売上げを1兆円にしようという計画が持ち上がり、既存事業をそれそれ何倍にして新規事業で2000億円を売り上げれば達成するという様な非常に乱暴な計画だった。3000億程度しか売上げ規模がない頃である。当時の人事教育部主催の何かの研修のグループワークで、どうすれば1兆円を達成できるか考えて発表しろというものがあった。私のグループは、「達成できません」という発表をしたら、人事部長からひどく怒られた。今思えば生意気な社員だったと思うが、残念ながらその会社は未だに1兆円は達成していないようだ。

もう一つ、1990年に比較して・・・という議論がある。目標の設定を比率で考える事には色々なリスクがある。そもそも1990年に省エネの努力をしていた日本は不利で、その当時にじゃぶじゃぶとタレ流しにしていた国は有利だとか、開発途上で工業が発展していなかった国は有利だとか、そういう話になる。比率が機能するのは、企業経営でもそうだと思うが、ある程度安定し軌道に乗ってからだと思う。たとえば赤字会社に利益率の意味はなく、先行投資のフェイズの会社で前年比で売上げを語る意味はあまりない。比率の議論には、母数の正しい定義や安定性、説得性が必要だ。

プロ野球でも市場調査でも同じだ。開幕したばかりの時に、打率の話をしても意味がない。市場調査の結果では、サンプル数が30未満の時にはSB(Small Base)などと注意書きをし、参考程度に見て下さいという。営業成績でも3件アポを取って1件受注したので、受注率33.3%などという報告をする人がいるが、全くロジカルでなく意味がない。「3件中1件受注しました。」だけで充分なのである。また、営業の目標を前年対比で何%アップ決める事があるが、これも危険だ。頑張ると翌年の目標が上がると思えば、ある程度以上頑張らないというのは当たり前の心理だからだ。このあたりは、マルマンでもイデアの橋本さんと一緒にかなり苦労した

この様に考えると、地球温暖化問題というのは、どう考えても母数は安定していないし、合理的で説得性のある定義ができるとは思えない。そういう意味で、ロジカルに地球温暖化の解決策を考えると、まずは量の大きい所からつぶすべきではなかろうか。様々な努力を個人に求めるのは、もちろん意識という意味でも効果という意味でも頭から否定はしないが、自分達の努力が巨大な企業や国の方針や政策でまたたくまに無に帰してしまうとしたら、誰が継続的努力をするだろうか。

コンビニの深夜営業を規制する動きがある。賛否両論がありマスコミは街の声としてインタビューを流しているが、「若い人のたまり場になるので深夜営業はやめるべきだ」とか「明るいと景観が悪くなるから深夜営業はしないほうがいい」とか「深夜は昼間よりお客さんが少ないから儲からないだろう」とか、「それって温暖化に関係ないでしょ!」という、極めてアンロジカルなコメントを聞かされる。別にコメントをする人は個人の考えだし責めないが、それを取り上げて、だからコンビニを深夜営業すべきでないとか言っている人々には呆れかえる。

企業のコストダウンで、廊下の蛍光灯を消すとか、2本を1本にするとかいう方法があるが、私は決してそのような事はしない。意識付けさせるために、暗い廊下を歩かせるというなら分かるのだが、社員のモチベーションが最大の企業力→社会への貢献だと思っているから、僕なら企業のコストに占める比率を分析し、多い所から手を付ける。削減の努力や困難さに対して、効果の大きさがどの程度あるかを分析をし、(効果/対策コスト)を最大にする事を考える。自分は政治家ではないが、もし政治家であったら、まずは地球温暖化税をいうものをその排出量に比例して取り、それらの税収で地球温暖化助成金を出す。家庭用ソーラー発電機やゴミ処理機には80%は助成金が出るとかだ。エアコンの温度を1度上げましょうとか、夜中に働かず早朝出勤しましょうとか言われても、なかなかできない。まずは、すぐにできる目標を作り実施する事が重要だ。目標というのは、達成することとアクションが打てる事が重要なのだ。

14:01

2008年06月30日

見つかる.jpに新システム(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

今日の日経産業新聞の1面に、「アルベルト ECサイト向けシステム」と題し、類似画像検索システム『SUDACHI』がカラーで取り上げられた。日経産業新聞の1面にALBERTが取り上げられたのは先々週の「技術立社セミナー」の告知に続き3回目だ。この『SUDACHI』は、徳島大学の北研究室と共同で開発したもので、2月21日のリリースで「共同開発第一弾のレコメンドエンジンを2008年6月に発表する予定です。」と宣言した通り、ぎりぎりだが6月の最終日に発表する事ができた。

sudachi_logo.jpg


当社の見つかる.jpのファッションカテゴリに実装したので、是非その精度を体感していただきたい。右上の象限は、選んだアイテムの色が近い順に並んでいる。左下は色が同じで別カテゴリのアイテムが色の近い順に並んでいる。『SUDACHI』のすごい所は、色の類似度で計算しているが、特徴の似ている領域をグループ化して類似性の判断をしているので、たとえば白と黒の縞模様があった時に、平均的な灰色という判断をするのではなく、きちっと黒と白の縞模様という事が考慮されているという事だ。そのあたりも、いくつか特徴のあるアイテムをクリックしてみると実感できるはずだ。

この画期的技術は、徳島大学の北先生という素晴らしい数学者?の頭脳から生まれたわけだが、なぜ私が北先生と共同開発する事になったかを少し述べてみたいと思う。私はインタースコープ時代から、比較的よく学会発表などもし、大学の先生とは親しくさせていただいている。ただ、顧問に就任いただいてきた先生とは、そういった学会でお知り合いになった訳ではなく、「突然メール送りつけ攻撃」で仲良くさせていだたいているケースが非常に多い。

当社やヤフーバリューインサイトの顧問である芳賀麻誉美先生にしても、いきなり正月にメールを送り、セミナー講師の依頼をした。1回目のメールは完全に無視されお返事がなかったが、めげずに2回目のメールをしてようやく返事をいただけた。インタースコープで顧問をお願いしており、今でもヤフーバリューインサイトの顧問である学習院大学の上田隆穂先生も同様だ。PSMの理論について意見をしたメールを送り、一度研究室に来て欲しいと言われ、ずうずうしくお邪魔をしてから非常に懇意にさせていただいている。他にも、専修大学の新井範子先生や横浜国立大学の白井美由里先生、明治学院大学の森田正隆先生なども同じだ。

類似画像検索システムを開発しようと決めたのはちょうど1年前の今頃だった。その2ヶ月ほど前の5月にイメージセレクトサーチの商品化をした訳だが、属性データを用いる類似性検索では非常に苦労し、特に色の類似度を測定する方法を毎晩の様に試行錯誤していた。濱田さんというアルバイトの学生に膨大な類似度マトリクスを作成してもらい、何とか形にできた。後にこのマトリクスは「ハマトリクス」と名付けられ、今でも活躍している。しかし、これでは大量データへの適用はできないし、自動で類似画像を検索するシステムが絶対に必要だと確信した。

自社開発ではとてもスピード感が足りない、どこかと組んでやるしかない。そこで、画像の類似性を研究している機関を、企業や大学、日本のみならずシリコンバレーのベンチャーなど含め調べまくった。その中で見つけたのが北先生だ。サンプルデータを作成し、徳島大学を含むいくつかの機関でテストをしてもらったりし、その中で最も精度が良くスピード感のある開発ができると判断したのが徳島大学の北研究室だったわけだ。

『SUDACHI』という名称は、もちろん徳島の名産である「すだち」から取っている訳だが、この画期的技術でALBERTが「巣立つ」という意味も込めている。ロゴマークもすだちのイメージで作った。『SUDACHI』には、今回搭載した機能以外にも、実はもっともっと奥深いものがあり、今後の開発を楽しみにしていただきたい。

sudachi.jpg

07:12

2008年06月26日

祝!上場 イデアインターナショナル(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

ここのところ、月1社しかIPOできないという厳しい状況が続いているが、その中でヘラクレスへの上場を決めた事は本当に素晴らしい。イデアインターナショナル橋本社長松原常務とは、1993年マルマンの時にSA(Sales Automation)という社長直轄のプロジェクトで、情報センターの構築から商品開発、プロモーション戦略、支店業務改革、予算策定と実績管理、本社業務改革まで、強力なリーダーシップで社内改革を推進した戦友だ。

その時目指したコンセプトに創業社長の片山豊氏が考案した「AAS」というものがあった。これはAutomatic Administration Systemの略で、自動的に会社を運営、経営するシステムだ。SAとはFA(Factory Automation)とOA(Office Automation)とともにAASの中核をなすもので、開発された商品が消費者の手に渡るまでの工程を自動化することをいう。このSAを実現することで、各業務の自動化、省力化が図られ、超軽量経営を実現し時代の変化に敏感に対応できる企業体質を作り、競合他社に対して圧倒的な優位性を確立事を目指した。

