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CROSS TALK

「常識が通じない!」
独自サービスに対応した需給予測への挑戦

プレミアム・タイムセールECサイト「LUXA」や高級レストラン会員制予約サービス「LUXA RESERVE」、セレクト雑貨ショップ「LUXA SHOP」の企画・運営、ショッピングサイト「au WALLET Market」の仕入れ・卸を行なう株式会社ルクサ(現 auコマース&ライフ株式会社)。今回は、MD本部 MD戦略部の桐生様(右)、大島様(右から2番目)に、ALBERT プロジェクトマネージャー 武田(左から2番目)、データアナリスト 八木(左)が、商品の売上個数を予測し、仕入れの発注量を判断する「需給予測モデル」の構築プロジェクトについてお話を伺いました。

Excelを用いた属人的な作業からの脱却へ

株式会社ルクサ 大島様

桐生私と大島はモノや人の管理の仕組みを作る担当をしています。主に、社内オペレーションを作りつつ、各施策を最大効率化するためにどういう発注をしてどういう在庫の持ち方をすればいいのか考える業務です。商品・サービスが増える中で、発注・在庫管理をよりシンプルにするという目的のもと、社内の需給予測モデル構築プロジェクトにアサインされました。

大島これまで需給予測は社内でExcelを使って取り組んでいましたが、にっちもさっちもいかない状況となりギブアップしたという経緯があります。

桐生そのためモデル構築のパートナーを探したのですが、ほとんどの会社が「何をどうすれば良いか教えて頂けたら構築します」というスタンスでした。ただ当社のサービスはチャネルが多岐にわたっており日々変化があるので、社内でもすべては把握できておらず、細かい要件が明確になっていませんでした。そのような状態の中、今回のプロジェクトはまず一緒に整理をしてから進めるというやり方だったので、とてもスムーズに始められたと思っています。スタートの時点で、これまでなんとなくやっていたことが紐解けたことがありがたかったです。

ルクサの事業に対応したモデルの構築

武田オーダーをいただいて、どういうモデルを作りたいかヒアリングをしました。今回のモデル構築対象であるプレミアム・タイムセールECサイト「LUXA」とショッピングサイト「au WALLET Market」はさまざまなデータがありますよね。商品数が多く、販促施策も多様で、また期間限定販売の商品があることが他社と異なる印象を受けました。

八木そうですね。また、売ったことのない商品の需給予測をするという問題設定自体がとても難しいと思いました。

桐生他社ではシーズンを通して販売している商品について四半期ごとに予測をするという例が多いかもしれませんが、当社では同じ商品を10日間しか売らないということもあります。そういう意味では常識が通じないサービスを提供しているので、需給予測モデルの箱があるからそこにデータをいれればできますという話ではありません。そうしたこともあり、どうすれば結果が出せるか一緒に考えてくれるパートナーを探していました。

大島同じ商品を同じ価格で販売しているのに、時期が1ヶ月異なるだけで販売数が全く異なるというようなことが日常的に起きます。メールマガジン配信などの外的要因が大きいのではと思いますが、動きが読みにくいんです。

桐生会社として成長しているがゆえに、去年と同じ施策が今年は無い、ということもありますからね。前提条件が異なる中で、需給予測モデルを構築していただきました。

八木モデル構築の際、外部要因の組み込みは非常に頭を抱えました。メールマガジンを配信するかしないかということも事前にわからないということだったので、そのあたりの要因をどう組み込むか苦労しました。

複数のアルゴリズムを検証の上、最適なモデルを構築 誤差数を大幅に改善

武田今回、具体的な手法としては、ランダムフォレストとニューラルネットワークを用いて2つのモデルを構築して比較しました。

桐生モデルは1種類だと思っていたので驚きましたし、どちらを選択するかについて非常に時間を割いたことがとても印象的でした。パッケージとして販売しているのではなくて、ひとつの取り組みとして対応いただいたからこそだと実感しています。

武田プロジェクト開始時はどちらかというとニューラルネットワークは向いていないかもしれないと思っていました。ただ中間報告時点では、ニューラルネットワークのほうが精度が高いという結果となり、意外でしたね。

八木はい。その後はどちらも徐々に精度を上げていき、最終的には、ランダムフォレストのほうが精度が高いという結果になりました。これまでExcelで属人的に行なっていた予測と比べると、今回ALBERTが構築したモデルでは誤差数が3分の1となり、良かったです。

武田個人的には、今回の場合ではニューラルネットワークは空振りもするけれどホームランも打つ、ランダムフォレストは安定した結果を出す、と感じました。また、今回に関しては上振れせず手堅い結果を出すことを重視されていたので、ビジネスで使いやすいということも重視して、最終的にランダムフォレストを選択しました。

