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行動ターゲティング広告が機能しない3つの理由

2009/11/30 1:32 AM|上村 崇

行動ターゲティングとは、閲覧者のウェブ上の行動ログを解析して興味や嗜好性を判断することで、閲覧者に適した広告を配信する広告手法だ。

米国では以前から行動ターゲティング広告がリスティング広告に次ぐ注目の広告手法であるとされ、今後急速な市場拡大が予想されている。emarketerが2008年に発表した予測によると、米国での市場規模は2012年には40億ドルを超えるとされている。

米国のターゲティング広告市場

同様に日本でも行動ターゲティング広告が2006年ごろから注目されるようになり、Yahoo! JAPANを皮切りに、サイバーエージェントグループのマイクロアドなどの専門企業が立ち上がった。2009年3月になって帝王米Googleが同サービスに参入することを発表し、いよいよ役者は揃ったという状態になった。

国内の行動ターゲティング広告市場

ご存知の通り、行動ターゲティングの概念自体は、インターネットが世の中に登場した時点から存在していたし、長い間期待され続けてきた。
それが近年ブロードバンドの普及やハードが安価になったことで、いよいよ実際のサービスとして提供できる環境が整備され、数年前から改めて注目が集まっているということだと思う。

しかし、こういった環境が整い、役者も揃ったにも関わらず、いっこうに成功事例が取り沙汰されないのは何故か。

それは”既存の”行動ターゲティング広告の仕組みに「根本的で致命的な欠点」があるからだと思う。

■理由その1:
配信可能な広告が極めて限定的

行動ターゲティング広告の例を説明する際に非常によく取り上げられるものとして「車」や「旅行」の広告がある。

「例えば”車のサイト”を見た人には、”車メーカーの広告”を出す」というものだ。
非常に判りやすい。
中古車サイトや今年のモーターショーのサイトを見た人が、車を購入する意向があると判断して広告を出せば、クリックされやすいというわけだ。
同様に旅行会社は、旅行コミュニティサイトやポータルサイトの旅行情報を閲覧した人に広告を。ということだ。

しかし、実際のところこのような判りやすい例に当てはまるのはごく僅かであって、他の商材を当てはめて考えてみると、困り果ててしまう。
例えば今こうしてオフィスを見渡してネットで売られているものを列挙してもそれは明らかだ
「加湿器」
「コンポ」
「プリンター」
更に今僕が聞いている音楽、宇多田ヒカル。彼女が新曲を出した場合など。
これらの商材を行動ターゲティング広告で配信したい場合、いったいどんなサイトを閲覧した人をターゲティングすればよいのだろうか。

■理由その2:
精度と配信量が反比例する

ここでいう「精度」というのは、「実際にターゲティングされた閲覧者が広告主の商品に興味を持つ人であるか」ということだ。
この「精度」を上げるためには、閲覧者の興味を強くあらわすサイトを特定しておき、そのサイトを見た人に広告を出すのがよいということになる。例えば旅行の例であれば「旅行コミュニティサイト」などの極めて旅行ニーズに関連性の強いサイトを見た人。極端な例だが、宇多田ヒカルの例で言えば「宇多田ヒカルの公式サイトを最近見た人」といったことになってしまう。

もう一つ精度を上げる方法として、複数のサイトを横断して閲覧した人を特定するというアプローチもあると思う。「AとBとCとDというサイトを横断的に見た人」というように、掛け算することで興味の特定精度を上げるという方法だ。当然のことながら、掛け算の数を増やせば増やすほど、精度が高まるということになる。

既にお気づきと思うが、こういった方法によって精度を上げようとすると、配信可能な閲覧者が極めて限定されてしまうため、広告の配信ボリュームが極端に少なくなってしまう。
「広」告というぐらいなので、一定量以上のボリュームの消費者にリーチできなければ意味がないわけだが、「配信量」を求めるのであればターゲティングの度合いを緩めなければならない、「精度」を求めると配信量が限定される、というジレンマに陥ってしまうのだ。

■理由その3:
十分なログが溜まらない

3つ目は最も致命的と言ってよいかもしれないが、行動ターゲティングの要である「閲覧者の行動ログ」は、実は中々溜まらないという問題だ。
「広告」として機能させるためには閲覧者がその商材に興味をもっているタイミングで配信しなければならない。商材の購買サイクルにも依存するが、比較的最近のログに基づいてターゲティングしなければ意味がないということになってしまう。
先に述べたようなターゲティングの「精度や配信量」を確保するために、半年も1年もログが溜まるのを待っていたら、その消費者はとっくにどこかで競合の商品を買ってしまっているだろう。

2008年7月にGoogleが発表したデータによれば、世界には実に1兆以上のURLが存在し、毎日数十億ずつ増えているということだ。(URLベース)
国内だけでもウェブサイトの数は億単位であり、毎日毎日無数の新サイトが立ち上がっては消えていく。人々が明日どのサイトを見てるかは、予測不可能なのだ。

一般的な行動ターゲティング広告では、アドネットワークに所属している各メディアに専用のスクリプトを仕込むことで、cookieなどを利用して閲覧者の行動を特定している。従って、このアドネットワークに必要なメディアをどんどん取り込んでいかなければいけない。
しかしそれは、急速に拡大し続ける宇宙の星一つ一つに旗を立てていく行為に等しい。

こうった理由から「行動ターゲティング広告」という素晴らしい概念を実際に機能させるのは、現在のようなアプローチでは難しいと思うのだ。

「アフィレコ」は、これまでの行動ターゲティング広告とは全く違ったアプローチで閲覧者の嗜好や興味を特定することでこういった欠点を解消し、「機能する行動ターゲティング広告」の実現を目指している。

と、ここまで書いて疲れたので今日はここまで・・・・orz

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