マルマンという会社は、我々3人が入社する前から自動発注や自動倉庫システムなどは非常に進んでいた。ただ、まだまだナレッジマネージメントがうまくできていなかったので、色々な不具合があった。松原さんは、1994年には社内LANをマック(アップルトーク)で構築し支店もすべて繋いだ。この時代なので、マウスを触った事がないような幹部がほとんどで、ダブルクリックのやり方を教えるだけでも苦労したものだ。ずっと「ダブルクリップ」と言っていた人もいたが、まあ通じればいいかと直さなかった。インターネットの普及率のデータすらない1994~5年当時に、電子メールやチャット、スケジュール管理や各種申請までを教えて運用させる事は至難の技であった。トップの強いコミットメントがなければ、絶対に実現できなかったと思う。改めて片山豊社長の先見性をカリスマ性を認識せざるを得ない。

その後マルマンは、銀行との確執があり、1995年、片山豊社長はマルマンを去りサンゼンというゴルフクラブの会社を72歳で創業し、家電事業部長であった私はエムアンドシーという会社を松原さんと二人で創業、時計事業部長だった橋本はイデアインターナショナルを創業したわけだ。その後色々な経緯があり、松原さんはイデアインターナショナルにジョインし常務取締役CFOになった。考えてみれば、3回の創業には必ず共同創業者がいた。ALBERTは上村君だし、インタースコープは平石さんだ。私にとって一人目の共同創業者が松原さんだった訳だ。

そういう関係もあり、今回のイデアインターナショナルのヘラクレス上場は本当に嬉しい。これからが正念場だと思うが、是非大きく飛躍して欲しい。また、片山社長の経営理念を引き継ぎ、社員を大切にする理想の会社を作って欲しいと思う。本当におめでとう!

22:11

2008年06月22日

技術と開発(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

先日の合宿で、ALBERTは技術者集団なのだろうか、または技術者集団になるべきなのだろうかという議論をした。また、7月17日(木)に開催される、日経産業新聞「技術立社セミナー」で、『技術革新を導く経営』と題したパネルディスカッションにパネリストとして参加する事になった。

そこで、「技術」って何なんだろうという事を改めて考えてみた。またまた言葉の定義で恐縮だが、「技術」と「開発」とは何が違うのだろうか。私は自己紹介をする時に、「職業開発」と言う事がある。しかし、自分は「技術屋」だと思うが、「技術者(エンジニア)」だとは思っていない。

色々な定義があるが、私なりにすっきりしていると思うのは、「技術とは、目的を達成するための方法や手段」「開発とは、自然や知識を利用してより有用なものを生み出す行為」である。この定義で考えると、「職業開発」は、結構当たっているように思う。しかし、技術屋というのは、例えば売上げを上げるために色々な方法や手段を活用している営業マンの事はあまり言わない。もちろん、彼らを技術者とも言わない。つまり、目的を達成するための方法や手段を使って何らかの付加価値を創出している人の中で、どちらかと言えば、理科系的な志向を持った人を「技術屋」と呼び、その理科系的なスキルを仕事としている人を「技術者」と言うのではないかと思う。

技術者をそう定義すれば、ALBERTは技術者集団ではないし、技術者集団になる必要もない。よく、「御社にはエンジニアは何人いるのですか?」と、あたかもエンジニア比率が高いベンチャーがよくて、そうでないベンチャーはよくないような愚問を投げかける人がいる。「開発者は何人いるのですか?」と聞くのであればまだ分かるが、愚問は愚問である。まして、全員が技術者の企業がうまく行く訳がない。ベンチャーの条件は、独自性、成長性、少数精鋭と以前述べたが、重要なのは独自性や成長性を産み出す企画力であり開発力だと思う。

「開発はし続けなくてはならない」という事をよく言うのだが、松下電工の野村氏が、フェロー&マスターズ未来技術研究会で「技術立社、新規商品を“タイムリー” に“永久” に出し続けること」という発表をされている。まさに技術立社というのは、こういう事だろう。基本的にベンチャー企業にはこれが求められる。どのようにすれば『技術革新を導く経営』ができるのだろうか。このあたりを、7月17日にディスカッションできればと思う。

23:26

2008年06月15日

社員合宿報告(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

上村のエントリーにあったように、金曜から1泊で社員合宿を行なった。参加者は正社員12名と役員3名の15名だ。今回の合宿は、3人の事業部長である、技術推進部の辻慶、エンジン事業部の平原昭次、メディア事業部の菅由紀子を中心に以下のアジェンダで進めた。
■第四期上期報告/下期決意表明(各事業部長と佐藤めぐみCCディレクター)
■ALBERT中期ビジョン共有(上村、山川)
■みんなを知ろう!グループワーク(オリンピック招致ゲーム)
■ALBERTについてのディスカッション(アルベルトイズムとは何か)
全体的な感想としては、企業の成長を感じた。今までの合宿では、教育と共有が大きな問題だと感じたが、今回は教育と共有がかなり進んでいる実感だった。まだまだ事業部長の進め方には問題があるが、前回の事業部長合宿で表明した「経営組織の変革」が、着実に実を結んでいると思う。

23:45

2008年06月12日

ALBERT最強の応援団(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

社団法人コンピュータソフトウェア協会(CSAJ)が主催する第5回CSAJアライアンス大賞において当社が奨励賞を受賞し、その後にパーティーが行なわれた。(プレゼンしているのは、当社の平原昭次)

csaj.jpg

CSAJでは、参加企業相互のビジネスマッチングを促す交流会を行なっているが、昨年末に弊社株主である東洋キャピタルさんのご紹介で講演の機会をいただいた。その講演がきっかけで、おまかせ!ログレコメンダーの受注が決まり、今回の奨励賞受賞に繋がった。

ALBERTは比較的多くのベンチャーキャピタルさんに投資をいただいている。社外の方に、「それだけたくさんのVCが入ると大変でしょう」と言われる事があるが、確かに投資をご検討いただいている時は、面談や質疑の数が多いので時間はかかる。しかし、一度投資が決まった後は、強力なALBERT応援団になっていただける。

実際に、過去の案件を見ると、ベンチャーキャピタルさんのご紹介案件は非常に高い確率で決まる。投資担当の方は、たくさんのベンチャー企業をご存じだし、もちろんALBERTのサービスも熟知されているので、どの企業に紹介すれば決まりそうかという事が、社内の営業マンよりよく分かるのだろう。まさに、『おまかせ!案件レコメンダー』だ。今後も力強い応援団としての活躍を期待している。


18:53

2008年06月09日

魚は頭から腐る(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

これはロシアの諺らしい。 「組織は上層部からだめになっていく」という意味だが、4月21日放送のカンブリア宮殿の『第2回社長の金言大賞』に選ばれたものと同じ意味だ。番組では、アルプス技研創業者の松井利夫氏が、「組織はサンマと同じ、頭から腐る」という話をした。

かなり前、サイバーエージェントの藤田さんが公開していた社内報で、社内でのプリント出しっぱなしに苦言を呈していたが思わず拍手を送った。頭が腐らないように維持し続けるのは、それなりに(かなり)大変な仕事だ。

たとえば、「頼まれた仕事の納期は守る、守れなければ必ず進捗を報告する」「遅刻しない」「5分前には席に着く」「メールの返事はどんなに遅くても1営業日以内に書く」・・・。

こんなビジネスとしてあたりまえの事ができない人が多すぎる。

プリントしたらすぐ回収するとか、ゴミの分別をするとか、トイレットペーパーがなくなっていたら補充するとか、人が増えるとそういう事ができない人も増え、どんどん社内がひどくなる。社員が少ない時には、気がついた人が注意したり、経営者が文句を言ったりするし、誰が犯人だか分かりやすいからあまりひどくはならない。しかし、社員が増えると、今まで頻繁に苦言を呈して居た人も、そのひどさにそのうちに言うのがばかばかしくなって、言わなくなる。注意した人が損をする的な文化になったらおしまいだ。

経営者はたとえスタッフに嫌われても苦言を呈し続けなくてはならない。インタースコープでは、そこを失敗したので、ALBERTではとにかく頭が腐らないように頑張ろうと思う。

22:46

2008年06月04日

臨時株主総会(第7回)開催(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

今日は午前11時から、臨時株主総会を開催した。参加された株主の方も少なく、決議事項は2つで問題なく終わった。

たまたま2日の読売新聞夕刊(くらしテクノ面)に、『脱・キーワード「感性」「連想」で手軽に検索』という見出しで、「イメージセレクトサーチ」「見つかる.jp」が紹介された事を受け、株主の方から「なぜALBERTはよく新聞などに取り上げられるのですか?」という質問を受けた。

その理由は3つあるという説明をしたのだが、社長の上村崇から、そこまで言わないでしょうと言われたので、その理由はALBERT広報ブログに譲ることにする。

PR効果も大きいと思うが、上期は受注ベースで109%の達成見込みであり、依然好調に推移している。


17:33

2008年06月01日

検索サービスの現状と今後の変化(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

土曜日に明治大学の専門職大学院で、「検索サービスの現状と今後の変化」という講義をした。検索エンジンの歴史やしくみ、現状に触れたあと、WEB2.0からWEB3.0への変化の話をした。その後にWEB3.0時代の検索エンジンがどういう方向に進むのかを述べた。