桐生はい。都度マイルストーンを置きながら進めることで、当社に合う選定をしていただいたと思っています。

株式会社ルクサ 桐生様
株式会社ALBERT 八木

武田今回のプロジェクトは、当初から目的を「業務を効率化し、売上を上げること」と定めていたので、非常に期間が短い中でも、ゴールに向かって突き進められたと実感しています。特定の技術にこだわらず、目的が達成できるのであればやり方は問わないというスタンスだからこそ、最善の手法を選択することができたと思います。

桐生今回のプロジェクトは高度な内容も含むので理解できないこともあるかと思っていましたが、報告会で八木さんには良い意味でこちらに合わせていただき、わかりやすく伝えていただきました。質問にも答えてもらって、後になってこれ何だっけとなることもなかったですね。おかげで、たくさんの気付きを得られました。

大島当社の需給予測は、通常の小売の需給予測とはまた異なるかと思うのですが、モデルを構築してみて、いかがでしたか。

八木問題設定自体が難しいからこそ、ひとつひとつ丁寧に理由付けをする必要があり、定石がない中で一手一手打っていくことを短期間で行なったので、チャレンジングな取り組みでした。
新商品と再販商品で予測の仕方を変えるべきか同じにすべきか議論をして、結果的に特徴量の作り方を変えました。また、大きくわけるとランダムフォレストとニューラルネットワークの2種類ですが、細かくわけると実はそれぞれ16個にわかれており、合計32種類のモデリングをしました。細かくわけるべきかまとめたほうがいいのかという理由付けをデータから読み解く必要があり、そのあたりは難しかったですね。

武田データベースの構造や中身が複雑だったことも印象深いです。

桐生はい。通常の業務フローをやりながらデータベースを整理するというのはなかなか難しく、ほぼ取り組めていませんでした。今回はそういった部分もアグレッシブにご対応いただいたので、一言に「分析」といってもさまざまな取り組み方があるんだなと思いました。

武田「データアナリティクス」というとスマートに聞こえますが、実際の「分析」は、こういった泥臭い工程も多いです。

桐生実は最初にさまざまな提案をいただいたときから、それは感じていました。「こうした方法がおすすめです」とひとつに絞るのではなく、「こういう例もありますし、それとは異なるこのような例もあります」と何パターンもご提案いただきました。

大島そうですね、それがすごくありがたかったです。また、これまで社内にマニュアルや資料があまり存在していなかったので、今回こうしてドキュメントの整理をしてもらったこともとても助かりました。

武田ありがとうございます。また、私は需給予測の結果の確からしさを定義する方法に苦労したことも印象に残っています。

八木確からしさの定義については最終的に、ブレ幅を〇×△で表現する方法としました。予測した商品数に対し実際の商品数とのブレ幅が3個未満だろうという強い自信がある場合は〇、ブレ幅が3個以上10個未満だろうという場合は△、というような表現です。今回の表現方法は私は初めて取り組みましたが、わかりやすさと理屈のバランスを重視しました。理屈に頼りすぎると実用性に欠けてしまうこともあるので、出来る限りわかりやすく、でも説得力もあるように、ということでこの方法としました。

株式会社ALBERT 武田

需給予測モデル構築により業務効率化の道筋ができた

桐生今回のプロジェクトにより、考える指標ができたと思っています。これまでは基準すらなかったので、何が良くて何が悪いのか判断できていませんでした。今回のモデル構築により、道筋ができました。システムに需給予測を任せることで、バイヤーには本来すべき、良いものを探してお客様に届ける業務に集中してもらい、なるべく在庫のことを考える必要がないようにしたいと考えています。

大島システム化も終え、これから本格稼働となりますが、今回のモデルは需給予測だけでなく売上予測にも活用できると思っています。改善点も見えてくると思うので、本格稼働が楽しみです。

武田はい。これからも是非ご一緒させていただき、拡張性を持ったアップデートに取り組みたいです。今後も非常に速いスピードで事業を進化されていくと思いますので、モデルもそれに合わせたチューニングをすることで進化させていきたいですね。

大島ありがとうございます。また、当社は今年から通販サイト「Wowma!」にも店子として出店しています。今回の需給予測モデルでは対象を従来の「LUXA」と「au WALLET Market」の2つに絞りましたが、「Wowma!」でも需給予測に取り組みたいと考えています。

桐生そうですね。「Wowma!」の業務が加わり業務量が増えた中で、「LUXA」と「au WALLET Market」についてはモデルができたので、2つに関してこれまでExcelで行ってきた人手の作業がなくなるのもありがたいです。

武田近い将来小売業界では、AI技術を活用した需給予測について取り組むことが当たり前となるものと思います。しかし現時点では、今回のプロジェクトのように商品単位まで細かく予測をする需給予測は先進的な取り組みと言えます。これからもさまざまな取り組みをご一緒できれば嬉しいです。

株式会社ルクサ 桐生様 大島様 株式会社ALBERT 武田 八木