CROSS TALK

この分析を出発点として進めれば、間違いはない。

「SHISEIDO」や「クレ・ド・ポー ボーテ」など、数多くのブランドを抱える資生堂。
今回は、資生堂のグローバルプレステージブランド事業本部 事業戦略部の佐々木邦様と砂賀一範様に、ALBERT 執行役員パートナーサポート部 部長の平原とデータ分析部 アナリティクスセクション セクションマネージャーの巣山が、ALBERTで行なった資生堂顧客分析プロジェクトについて、ご依頼いただいた経緯や実際の分析過程・結果についての感想などお話を伺いました。

お客さまがどう動くとどう購入いただけるのか論理的に解明したい

佐々木 私は資生堂で、国内だけでなく海外も含めたグローバルで「SHISEIDO」ブランドと「クレ・ド・ポー ボーテ」ブランド全体の予算の立案や実績管理、見込管理をしています。大きく言うと、ブランドの費用の配分、原価の管理ですね。

砂賀 私は佐々木と一緒に2ブランドの経営管理を担当するグループに所属してますが、そのなかでKPI管理を担当しています。売上・費用・利益がどういった理由で増減しているか見るためのKPIの開発がメインですね。これまで2ブランドのKPIは「商品軸」や「販売チャネル軸」といったものが主流だったのですが、カスタマーセントリックの観点から、「顧客軸」でも設定するようになりました。

佐々木 社内では古くから「商品をしてすべてを語らしめよ」と言ってきたように、商品の品質を高めればお客さまに受け入れられるだろう、良い商品を作ることが自分達の使命だ、という考え方が常にあって、もちろんプロモーションはやってはいましたが「売れ方」について深くつっこんでいなかったのが実情でした。

しかし今はそれだけではなく、お客さまの動きもしっかり把握し、お客さまがどういう動きをするとどういう商品を購入していただけるのかということを論理的に解明してマーケティングに活かしていこう、という機運が高まってきています。デジタル化を進めることで、マーケティングを定性的ではなく定量的に捉えて、売上と利益に繋げるという大きな方向性がグローバルで強まっています。そのために改めてCRM分析をしっかり行なう必要があり、ALBERTに相談しました。

株式会社資生堂 佐々木 邦様

平原 ご相談を受けて、今回の分析方針を立てました。まず、個別に分析するのではなく、最終的にそれらの結果が顧客軸で一本に繋がって解釈できるものにするということを大切にしました。資生堂様ではこれまでも多くの分析をされているということは過去の資料を拝見してわかったのですが、それらの結果が一本に繋がって見えてこなかったんです。内容が細かすぎて、分析結果を活用するのは難しいだろうなと。

砂賀 そうですね、いろいろな会社と分析をしてきたのですが、ただこれまではこちらが言ったことをそのまま細かく分析して出してくれるだけということが多かったんです。正直実際には、細かい結果だけではなく、結果を最終的にストーリーとして次への展開にどう活かすか、というところまでをサポートしてもらえることを期待していたのですが…

平原 そういったことも考えて、今回のプロジェクトでは「顧客のロイヤル化プロセス」を主軸としました。どういう道筋でお客さまが優良顧客になるのか見るということですね。 そして、ここもこだわったポイントなのですが、複雑な手法やブラックボックス化してしまうものは避け、説明力の高い手法・再現性のある方法を選択するということも方針として、分析内容をご提案しました。

1枚の絵でビジュアルとして分析結果を表現

巣山 私のチームで分析を担当したのですが、実際に、結果が解釈しやすく再現しやすいというところにこだわって手法を選択しました。また、これまで分析したことがない内容も見たいというお話もいただきましたので、これまで行なっていない顧客の購買パスの可視化を行ない、最終的に結果がすべて一本で繋がって解釈できるようにしました。 今回3ヵ月のプロジェクトで7回の分析報告会がありましたが、資生堂様の分析結果に対する反応を見て、その都度次の分析内容を調整しながら進めるということも大切にしましたね。

砂賀 報告会では、分析結果を説明していただくだけではなく、考え方のポイントも何度も教えてもらいました。結果を見るポイント、数字を見る上での感覚のところですね。
また、ブラックボックスにならないというのはとても大切で、最終的に今回の分析結果を活用していく受け手というのはECのレコメンドエンジンではなく店頭でとても忙しくしている販売部員がメインとなるので、販売部員が一目で解釈できてきちんと結果を活かせるということが最も重要です。一目で解釈がしやすいようにまとめるというのは大変だったんじゃないかと思います。特にパス解析、顧客の購買パスの可視化の部分は非常にわかりやすくしていただいて良かったです。

株式会社資生堂 砂賀 一範様

佐々木 途中の分析もわかりやすくまとめて丁寧に説明していただいて、新鮮な驚きがありました。そして最後にすべての結果が繋がったと言いますか、国別に1枚の絵でビジュアルとして表現されていたのが理解しやすかったですね。

砂賀 実際に分析結果は今後コミュニケーション施策のアイディアのソースとして活用しますが、それ以外でも、CRM戦略を考える上で社内のさまざまな人が「今のお客さまがどんな購買行動をとっているのか知りたい」というときに、この1枚の絵を見せるだけで説明ができるので、非常に役に立っていますね。

5年以上のデータを用いることで驚きと納得度を得られた

佐々木 今回の分析対象は2ブランド×8ヵ国だったのでそのデータを処理するだけでとても大変だったと思うのですが、実際はいかがでしたか。お客さまのボリュームとしても、シンガポールは小さかったり、台湾は大きかったりなど違いがあったと思います。