「WEB3.0」とはなんぞやに関しては、最近密かにオープンしたCCブログで書かれているので、詳細は述べないが、WEB3.0時代の検索エンジンは、検索結果があまりたくさん出ないものだと思っている。つまり、ユーザーにとって、何百万の結果は不要であり、せいぜい30、できれば10くらいの結果しか出ないほうが望ましい。そのためには、どうすればいいかについては、おいおい書いて行こうと思う。

ところで、このテーマで講義をするにあたって、ちょうど10年前を思い出していた。1998年、私はインターネット通販とインターネットリサーチのビジネスを展開していた。インターネット通販はでは自社で簡単な商品ページと申し込みフォームを作成し、メールで申し込みが来たら日本通運から配送し、代引きで回収するという簡単な仕組みだった。レアもののGショックなどを海外から仕入れ、掲示板に出すとすぐ売れた。どうしてもすぐに欲しくて、10万円以上の現金を持って当時の浅草のオフィスまで買いに来る人もいたくらいだった。

こうして通販をやることで、個人情報はどんどん集まり、パーミションも取らず今では考えられない事だが、それがそのままリサーチのモニターになる事に気づき本格的にインターネットリサーチ事業を始める事にした。当然のことながら、商品を認知させるにも、リサーチモニターを集めるにも、検索エンジンに引っかからなくてはいけない。そこで、あらゆる検索エンジンに登録をすることにした。

kensaku.jpg

当時は検索エンジンといえば、「ディレクトリ型」しかなく、登録しなくては検索されなかった。登録も検索エンジンの数が多くなると手間暇がかかるので、「一括登録サイト」なるものが登場し、URLやタイトル、要約文をいくつかの文字数で入れると、自動的に複数の検索エンジンに登録できた。

ところが、Yahoo!だけはなかなか審査が通らず、いくら検索しても結果が出るようにならなかった。そこで電話で問い合わせてみると、一社は1カテゴリーにしか登録できないので、「インターネット通販」と「市場調査」の両方には出せないと言われた。いや、それは困る、一社で複数の事業をやっているので何とかしてくれと交渉した結果、何と「エムアンドシー」というカテゴリーを作ってくれた。その結果、当時の検索エンジンは「あいうえお順」で出たので、「市場調査」と検索すると、「エ」で始まるエムアンドシーが一番に出てくるようになった。

当時はSEOなどという言葉はなかったが、結果的に「人力SEO」がうまく行った訳だ。そのお陰で、リサーチモニター数は飛躍的に伸び、あっという間に1万人を超えた。小さい会社だったので、申し込みはメールで飛んで来て、それを社員が作ったエクセルマクロでデータベース化するという、極めて原始的な方法だった。メール発信もエクセルのフィルター機能を使って抽出し、マックのメーラーであるユードラにBCCで貼り付けて送っていた。今では、間違いなくスパム扱いされ、メール発信を制限されるところだが、当時のプロバイダーは寛容だったと思う。こうして1万3000人くらいまでは、エクセルで会員管理をしていた。

結局、ここで集めたモニター「MCネットワーク」はインタースコープの「スコープNet」に引き継がれ、後にYahoo!に買収された訳だから、運命的な出来事であったと思う。当時Yahoo!で検索してモニターになってくれた人が、今でもヤフーバリューインサイトの会員なのかもしれない。検索エンジンが育てたビジネスモデルが、検索エンジンで花咲こうとしている。

21:05

2008年05月26日

効率と能率の違い完結編(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

前回、効率と能率の違いについて述べてから、あっという間に20日も経ってしまった。その間、VCの方にも、「回答はこうですか?」などと聞かれ、それは次回のエントリーでと期待をさせてしまい、本当に申し訳ないと思う。ちょっと長いエントリーだが、分割するとまた期を逸してしまいそうなので、一気に載せてしまう。

「効率と能率の違い完結編」に入る前に、ロジカルシンキングの基本について、再び話をしたい。推論の方法論には、「帰納」と「演繹」があるが、先日始めた社内の勉強会で、「帰納と演繹の違いを説明できる人」と聞いたら、何と学生の澤本君だけが挙手をし回答できた。社員が全員いるのに、なぜ手を挙げないかと、勉強会後に特に優秀な社員を叱責したのだが、「意味は分かるがきちんとした説明ができないかなと思い躊躇した」との事で、まあそういう事もあろうかと思い、来月から毎月、グループワーク付きのロジカルシンキング講座を開く事にした。

帰納的に言葉の意味を考え定義する事は、ロジカルシンキングの基礎の基礎だ。そういう意味で、「効率」と「能率」を考えると、「日本能率協会」「産業能率大学」「能率手帳」などはあるが、「効率協会」「効率大学」「効率手帳」などはあまり聞かない。一方、「エネルギー効率」「業務の効率化」「効率アップ」とは言うが、能率をここで使う例はなくはないが、検索しても結果の数は10分の1以下である。そういう意味では、何となく似ているので、どちらも使う事もあるし、混同されている事もあるし、違った意味で使う事もある。

一方、演繹的に考えた場合、そもそも効率も能率も物理で使われているので、その物理的定義は明らかだ。英語では能率も効率も、同じ言葉で「Efficiency」と言うらしいが、物理学では使い分けがされているようだ。「率」というからには、分母と分子があるのだろうと思う。

「効率」は、国語辞典(旺文社 国語辞典[第八版])によれば、
①得られた成果に対して費やした労力や時間の割合。
②機会によってなされた仕事の量と、それに使われたエネルギー量との比。
とある。
つまり、物理学的に言えば、「入力と出力との比率」だ。使った労力に対して、どれほどのアウトプットがあったかという事が、効率の一般的な定義だろう。

一方、能率は物理学では「モーメント」と言われる。国語辞典的には、
①一定の時間内にすることのできる仕事の割合。仕事のはかどり具合。
②〔物〕モーメント
とある。このモーメントがまたわかりにくい。モーメントとは、
『定点に関するある量の効果を示すために、定点からその量までの距離をその量に掛けたもの。力の回転の効果は力のモーメント、運動量の効果は運動量のモーメント(角運動量)などで表す』とあるが、よく分からない。要は、距離×力なので、比率ではなさそうだ。
モーメントは回転体でよく使われるので、「慣性モーメント」といえば、「回転のしにくさ」であり、裏を返せば一度回転すると回転続ける力の強さとでも言えばいいか。同じコマでも全部が木でできているコマより、周囲に鉄のリングをはめたコマのほうが回しにくいが、一度回れば良く回ると言えば、お分かりいただけるだろうか。(ゴルフクラブにも慣性モーメントがあるので、詳細は私が10年前に書いたこちらを参照して欲しい。)

このモーメントは「角運動量」であって、比率ではないにも関わらず、なぜ「能率」と訳されているのか、ご存じの方があれば教えて欲しい。

モーメント以外で物理的な使い方をする例として、スピーカーの性能に「能率」をよく使う。ただ、「90dBの高能率のスピーカーでも効率は5%だ」という様な使い方をする。なぜ、こんな使い方をするのかは、あとで私の推論を述べたいと思う。

さて、効率と能率の違いに関しては、色々な人が色々な説明をしているので、いくつか引用してみたいと思う。

●効率は、入った量と出た量の比率のことで、人間の行動に関して言えば、投入した労力と得られた成果の比率である。 能率には、さらにかかった時間のファクターが入る。
●一般的に「能率」は一定の期間でこなせる仕事の絶対量を表すのに対し、「効率」は仕事の成果とそれに要するさまざまなコストとの相対的な比較を表す傾向がある。
●能率は100%を超えるが効率は100%を超えない。
●効率とは機械が実際になしうる仕事とその機械に供給したエネルギーとの100分比のことを言う。したがって、100%以内の数字で示される。能率とは一定時間内に何人で何個作ったか、という出来高を比較するときに用いられる。
●能率、効率と効果の関係は、分母と分子の関係で、どちらを固定して見るかの違いだ。
●効率が良くても、能率が悪いとダメだ。

これらの説明は、何となく分かる気もするし、そうでもない気もする。ある一部分の分野での説明としては、正しいかもしれないが、包括的な説明にはなっていない。
例えば、スピーカーの能率には、かかった時間のファクターはなさそうだし、単位時間の成果でもなさそうだ。「能率は100%を超える」とか、「分母分子を固定する」とあるが、効率は明らかに分母と分子の単位が等しいので、「%」に意味があるが、能率は分母が時間、分子が仕事の量だとすれば、「%」の概念はないはずであるし、そもそも「率」なのかという話もある。

色々考えて見ると、結局明確な定義はなく、以下の様なイメージではないかと思う。

kouritsu.jpg


英語では同じだと言われる様に、効率と能率は同じ様に使われる事があり、完全に分離はできない。そういう意味でベン図は重なっている。また、能率を上げる為には、効率を上げる必要がある。ただし、効率を上げれば能率が上がるかと言えば、そうでもなさそうだ。「効率が良くても、能率が悪いとダメ」というのは、そういう意味だろう。つまり、効率より能率のほうが、概念として大きく、包括的である様な気がする。また、効率には人や時間の概念が関わらないという事から考えても、能率のほうが包括的でありそうだ。

スピーカーの例は比較的説明しやすい。dB(デシベル)は音圧と言われるが、何ワットのアンプで音を出すと、どれくらいの音の大きさになるかという意味だ。ただ、そもそもこのデシベルは、人の聴感に合わせているので、例えば0dBは、人の聞こえる最も小さい音という、よく分からない基準に対して、雷の音は何倍音圧が高いかというような尺度で表現するので、極めて人間臭い単位である。従って、何ワットの入力に対しての人間的な音の量なので、「能率」と言うのではないかと思う。

それに対して、効率が5%というのは、入力した100%のワット数に対して、そのスピーカーが出すエネルギーの量が、5%に過ぎず、95%は電気抵抗により、熱などの別なエネルギーに浪費されてしまっているという意味だろう。

つまり、効率と言うのは、入力したエネルギーに対して、「無駄」がある事によって、出力するエネルギーが減る事を言っている。効率が悪い仕事というのが、裏を返せば無駄の多い仕事という意味でもあり、無駄をなくせば、当然効率も能率も上がるはずだ。

ただし、必ずしも単位時間内での仕事の量が最大になるのが効率追求かと言えばそうでもない。バケツの例を思い出してみよう。

効率を追求するのであれば、無駄をなくすのがよいのだから、水はこぼさないほうがいいし、何回も往復しないのがいい。以下の計算はメディア事業部の田村君が教えてくれたものだ。

>力学で考えると、
>1mを歩くときの仕事量を1J、
>バケツの重さを無視できるとすると。

>①最短距離を目指す
>100m×1J + 40kg×100m×1J = 4100

>②一度に掛かる重さを20kgにする
>(100m×1J)×2(往) + (20kg×100m×1J)×2(復) = 4200

つまり、最高に効率を追求すると、目一杯の水を入れたバケツを1回で運ぶのがよい事になる。

しかし、水を目一杯入れると、こぼれやすいので、ゆっくり慎重に歩かなくてはいけない。神経も使うし、時間もかかるだろう。手も疲れる。ただ、もしこれを機械がやるとしよう。機械は水がこぼれないように安定して運搬できるだろうし、2往復より1往復のほうが、電気代も節約できるだろうし、機械はぶら下げていても疲れない。つまり、効率は最高にいいはずだ。

ところが、能率は、時間の概念が必要だ。つまり、短い時間で仕事を完了させなくてはいけない。そう考えると、20キロのバケツを両手にぶら下げてゆっくり慎重に1回で運ぶより、10キロのバケツを両手で持って、2回に分けて走って運んだほうが、より早い時間で目的を達成する事ができる訳だ。

仕事は、無駄をなくすという意味では、効率を追求すべきだが、目的を達成するためには、能率を追求しなくてはいけない。だからこそ、「能率協会」や「能率大学」や「能率手帳」はあるが、効率のそれはないのではなかろうか。

23:36

2008年05月20日

全社上期売上達成!(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

先日、エンジン事業部が上期の事業計画を受注ベースで達成の会が催された。

先週末時点で、全社でも上期の事業計画を受注ベースで達成した。達成率は106%。昨日の朝礼で発表し、全員拍手でお祝いした。今日も、新たに「おまかせ!ログレコメンダー」受注のニュースが社内に流れて、確実にレコメンデーションの時代が到来している事を感じる。

ALBERTとしては、予兆から胎動というフェイズを超え、いよいよWEB3.0のフェアウエイど真ん中を走り始める時が来たと思う。

12:15

2008年05月14日

毎週チェックするテレビ番組(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

平日はなかなか早く帰れないので、DVDレコーダーに色々な番組を予約録画して、土日に見るようにしている。ゴルフや格闘技関係、ドラマや趣味のジャズピアノレッスン番組なども録画するが、ビジネス関係では、ワールドビジネスサテライト(WBS)ガイアの夜明けカンブリア宮殿は、欠かさず見ている。これらの中で、社内教育に使えそうな部分はダビングして、毎日の朝礼で「ビデオ勉強会」を開催している。これだけのビデオをまとめて見るのは、結構大変だが、最近のDVDレコーダーは、倍速にしても音程が変わらない仕組みがあるし、CM送り機能使えば、かなりの時短が図れる。ただ、残念ながら田原総一郎の激論は、倍速では聞き取れないが・・・。

ところで、企業理念の中に、「会社の力=Σ社員の能力=Σ(素質×教育×熱意)」と書いているが、経営者の大きな仕事の中に、「教育」がある。ALBERTも、そろそろ社員教育をさらに充実させようと思い、5月21日から、毎週水曜日に勉強会を実施する事にした。社員に対し、どんなテーマで勉強会をやって欲しいか、また自分はどんなテーマなら講師ができるかを募集した。現在、人事でテーマをまとめているが、かなり内容の濃いものになりそうだ。

外部の勉強会やセミナーも、それなりのよさもあるが、大してレベルの高い話や指導はしないものも多く、結局はOJTに近い社内勉強会が、まずは効果が高いと思っている。もちろん、社内にリソースがないテーマに関しては、招聘する事も考える。

会社を強くするために、社員教育は欠かせない。インタースコープ創業期は、トップポイント輪講もやっていたし、経営工学の講義もしていた。日々、本当に忙しいので、スタッフのみんなには、申し訳ないという気持ちもあるが、ここは心を鬼にして、将来必ず役に立つのでやるっきゃないと思う。

22:20

2008年05月05日

効率と能率の違い(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

ロジカルシンキングをする上で、言葉の定義が重要だという話は何回もしているが、「効率」と「能率」の違いを明確に説明する事は、かなり難しい。ほぼ同じ様に使われる事もあるので、辞書を引くと効率の説明に能率、能率の説明に効率と書いてあったりする。もちろん、同じ様に使われる事もあるので、それは間違ってはいないが、「違いを説明する」という意味では適切でない。言葉の違いを知る時に、「辞書」というものは、ほとんど無力に近い。

毎度例に出して申し訳ないと思うが、当社のEさんの業務報告に以下の様なコメントがあった。

> 今日は細切れに業務を行ったので、能率があまりよくありませんでした。

こういう反省を、日々している事とと、それをきちんと業務報告書に明文化している事が文句なく素晴らしいのだが、ここを「効率」と書かずに「能率」と書いた所に、思わずEさんに「能率と効率はどう違うと思いますか?」と質問してしまった。

その回答が、また素晴らしかった。(Eさん、勝手に著作権侵害してごめんなさい!)

> 能率と効率ですが、辞書を引く前に、
> 自分の感覚的なイメージを書き出してみると、
> 能率は、より頭を使った業務の仕上がり具合に、
> 効率は、作業の進捗そのものといった感じがします。

辞書を引いてきちんと回答しようとしない人だって多いのに、引く前に自分の考えを述べて、その後にさらに辞書を引いて検証する。これほど素晴らしい対応のできる人は、今まで見た事がない。

①質問に回答しない人(レスがない人)
②調べもせずに分からないという人
③調べもせずに、いい加減な回答をする人
④辞書を丸写しにして回答する人
⑤辞書を引いたのにあたかも自分が知っていたように言う人
(後のほうがひどい中でのレベルは高い)
が多い中、Eさんの様な態度は全社員、全スタッフに見習ってもらいたいものだ。

さて、本題の「効率」と「能率」の違いだが、いくつかの説明の仕方がる。
その説明をする前に、以下の問題を考えて欲しい。

問題)
20リットル入るバケツが3つあります。家から水汲み場までは100メートルあります。40リットルの水を家まで運ぼうと思うのですが、どうやって運ぶのがよいでしょうか。ただし、バケツ以外の道具を使ったり、手伝ってもらってはいけません。

この問題は、「むり」「むだ」「むら」の説明にも使う。たとえば、20リットル入ったバケツ1つを頭の上に乗せて10リットル入ったバケツを両手にぶら下げて運ぶ。これははっきり言って「むり」です。20リットル並々と入れたバケツを走って運ぶ。これでは水がこぼれるので「むだ」があります。1回目は10リットルを走って運び、2回目は18リットルをゆっくり歩いて運び・・・。これには「むら」があります。

以上はヒントです。能率と効率の違いを、このバケツ問題を使ってどういう風に説明すればいいか、考えてみてください。(つづく)

15:59

2008年04月30日

師の言葉『誤解できないように書く』(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

恩師の栗田先生が、名古屋大学時代に久保昌二教授から教わった言葉の中に、次の様なものがあったそうだ。

(1)大胆に思索し、細心に実験せよ。その逆をするな。

「細心に思索すると自分のやるべき事がない様に思ってしまうし、大胆に実験をすると機械を壊してしまう」という意味だそうだ。これは、開発や事業でも同じ事が言えると思う。発想や計画は、ある程度大胆でないと画期的な事はできない。リスクを取らなければ革新的な事はできないし、合理的から奇跡は産まれないとも言う。細心にリスクの分析をしたら、ベンチャーの起業などできる訳がない。
しかし、一度進み始めた事業は、細心の注意を払わないと大きなミスを犯す。そのコントラストはとても重要だと思う。