巣山 当初はある程度同じやり方で展開できるかなと思っていました。もちろん分析自体は同じやり方でもできないことはないのですが、結果の解釈の部分はひとつひとつ見ていく必要があるので、そこは大変でしたね。結果としては、国ごとの違いが出て面白かったです。タイはしっかりとメイクをしてきちんと落とす方が多い、とか。

佐々木 そうですね、現状として、販売や現場に近いところでは、分析に関して各国でレベルの差があるんです。自分たちで分析に取り組んでいるところもあれば、CRM分析に着手できていないところもあります。また、本部としてはこれまで顧客軸での分析をあまり体系的にしてこなかったので、今回のプロジェクトはとても良いきっかけになったと思っています。

株式会社ALBERT 巣山 剛

砂賀 あとは5年以上のデータをまとめて使ったというのも新しかったですね。これまで1年ごとのデータで分析をすることはあったのですが、5年まとめてというのはなかったので、長期的な視点からのお客さまの動きが見えてくるなどいくつか驚きもありましたし、長期的なお客さまとの関係作りが重要だという私たちとしては納得度が高い結果にもなりました。

また、今回のプロジェクトは基礎分析から始まって本分析へと進みましたが、実は、最初の基礎分析の結果もすでに社内でかなり役に立っています。顧客数や売上の推移、曜日別での違いなど、店頭の販売部員は肌感としてわかっていることではあるのですが、今回の分析結果をもとにグローバル施策を作る側も理解することで、より現場に即した施策や新しい視点での施策が作れるようになってきていると感じます。

これまで思っていた仮説がデータで実証された

砂賀 これまではあくまで仮説でしかなかったことが最終的に分析結果として現れたという実感もありました。たとえば、メーキャップを買った後はスキンケアを買い、その後は…という流れが施策のセットとしてあるのですが、それがロイヤリティパスの顧客セグメントの分析結果で実際に数値に現れていたので安心しました。

平原 資生堂様で持たれていた仮説がデータによって実証されたというのは度々ありましたよね。たとえば、コットンの理論は印象的でした。

砂賀 コットンを併用すればロイヤリティが上がる、という仮説ですね。同じ化粧水ユーザーでも、コットンを使っていただけているかいないかでロイヤリティが全く異なります。

佐々木 資生堂の美容法として、コットンを用いるということが文化でもあるんです。そもそもコットンをきっちり使うと肌への保湿効果が違うという肌データは科学的にありまして、それを店頭ではお客さまにお伝えしているんですね。お伝えした上できちんと使ってくださるお客さまはやはりブランドを好きだと思ってくださっている方が多いので、ロイヤリティに繋がってくるのだと思います。

株式会社ALBERT 平原 昭次

分析結果を社内でどんどん活用していきたい

砂賀 当初の目的通りに、分析した結果をコミュニケーション施策に活用するということはもちろんなのですが、日本本社メンバーだけではなくて海外現地メンバーともこの結果をベースにお客さまについての対話が増えつつあります。CRM施策に活かすだけではなく、さまざまなタッチポイントの設計においてかなり幅広く結果を活用できています。

佐々木 5年以上のデータを用いてしっかり分析したので、これまでこれで良いのかなと不安に思っていた部分に関しても、安心できる、下支えしてくれるような結果だったと実感しています。これを社内でどんどん活用していきたいですね。

砂賀 今回の分析結果は、私の担当しているKPI管理においても活用ができると感じています。課題をどうやって解決していくか、どこにリスクがあるかなどを見ていく上で、考えのもととなる指標や水準を揃えられました。本来業務への使い道があるというのがありがたいですね。また、グローバル施策は今後ブランドホルダーとして共通化していったほうが良いと考えているものもあるので、今後どういうことができるのかこの結果をもとに考えていきたいです。

この分析を出発点として進めれば、今後間違いはない

砂賀 データ分析って「システム導入とセットでCRMに関してコンサルテーションします」という企業も多いですよね。また、アドホックで分析してくれる企業も、お願いされた集計をこなしていくだけというところもあって。そうではなく、さまざまな実務上の実績や経験がある企業にお願いしたいと思っていました。過去に巣山さんを学会で見かけていたこともあって、分析をしっかりと行なっていて、なおかつ技術開発にきちんと投資しながら、でも最適なソリューションを組み合わせてくれるというところがALBERTの良さだと思って、お願いしたという経緯があります。

株式会社資生堂 佐々木 邦様 砂賀 一範様 株式会社ALBERT 平原 昭次 巣山 剛

佐々木 これまでバラバラと分析をしてきて、これで良いのかなと思っていたところを、今回きちっとした分析を行なったことで安心感を得られました。ベースができたと。ここをおさえておけば、これを出発点に進めれば今後間違いはないと思えることが本当に良かったです。それから、ALBERTは人材と分析力に厚みがあるなと感じました。分析チームの分厚さが垣間見えて、安心感がありました。

巣山 当社のプロジェクトメンバーにとっても、非常に興味深く取り組ませていただきました。

砂賀 ひとつひとつ丁寧にロジックを教えてくれるということも安心感がありましたね。教育事業(※データサイエンティスト養成講座)もやってらっしゃるということで、スコアの定義となる数式を示しつつその考え方から教えてもらえたので、プロジェクトメンバーみんなで理解を深めることができました。

佐々木 これまで定性的にブランド構築してきていましたが、これからは変えていかないといけないと思っていて、このCRMの取り組みが大きなきっかけになると感じています。KPIの設計ももっと深めて、どんどん成長したいですし、またぜひその際はALBERTに分析をお願いしたいですね。

平原 ありがとうございます。佐々木様、砂賀様、またプロジェクトメンバーの方々に常に前向きにプロジェクトを推進いただけたこと、感謝申し上げます。

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