(2)文章は理解できるように書くだけでなく、誤解できないように書く

理解できるように書くのは当たり前だが、誤解できないように書くのは難しい。ロジカルシンキングができていない人は、文章を書くのも下手くそだ。議事録や業務報告などは、如実にその能力が現れる。当社の派遣デザイナーのEさんの業務報告は、本当に素晴らしい。分類、整理、体系化されており、しかも見やすい。デザイナーだから見やすいのも当然かもしれないが、やはり全体と部分をバランス良く見る事ができる力と、ロジカルシンキングに長けているのだと思う。しかもイモーショナルなコメントもかなりイケてる。
コミュニケーションは「書く」だけでなく、すべて同じだと思う。この言葉を、「人には理解できるように話すだけでなく、誤解できないように話す」と言い替えてもよいと思う。自分の考えが人に伝わらないのには3種類あって、相手が理解できない場合と、理解しているが間違って理解している場合で、かつ相手が理解できない中にも、相手の理解力が足りない場合と、こちらの話し方が悪い場合がある。多くの人に理解できないと言われたら、話し方が悪いだろうし、自分だけが理解できなければ、自分の理解力が足りないと思えばいい。しかし、怖いのは多くの人が理解したと言っているが、それが自分の言いたい事とずれている場合だ。これは話す側の問題だが、それに気づくことは結構難しい。

「君は何を言っているか分からない」と言われる人が結構社内にもいる。特に上長になる人は、理解できる様に話すだけでなく、誤解できない様に話す努力をして欲しい。

21:56

2008年04月21日

師の言葉 『我以外皆我師』(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

就職してから影響を受けた経営者や上司の事は何かにつけて話をして来たが、学生時代の恩師の話はあまりして来なかったと思う。先日のエントリーで、大学の研究室の教授である栗田先生に教わったマーフィーの法則の話をした。

先々週の土曜日に、栗田先生の傘寿のお祝いが横浜であり、久々にお会いした。栗田先生は、物理化学の先生だが、電子スピン共鳴とかシュレディンガーの波動方程式以上に論文の書き方とか、国語的な事をたくさん教わった。今でも覚えている事がたくさんある。自分のロジカルシンキングの元は、ここで培われたのかもしれないと思う。

『師とは「自分以外はすべて師である(吉川英治)」。
師が何かを教えるつもりで言った事は忘れるが、うっかり口にしたことは覚えている。思いがけない時に浮かんできて、何かの役に立った言葉。』

として、栗田先生が役に立ったという言葉を教えていただいた。吉川英治の「我以外皆我師」は彼がよく色紙に書いたとも言われ、宮本武蔵の言葉とも言われる。

多くの人と接して思う事だが、人には、初対面の同じくらいの年の人や年上の人に対して、初めから見下した態度に出る人と、たとえ年が下に見えても何らかの尊敬を持って接する人の2種類があると思う。私より年下のとある上場企業の経営者に、「今度当社に保月さんという常勤監査役が来られます。」と言ったら、「その保月君はさあ・・・・」と、まるで友達かのような話っぷりで驚愕した事がある。もちろん、立場が下の会社の私に対しては、タメ口以下だった。こういう礼儀を知らないお山の大将的な人は、おそらく「自分以外は皆師である」という様な事は考えた事もないのだろうと思う。

ALBERTの社員は、掃除に来ているおじさんや、宅配便のお兄さんにも、「ありがとうございました」とか「お疲れ様でした」という挨拶をする。私は、下請けとか業者という言葉があまり好きでないので、使わないのだが、「人を使う」という言葉と同じで、お金を払っているから命令口調で何でもさせてよいという事はあり得なく、それは営業行為も同じ事だ。売る側も買う側も、対等の取引であるべきた。

にも関わらず、私がマルマン時代に、某カメラ系量販店は、ヘルパーとい名の下に、夜中の2時3時に全く関係のないゲームソフトの販売準備を手伝わせたり、もっとひどい話としては、社長の自宅の草むしりまでやらされたという話さえ聞いた。真偽は定かではないが、そういう事が横行していた事は確かだろう。

こういう事が起こるのは、社風即ち創業者、経営者の人間性の問題であって、「我以外皆我師」という考えを持っていれば、絶対に起こらない事だろう。ALBERTは、そういう会社とは、例え条件がよくても取引はしない。「我以外皆我師」という思想は、社風を作り上げる上で非常に重要だと思う。

ちょっと話はそれるが、インタースコープの男性社員で、仕事上で「俺、お前」という言葉を使う人はほとんどいなかったし、いると非常に違和感があった。基本的に女尊男卑の会社だったので、女性のほうが優秀な人が多く、仕事もできた。ALBERTもいくらかその文化は引き継いでいる様な気がする。

00:05

2008年04月11日

ロジカルシンキング_1(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

ロジカルシンキングの基本は、「コトバ(国語力」」だという事をいつも言っている。理論物理学者に対して、ロジカルな人だとは言わない。数学の公式を指してロジカルな公式ですねとは言わない。「あの人はロジカルだ」と言った時、その人が理論物理の難しい式を操っている事を指す事はあまりなく、どちらかと言えば、なるほどと人を納得させるロジックをコトバに出して言える人の事を指すように思う。

「~カル」というのは、「~的」という意味であって、「~」そのものではない。ロジカルシンキングの研修が流行っているが、ここでは「ロジック」(論理)を教えるのではなく、「論理的な考え方」「論理的な伝え方」を教えるのである。では、何が論理的かと言うと、そもそも相対性理論は論理的ではなく理論だし、ピタゴラスの定理が論理的なものではないので、論理的というのはやはりより多くの人が納得する考え方と言ったほうがよいかもしれない。

ロジカルシンキングがなぜ必要かと言えば、「難しいものを単純にし、構造化(誰が見てもわかりやすく)して、相手を納得させ、相手と協調するための思考方法」と言われる。そのために、MECE(もれなく重複なく)とかロジックツリーなどという手法がよく使われる。

科学とは何かというと、「混沌としたものを分類、整理、体系化することである」と言われる。では、分類、整理、体系化とは何か? かなり前に上村君に質問をされた時に作ったチャートがあるので紹介しておく。

混沌
分類
整理
体系化

たとえば、社内やプロジェクトの問題点を整理する時、商品をたくさん集めて分類し紹介するサイトを作る時、アンケートの選択肢を設計する時や自由回答を分析する時など、この「分類→整理→体系化」をMECEに行う事は非常に重要なステップだ。より多くの人が納得できるようにこれができる事が、ロジカルシンキンクの要諦の重要な一つであると思う。

23:30

2008年04月03日

平石さんが来社された(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

久しぶりにドリームビジョンの平石さんがALBERTに来られた。

平石さんは、シリアルアントレプレナー 「3度目の起業」と「初めての子育て」で有名だが、そういう僕も、最近ある方からシリアルアントレプレナーと紹介され、しかもALBERTが3度目の起業なので、平石さんと同じだなあと思った。

平石さんのブログを読むまで、「シリアルアントレプレナー」という言葉を聞いた事がなかったので、そもそも「シリアル」って何だ?と思っていた。上村君が、シリアルNOのシリアルで、連続的にという意味だと教えてくれ、なるほどと納得したのだが、連続的に起業するって、結局は継続してないってことではないかとも思い、複雑な気持ちにもなる。僕の場合は1995年から5年に一度の起業なので、少なくとも5年は継続している訳だからまあいいかとも思う。

ところで、今日は平石さんと久しぶりに4時間話をした。かいつまんで言えば、お互いの会社のビジネスモデルを説明し合い、アドバイスをしたり、提案をしたり、悩みをぶつけたり、二人合わせて5社を起業した経験の中から文殊の知恵を出し合った訳だ。

創業者、経営者には、共通の思いや悩みがあり、時々こんな機会を持つと、ホトバシリックな会話がはずむ。今回は「マッチング」という共通のテーマでの宿題をもらったので、新しいビジネスモデルを考えてみようと思う。

hiraishi.jpg

01:21

2008年03月24日

イメージの定量化(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

前回のエントリーでSD法の事を書いたので、2005年の行動計量学会(長岡技術科学大学)で発表した内容を紹介したい。

アンケート調査においては、5段階評価等の『評定尺度法』がよく使われる。意識やイメージの程度を聞く場合、「非常にそう思う」「そう思う」「ややそう思う」「どちらともいえない」「あまりそう思わない」「そう思わない」「全くそう思わない」の7段階を用いる場合もあるし、両端を抜いて「そう思う」から「そう思わない」までの5段階を用いる場合もある。真ん中の「どちらともいえない」を敢えてはずした、6段階、4段階を用いる場合もある。

また、「明るいと思いますか?」という質問に上記『評定尺度』で回答させる場合もあるし、「明るい」「暗い」という対極の形容詞を用い、よりどちらに近いかを聞く方法(SD法)もある。

では、同じ質問をこの様に質問形式を変えた場合、結果はどう変わるのだろうか。

このような問題意識を持ち、『Net調査における質問形式による回答差異に関する考察』と題して、N段階評価における質問形式の違いによる回答の差異や、イメージワードの定量的関係を把握する事を目的とした研究結果を発表した。併せて、「すぐそこ」「この後すぐ」の定量化も試みた。

その結果、以下の様な事が分かった(抜粋)。

1)7段階評定尺度を用いると、そう思う以上の比率が高くなり、どちらとも言えないの比率は小さくなる。
2)両側尺度(SD法)を用いると、どちらとも言えないが多くなり、両端の回答は片側尺度のほうが多い傾向がある。
3)距離を表す言葉で、「すぐそこ」は、約100メートル、「ちょっと先」は380メートル、「ずっと先」は1.5km「かなり先」は4.2km先であった。
4)時間を表す言葉で、「このあとすぐ」は、1分20秒、このあと、「まもなく」は、約5分であった

この結果からだけ見ると、すぐそこに「サンクス」はない。

参考)日本行動計量学会第33会大会発表論文抄録集,2005,

08:16

2008年03月13日

セマンティック・ディファレンシャル(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

「セマンティック」と言えば、ネット系に詳しい方なら、「セマンティック・ウェブ」を思い出すだろう。セマンティック・ウェブとは、 『Webページの意味を扱う事を可能とする情報(メタデータ)を付加することで、コンピュータが効率よく情報を収集・解釈できるようにするシステム。単に検索対象となる語が含まれているか否かではなく、コンテンツの意味情報から検索できるため,検索結果の精度が向上する』と説明される。

「セマンティック」の辞書的な意味は、「意味論的な; 意味に関する」であるが、調査業界の人が「セマンティック」と聞けば、セマンティック・ディファレンシャル(SD)法という言葉をすぐに思いつく。

SD法とは、オスグッドとスーチ、タンネンバウムによって発表された、意味の作用の測定方法である。元々心理学の分野で使われたが、反対の意味を持つ形容詞のペアによって、感性的なイメージなどを定量化する手法である。企業イメージの測定や消費のパッケージデザイン、広告表現評価の測定などに用いられている。高い-低い、重い-軽いなどの対立するイメージを用いて、商品、ブランド企業イメージなどの心理的なイメージを、5段階などで評価、測定する方法で、レコメンドエンジンでも使用される。

感性検索において、イメージの定量化は重要なポイントになり、このSD法もスライダーなどを使った無段階評価なども実用化されており、さらに突き詰めると、様々な面白い発見がある。例えば、「すぐそこサンクス」というコピーがあるが、すぐそことは何メートルなのか。世界陸上で「このあとすぐ」と織田裕二がよく言うが全然始まらないという批判がある。では、「このあとすぐ」とは、何分後を言うのだろうか。

そんな事も、形容詞の定量化、イメージの定量化をすることで明らかになる。

23:06

2008年03月07日

感性検索とは何か(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

ここのところ「感性検索」という言葉に、急速にスポットが集まって来た。昨年の8月20日の日本経済新聞で、『キーワードはいらない「感性検索」気軽さ売りに販促、ニッセン似た靴次々』というタイトルで、ALBERTの「イメージセレクトサーチ」が写真入りで取り上げられた。この記事は、その後ALBERTにとっては、非常に大きな意味を持つものになった。ちょうど、第三者割当増資活動の真っ最中であり、この記事をきっかけに投資を考えてくださったVCもあるほどだ。

そして約半年後の今日、遂に「ワールドビジネスサテライト(WBS)」でALBERTの感性検索が特集される事になった訳だ。テレビ東京のホームページでは、既に大浜さんが見どころムービーで案内をしている(3月7日正午現在)。新聞の番組覧にも「キーワードから感性…ネット検索の新手法」と、動くか?日銀総裁人事に並んで掲載されている。当社のコーポレートサイトも、昨日のPVが2,000を越え、前評判は上々である。

では、なぜ今、この感性検索がこれほど注目を浴びているのだろうか。昨日の日経産業新聞の2面で4月にオープン予定の、『推薦エンジンと感性検索を搭載した、ショッピングポータルサイト「見つかる.jp」』が大きく取り上げられたが、そこには感性検索に関して、以下の様な説明がされていた。

【感性検索】(2008年3月6日付、日経産業新聞2面より引用)
感覚的な表現の言葉や、写真などを選ぶことで、目的の情報を検索する技術。検索語の入力は必要ない。デジタルカメラなら「画質を気にする」「電池の持ちを気にしない」といった質問に答えながら商品を絞り込める。特定の色や形状を選択すると、類似の商品を探し出す手法もある。
一般的な検索では、的確な検索語を入力しないと目的の情報にたどりつきにくい場合がある。感性検索は商品知識などが乏しい人でも使いやすい。アルベルトやチームラボ(東京・文京区)などが開発を進め、ニッセン、ガリバーインターナショナルなどが導入している。

感性検索の特徴をまとめると、以下の通りだと思う。
1.具体的なキーワードがわからない時にも、感性にフィットする画像やフレーズなどを選んでいくだけで検索できる。
2.キーボード操作が苦手な中高年層でも、マウスやタッチパネルなどで入力することができる。
3.何を探したいか自分でも分からない潜在ニーズを掘り起こすことができる。
4.文字入力がしにくい、携帯端末やゲーム機器などでのメリットが大きい。
5.文字を使わないので言語を選ばず、グローバル展開がしやすい。

情報が溢れる中、どうやって本当に自分の欲しい情報や商品にたどりつくかが消費者にとっては大きな悩みだろう。当然のことながら、探しているモノが見つかり、欲しいモノが見つかり、そして思いもよらなかったモノも見つかれば(セレンディピティの概念)、購買確率は上がる。
インターネットがほぼ普及し、当たり前になった時、ごく一般的な消費者がキーワード検索では解決できない問題が出てきた。「どんなものでも探せるが、出てくる結果が多すぎて本当に自分が欲しいものは探しにくい、見つからない」という事だ。
ALBERTの経営理念は、「ITを活用し、消費生活における意思決定の支援、悩み・迷いの解決をする」だが、まさにこの『感性検索』は、経営理念を実現する大きな技術だと言える。

※セレンディピティとは
セ レンディピティとは、探していたものとは別の価値があるものを見つける才能・能力のことを指す言葉で、「セレンディピティ物語 幸せを呼ぶ三王子」という おとぎ話が語源となっています。 ウェブサイトにおけるセレンディピティとは、検索やレコメンドの結果、ユーザーが予期しない新しいものに偶然出会い、当初の目的を忘れていろいろなコンテ ンツやデータをブラウズするということを指し、この現象が多く起こるほどユーザーが期待を持って訪れる、満足度の高いサイトであると考えられる。

11:45

2008年03月03日

健康博覧会でパネルディスカッションに参加(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

2月28日(木)に開催された「健康博覧会2008」で、『健康産業を勝ち抜く販促プロモーションを探る ~厳しい市場情勢を踏まえたマーケティングのヒントとは~』と題したパネルディスカッションにパネリストとして参加した。

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パネリストのメンバーは、私のほか、小林憲司社長((株)新日本機能食品開発研究所)、加藤忍社長((株)シアン)、内藤真一郎社長((株)ファインドスター)であった。

それぞれ、健康食品のメーカー、化粧品のメーカー、ニッチメディアの販売促進など、ある意味違った分野のメンバーだったので幅広い話ができたとも言えるが、あまりにも違い過ぎて「ディスカッション」というよりは、個別の話をそれぞれがするという感じだった。

『健康産業を勝ち抜く販促プロモーションを探る ~厳しい市場情勢を踏まえたマーケティングのヒントとは~』というテーマに関しては、「良い商品をお持ちであれば、まずはそれを認知させること、そして試用していただきリピートさせること。それぞれのステップをいかに効率よくできるかで売れるかどうかが決まる」という事で、コンバージョンレート、リテンションレートをいかに上げるかについて話した。

ALBERTは良い商品をユーザーに見つけていただくためのお手伝いを、「感性検索」や「推薦エンジン」を通じて実現しますというのを結論とした。

11:31

2008年02月27日

購買予測モデルNSX(Net Style Index)_3(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

購買予測をするためには、消費者の「購買パターン」を知る必要がある。個々の購買パターンは以下の3つで決まると述べた。(購入実態の要因確定

①「デモグラフィック属性」(性、年令などの人口統計学的な属性データ)
②「サイコグラフィック属性」(価値観やライフスタイルなどの心理学的属性)
③「情報要因」(情報の入手経路や情報への態度)

NSXでは、これらの各特性を調査によってクラスターを作り、購入パターンを分類しようと考えた訳だが、では具体的にはどんな質問をすれば、これを確認する事ができるだろうか。それを抽出したのがこれだ。

nsx003.jpg

それぞれの項目に対して、複数の質問を設定し、インターネットユーザーをクラスタリングするという試みだった。(つづく)

23:37

2008年02月21日

「聴く営業」「解決質問型の営業」(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

成功している優秀な営業マンの行動分析をすると、

①買い手より多く話をしている。
②情報を得るために多くの質問をしている
③商品説明は商談の後半でしている

だと言われている。以前、「インタースコープのような、BtoBのどちらかと言えばコンサルティング寄りの調査会社にはピッタリだ」と思ったと述べたが、高額商品営業(コンプレックスセールス)の特徴としては、次の6つが挙げられる。

①決定までに時間がかかる
②大きな意思決定を伴う
③決定に多くの人が関わる
④クライアントのビジネスに大きく関係する
⑤継続的ビジネスのチャンスがある
⑥競合が多い

例外もあるが、納得できる項目は多い。この様な商談においてはクライアントのニーズを充分に知り、ニーズを理解いただき、その問題を解決したいと思う欲求に応えるに相応しい提案をしなくてはならない。これらを実現するために、以下のSPINが活用される。

1.Situation Questions(状況質問)~ニーズを明らかにするファーストステップ~

初めてクライアントを訪問する場合、当然のことながら優秀な営業マンは充分な事前調査を行なう。最低限、ホームページを読んで事業内容や経営陣などについては理解し、相手のニーズがどこにありそうかは分かった上で行く。さらに帝国データバンクなどで業績や財務状況なども調べればさらによい。商談の中に、いかに自分が相手の会社に興味があるかという事を分からせるトークを入れる事で、好感度を上げる効果もある。
事前調査で分からない事に関しては、質問するしかない。この「状況質問」は商談の初期に相手の客観的事実を聞くものであって、相手がうんざりしないよう、簡潔に終わらせる必要がある。

2.Problem Questions(問題質問)~問題は何かを質問し、不満を聞き出す~

クライアントの状況が分かったら、次に相手の持っている課題を探っていく。顧客の持っていると思われる問題について聞くわけだが、あまりにストレートに聞かずに、仮説を立てて問題提起をする必要がある。「問題質問」というのは、ある種アンケートの設計に似ている。リサーチ業界では、「分析3年、設計8年」という言葉があるくらい質問設計は難しいとされている。客観的事実を聞く質問設計はそれほど難しくないが、問題をあぶり出す質問設計はかなり難しく、事前の調査や仮説設定が非常に大切になってくる。潜在ニーズをあぶり出すことが重要だが、潜在ニーズはまだ販売に結びつかないとされている。

3.Implication Questions(示唆質問)~問題を放置したらどうなるか・・・~

問題質問で発見された、顧客がまだそれほど大きく、深刻には感じていない問題が、どのような影響を及ぼし、深刻な事態を引き起こすかについて聞く質問。目的は、顧客に不完全な状況認識を深め、それを明らかな問題として意識していただく(顕在化する)ところにある。示唆すべき範囲としては、売上げ、コスト、人員、時間、モラル、クライアント、品質、他部署などで、「放置するとこんな風になりますよ、このままでいいのでしょうか」と、問題の深刻化、拡大をはかる。

4.Need-Payoff Questions(解決質問)~こうすれば解決する事を認識していただく~

示唆質問で明らかになった問題を解決したときに得られる、買い手側のメリットについて聞く質問。買い手の顕在化されたニーズを繰り返し、自らその内容や重要性を明確化し、問題解決によって得られる買い手のより大きな付加価値に気づいていただく。

最後に3つの説明である、特徴、利点、利益を説明すれば、商談成立というわけだ。

20:18

2008年02月18日

今朝のズームイン!!SUPERに出演しました(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

日曜日に休日出勤していたら、夜の9時前に突然日本テレビから「東芝のHD DVDの撤退について詳しい人に取材をしたい。朝一の番組に使うので今から行っていいですか?」という内容の電話があった。

電話を受けた上村君は、「うちの会長が適任です」と答え、早速カメラクルーが来る事になった。21:30にはバンに乗った4人の男性が到着、大会議室で取材が始まった。たまたま昨日、ごった日記でこの件についてのブログを書いていたので、それを読んだのかと思って聞いたところ、インターネットで色々検索をして、家電の事に詳しそうな人がいる会社を探したそうだ。

日曜のこんな時間に会社にいる人は少なく、留守電やお断りばかりで困っていたところ、教えて!家電のリリースを見つけて電話をしたそうだ。確かに、私はVHSとベータ、8ミリビデオ、S-VHSと、規格戦争にもろに巻き込まれながらメディアの開発をし、その後、マルマンで家電事業部長をやり、今は「教えて!家電」を運営する会社を経営しているので、ぴったりかもしれない。

インタビュー内容は多岐に渡り、そもそも両規格は何が違うのか、消費者はどうすればいいのか、今後の市場はどうなるのか、価格は下がるのか、東芝の損失はいくらなのか、過去の規格争いはどんなものだったのか、なぜメーカーは仲良く開発をしないのか、もっと早く決断すべきだったのではないか、消費者はどこに怒りをぶつければいいのか・・・・等々、45分間に及ぶ質問攻めだった。

放映されたのは、たったの10秒だったが、そのために45分もインタビューをして、テレビの制作って、本当に大変なんだなあと思った。

zoomin
(写真は日本テレビ「ズームイン!!SUPER」平成20年2月18日放映より静止画像を引用)

23:44

2008年02月15日

SPIN手法における「3つの説明」(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

潜在ニーズを顕在化し、いかに問題の大きさを認識させるか、それがSPIN手法の本質であり、具体的には4つの質問だという話をしたが、その前に以下の3つの説明(FAB)について述べたい。

1.特徴(Features)
2.利点(Advantages)
3.利益(Benefits)

まず、営業に行くと自社の紹介などを説明した後に、商品やサービスの「特徴」を説明する事が多い。特徴だけを説明すると、顧客の関心は「価格」に向く傾向にある。もちろん、価格を聞かれた時こそ、売れるチャンスだとも言われるので、価格を聞かれなければ、そもそも興味を持たれなかったという事にもなる。
そこで、次に顧客にとっての「利点」(ベネフィット)を説明する訳だが、利点を説明すると、例外事項や滅多に起きない事などを挙げて「反論」してくるケースが多い。

最終的には顧客の潜在ニーズを顕在化した上で、「利益」がどう満たされるかを、買い手側の立場で説明すると、おおむね、賛同が得られやすくなる。ここで、利益は数値で表すことができる定量的なもの、利点は数値で表せない定性的なものだと考えると分かりやすいと思う。DCCMにおける、差別性と優位性に似ている。

この説明に、4つの質問SPINをうまく絡ませながら、FABを説明していくのが、「聴く営業」「解決質問型の営業」のコツだと言われる。

20:01

2008年02月07日

なぜ商品は売れるのだろうか(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

「貨幣はモノの価値を客観的に表す尺度である」と言われる。つまり、購買行動というのは、商品の価値と価格のバランスで決まると言ってよいだろう。B2Bの営業で言えば、顧客が持っている問題や欲求が解決される可能性に対して、支払う対価が小さいと思えば購入するし、大きいと思えば購入しない。

SPIN手法は、「聴く営業」「解決質問型の営業」とも言われる」と述べたが、最初から価値より価格が低いと感じられる商談は、どんな営業担当者がやっても成立する。しかし、価値と価格の関係が微妙な時、または顧客が価値に対して価格が高いと思っている時には、なかなか成立しない。
この時に、価格を下げる事によって商談を成立させる事は、比較的容易だが、価格を下げずに成立させたほうが企業にとって得策であるに決まっており、ではどうすればそれが実現するかを考えるべきだという発想で考えるのが、SPIN手法である。

つまり、「問題解決に支払う対価より、解決される問題が大きい」という事を顧客に認識させるという事で、言い換えると潜在ニーズを顕在化する事によって問題の大きさを認識させ、その問題を解決するための相応の対価を支払うという構図を作り出す営業手法だと言える。駄目な営業とは、それほど大きな問題と思っていない顧客に対して、価格を下げる事によって何とか価値と価格のバランスを取って成立させるものであり、顧客ニーズを顧客から聞き出さずに自分勝手に解釈、とにかく商品説明を一方的にしゃべり続け、売りつける方法だと言われる。結果的に顧客満足も得られないし、売り手も利益を得られない事になるわけだ。

では、どのようにして潜在ニーズを顕在化し、問題の大きさを認識させるか、それがSPIN手法の本質であり、具体的には4つの質問

1.Situation Questions(状況質問)
2.Problem Questions(問題質問)
3.Implication Questions(示唆質問)
4.Need-Payoff Questions(解決質問)

による「聴く営業」「解決質問型の営業」である。その具体的な方法については、次回以降の述べたいと思う。

23:31

2008年01月30日

ALBERT職能テスト中!(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

今日は9時から職能のテストを実施している。ALBERTでは、年に1回職能の査定を行う。実績や成果の評価は年2回行い賞与に反映させるが、給与は年一回の職能評価シートとテストで決定する。

テストの内容は、一般教養、ALBERTの理解、事業内容の理解などだが、今回は「レコメンデーション」に関する質問の比率を多くした。

例えば、「商品の関連性や類似性を定義する方法やそれに使うデータの種類について説明してください。」「ALBERTのレコメンドエンジンの商品名を5つ答え、それぞれを簡潔に説明してください。」「ALBERTはなぜレコメンデーションの専門企業と言えるのかを説明してください。」などだ。
日頃からホームページやALBERTブログを読んでいれば、簡単な問題だとは思うが、いざそれを文章にして簡潔に分かりやすく書こうと思うと結構難しい。

テストを嫌がる人もいるが、結構楽しみにしている人もいて、テストをやるという事で一夜漬けでも勉強をするという事に意味があり、今後も定期的に実施して行くつもりだ。

テスト中

09:12

2008年01月29日

優秀な営業マンの行動分析からできたSPIN手法(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

SPIN研修というものがある。私自身、インタースコープ時代に講師を招いて社内研修を企画した事がある。ある人からSPIN手法と研修の話を聞いて、その場で講師を依頼した。インタースコープのような、BtoBのどちらかと言えばコンサルティング寄りの調査会社にはピッタリだと思ったからだ。

この「SPIN」は、よく売れる営業マンの行動を分析して考えられた手法で、世界のトップ企業が採用して成果を上げているとも言われている。ALBERTの営業にももちろん当てはまる部分は多いし、また前のエントリーで上村が書いた「SFAソリューションとしてのレコメンドエンジン」を設計する時に、非常によい視点を提供してくれる。

今日のブログは別の話題を準備していたのだが、ちょっと話題を変えて、SPIN手法について書く事にした。

SPIN手法は、「聴く営業」「解決質問型の営業」とも言われる。キーワードとして、「2つのニーズ」、「3つの説明」、「4つの質問」がある。具体的には以下の通りだ。SPINとは「4つの質問」の頭文字を取ったものだ。

1.顕在ニーズ
2.潜在ニーズ

1.特徴(Features)
2.利点(Advantages)
3.利益(Benefits)

1.Situation Questions(状況質問)
2.Problem Questions(問題質問)
3.Implication Questions(示唆質問)
4.Need-Payoff Questions(解決質問)

長くなるので詳細な説明は次回にするが、これらをうまく組み合わせる事が営業成功の秘訣という事だ。

11:15

2008年01月27日

購買予測モデルNSX(Net Style Index)_2(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

購買予測をするためには、消費者の「購入パターン」を知る必要がある。では個々の購入パターンは何によって決まるのだろうか。当時、この議論のベースになったのが、「Mモデル」というものだ。

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Mというのは、当時このプロジェクトを手伝ってくれていた、Mさんの頭文字だが諸処の事情でここでの本名の公開は控えておく。
このチャートで最もベースにあるのが「気質」だが、Wikipediaによれば、「気質とは人間や哺乳類などの動物の集団が先天的にもっている刺激などに反応する行動特性である。性格と同一視されやすいが、性格は気質から作られる各個体の行動や意欲の傾向である。」とある。
ドイツ人のクレッチマーはその人の体格に応じて、人々の気質を3つに分類したそうで、ふっくら型は「そううつ気質」、細長型は「分裂気質」、がっしり型は「粘着気質」だそうだ。体格は生まれつき決まっているのか、ダイエットしたり鍛えたりしたら気質も変わるのか、という議論も出て来そうだが、社長の上村は親戚中細いそうだし、私の父も祖父もどちらかと言えばメタボ系なので、あながち間違っていないのかもしれない。
一方、性格とは、「ある人を特徴づけている持続的で一貫した行動パターン」と定義されている。気質は性格の一部という考え方もあるようだが、ここでは分離して考えている。性格は基本的な気質の上に形作られるもので、育つ環境や人間関係の中で変わって行くと思われる。また購入パターンを決める、「価値観」や「ライフスタイル」には、教育等によって形成されるその人の「能力」も大きく関わる。
気質の上に作られたその人の性格と能力によって価値観が形成され、さらにライフスタイルには社会動向、家族、収入などの外的環境要因が関わると考えた。価値観が同じでも、ライフスタイルは外的要因で変わるからである。
購入パターンを決める要素として、どんな「情報媒体」を参考にして購入するかという情報要因も大きい。この情報媒体を決めるのが「情報特性」であり、これも性格や能力によって決まると考えた。
NSXでは、これらの各特性を調査によってクラスターを作り、購入パターンを分類しようとしたのだ。(つづく)

01:05

2008年01月24日

オフィス拡張と成長戦略(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

ALBERTは現在3フロアある。1階は受付、会議室、倉庫、休憩室で。2階は2つの会議室とメディア事業部、コーポレートコミュニケーション部、人事。3階はエンジン事業部と技術推進部、総務・法務・財務・経理である。
業務効率やコミュニケーション効率を考えると1フロアが望ましい事は重々承知なのだが、数人からスタートしたベンチャーが、どの様にオフィスを拡張して行くのがよいかは非常に難しく、なかなか1フロアを維持して拡大して行く事はできない。
インタースコープは、2000年に中目黒で創業し1年後に代官山に、また1年後には池尻大橋へと、最初の3年は毎年引っ越しをした。ベンチャーの場合は、売上げや利益が順調に行かない状況でも企業の継続、成長のために資金調達をし、オフィスを広げ、開発を加速し、営業力を強化する事が必要なフェイズもある。
まさにインタースコープの歴史はそれの連続だった。中目黒と代官山は1フロアだった。中目黒のオフィスは中会議室が1つだけで、なんとかオフィスの入り口付近に小さなミーティングスペースを作るのがやっとだったが、代官山では大会議室と中会議室を作った。来客や社内ミーティングが増えると、どうしても中会議室1つでは足りない。
しかし、その後どんどん人が増え続け、二進も三進も行かなくなり、近くの秀和マンションを借りてシステム開発メンバーをそちらに移動させたり、中会議室を潰して執務スペースにしたりした。
かなりオフィス環境が劣悪になったという事もあり、家賃も安く、広い池尻大橋に引っ越した。最初から2フロア借りて、広い研修室まで作り、PCも30台くらい買ってLANを敷き、PCを使ったユーザビリティ調査や小さいセミナーまで開催できるようにした。
しかしここで問題が起きた。株主の皆様から、事業計画もろくに達成していないのに、こんなに広いオフィスを借りて何を考えているのかと叱られ、何とかせよとのご指導のもと、研修室を社外に貸し出す事にした。当時総務担当の小林さんをリーダーに、ネットで広告を出したりし、パソコンセミナーや社内研修に使っていただいたりもした。結果的には大して収益には貢献せず、広告を出したり研修前のPCのセッティングや休日出勤しての管理などにかかったコストや心理的負担を考えると、そんな事をする意味はなかったように思う。
そうこうしているうちに、売上げも順調に伸びて何も言われなくなり、その研修室もあっという間に執務スペースになるほど人も増え拡大成長した。そのおかげもあり、ヤフーに売却するまで移転もすることもなく引っ越しコストもかからず、比較的落ち着いて仕事ができた。

一方ALBERTは2005年、そのインタースコープの小さな会議室からスタートし、現在のオフィスに移転したのが2005年の8月。そして1年後にはオフィスが満杯になり、2007年年初に拡張するまでの約半年間は中会議室を潰して執務スペースにし、会議はすべて近くの「デニーズ」というつらい日々が続いた。
2006年の秋には、真剣に近くの小さなオフィスかマンションを借りようか、別のビルに移転しようか考えていた。移転コストもかかるし、1フロアのそこそこのオフィスは坪単価が非常に高い。色々悩んでいる時に、運よく1階と3階の大成建設さんが出られるという話を聞き、その場で借り増す事を決定した。

ベンチャーは最初の3年は我慢の連続だと言われる。もちろん、そこまで持たないベンチャーもあるだろうし、1年近くでIPOしたベンチャーもあるが、ある程度の組織ができ、ビジネスモデルも精緻化するのには、どうしても3年はかかると思う。だからこそ、創業からの3年の成長のさせ方は、オフィスの拡張戦略1つをとっても難しく、売上利益の状況と開発状況、市場の状況などをよく分析し、「ブレイクの兆し」を敏感に感じながらの舵取りが必要だ。ここで「兆し」を感じなければ、縮小する事を恐れず実行すべきだろう。

ALBERTは、確かに最初の2年は迷走した感があるが、昨年7月から3年目に入り「確かな兆し」が見えてきた。そして今年に入り、組織も変更し、同時にオフィスフロアのメンバー構成も大幅に変更し、「兆し」が「胎動」になって来た。冒頭に述べたように、「経営管理部門を分断する」という、IPOを目指す企業としてはあり得ない選択肢を採り、それ以上に開発、営業のコミュニケーションを重視した構成とした。それによって、複数フロアの非効率性を克服し、目標に向けて一丸となって進んでいる。

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2008年01月20日

『5つのレコメンデーション(推薦)』(山川義介)

posted by Yoshisuke Yamakawa

当社は、レコメンデーションの専門企業を標榜しているのだが、レコメンデーション(推薦)にも色々な切り口がある。その代表的なものが、当社で提唱している「ACKマトリクス」だ。ACKマトリクスとは、レコメンデーションの背後にある考え方である「レコメンドロジック」と「レコメンデーションに用いるデータ」という2つの軸によって体系的に分類したものだが、最近では日経コンピュータ2008/1/15号などメディアにも複数回取り上げられ、レコメンデーション分類の「デファクトスタンダード」になっている。混沌としていたレコメンデーションの概念整理に一石を投じたALBERTの功績は大きいと自画自賛している。

ところで、ACKマトリクスとは別の切り口で、『5つのレコメンデーション』というのをまとめてみた。
(1) ぴったりのモノを推薦する
(2) 似ているモノを推薦する
(3) 組み合わせの妙で推薦する
(4) ついでに買ってしまいそうなものを推薦する
(5) 思いもよらないものを推薦する
の5つだ。

(1)のぴったりのモノを推薦するというのは、まさに対話型の意思決定システム「Bull's eye」のコンセプトであり、ダーツのど真ん中を射貫く事を指す。「イメージセレクトサーチ」も、自分の気に