CROSS TALK

時代を先取りするNTTアドの挑戦。
新たな分析基盤の構築で「チャレンジできる」環境づくり

デジタルとリアルの力を活用し、NTTグループのマーケティングを担うNTTアドは、メインであるプロモーション事業以外にも、その技術力を活かして時代のニーズに合った新しい価値の創造に取り組んでいます。そのひとつが、2014年から官公庁や自治体、関連企業などに対して実施してきた、地方創生やインバウンド誘致などの観光課題に対してデータを活用したアプローチ。新型コロナウイルスの影響もあり、人々の生活やビジネスシーンにおける行動変容やデジタルシフトが進むなか、データ活用の重要性はさらに高まり続けています。膨大化するデータをいかに効率的に管理し、企業の新たな価値創造に繋げていくのか。
今回は、株式会社エヌ・ティ・ティ・アド クリエイティブ局スマートシティ担当の若林様(中央)と小野里様(右)に、観光やスマートシティに関するビッグデータの蓄積や分析の効率化を目指した「分析基盤構築プロジェクト」について、営業担当のALBERT平栗(左)がお話を伺いました。

※この座談会は、2020年12⽉に新型コロナウイルスの感染対策を講じたうえで実施しました

インバウンドブームの先を見据えた分析基盤構築

インバウンドブームの先を見据えた分析基盤構築

平栗最初に、お二人の担当業務について簡単にお伺いできるでしょうか。

若林クリエイティブ局のスマートシティ担当として、今回の分析基盤構築プロジェクトを担当しています。広告業界を取り巻く環境が変化するなかで、新規事業として、2014年から観光やスマートシティ、地方創生等に関するビッグデータの分析を行ってきました。その分析結果を活用して効果的なプロモーションを提案するなど、特に地方自治体が持つインバウンドの課題解決に取り組んできました。最近はコロナ禍と前後して日本人の観光動態に関するニーズが高まっています。

小野里私も若林と同様に、クリエイティブ局スマートシティの担当として、観光の動態に関するビッグデータの分析、さらに、アプリから取得した位置情報を分析して結果を可視化したり、データから抽出される情報からビジネスのヒントを探したりということを行っています。
今回のプロジェクトにおいては、以前担当していた企業サイトの運用や制作の経験を活かし、データ分析についてはデータベースなどの知識が少しあるという程度ではありますが、プロジェクトを円滑に進められるように、専門用語の翻訳など社内との橋渡し役としてプロジェクトの理解促進に努めました。

平栗今回のプロジェクトでは、ALBERTでは主にデータ分析を行うための基盤開発のお手伝いをいたしました。当社の分析スキルやノウハウと、御社の持つ業界のノウハウやデータ等を組み合わせることで、新しい知見、例えばスマートシティの基幹機能となる人の流れを分析することを目的とした分析基盤構築をご支援できたことは、当社としても非常に良い経験をさせていただいたと感じています。 今回の分析基盤構築プロジェクトは、当初どのように立ち上げられたのでしょうか。

株式会社エヌ・ティ・ティ・アド クリエイティブ局スマートシティ担当 若林様

若林NTTアドでは、2014年から独自のアプリ等から取得したGPSデータなどを活用して、官公庁や自治体、関連企業などに対して、動態分析を中心とした地方創生やインバウンド誘致などの様々なサポートを実施してきました。
当初は、新規事業としてスタートしてコンテンツ提供やアプリ使用者の行動データなどを蓄積、解析することによってインバウンド観光者の課題を導き出し、更なる誘致に向けてプロモーションをしていくところから始めました。

しかし、当時は単一のデータを扱う基盤として開始したことから、処理方法やプロセス、プログラム等が大量のデータの蓄積や処理に相応しいものにはなっていませんでした。ここ数年の業容拡大により、大量のデータの蓄積や処理、活用についての重要性が増し、それに合わせ基盤の改修も進めてきましたが、日々増え続けるデータの蓄積や分析業務にはどうしても制約が付きまとい、また度重なる改修により処理方法やプロセスが複雑になり、業務効率の面でも負担が大きくなってきていました。

さらに、当時、インバウンドブームの先、つまり2020年に開催が予定されていたオリンピック終了後にブームがひと段落するであろうことを見据えると、2021年以降どこに軸足を置くのが良いか考えたときに、視点を変え、訪日外国人データだけでなく日本人データの分析も視野に入れて進めていく必要性があると考えていました。また、これまで扱ってきた位置データだけでなく、ここ数年で徐々に扱えるようになってきたSNSデータや消費データの分析を本格的に進めていく必要性もありました。そうしたことから、分析事業の更なる価値向上に向けて、様々なデータを統合した分析基盤の構築により利便性を高め、より多くの社員がデータを活用できる環境づくりが必要と実感していました。

分析基盤構築により、日数短縮・拡張・運用負荷軽減を実現

若林今回のプロジェクトの目標は、大きく3点ありました。まず1つ目は、既存のシステム処理日数の大幅な短縮です。2つ目は、今後を見据え、ビッグデータ蓄積・処理の高速化・入力ソース追加といった拡張性を持たせた基盤とすることです。そして3つ目は、可視化や分析手法の改善など新たなビジネス価値向上につながる作業に担当者がフォーカスできるよう、運用負荷の軽減につながる分析基盤とすることでした。

結果的に、データ管理が効率化・高度化されたことで、担当者の負荷が軽減され、これまで外注していた分析の内製化もできるようになり、トライ&エラーでチャレンジできる幅が広がったと感じています。

小野里要件定義で掲げていたゴールを全て達成し、分析基盤の運用を開始することができました。まず1つ目に関しては、外国人データ1年間分の処理速度が最大10倍となり、効率化を実現することができました。
2つ目は、データ格納領域や計算資源の拡張が容易なクラウドサービスを採用したことで、データ種別毎にスクリプトをアプリケーション化して今後の再利用、例えば入力データの変化等に対応しやすくなり、日本人データなど大量のデータを扱える基盤を実現できました。
さらに3つ目については、標準的な分析メニューであればアプリケーション化した処理プロセスにより、効率的なデータマート生成が可能となり、運用管理上の負荷が軽減しました。また、それによってブラッシュアップが容易にできるようになり、分析の品質向上に注力できるようになりました。

その他にも、スクリプトをビッグデータの高速処理に適したものに更新したり、処理の進捗確認や異常検知を自動通知の設定に組み込んだりなど、細かい点でも、業務の円滑化、効率的な進行につながる機能を実装することができました。

さらに、個人情報取り扱いの際に重要となる、適切なシステム設計が実現できたことも挙げられます。社内のセキュアな環境下で、動態情報を扱うために必要なユーザ設定と適切な権限設定、定められた社内のネットワーク環境下でのみアクセス可能な統制環境など、事業運営に不可欠な安全性を確立できたことで、可視化した分析結果を各担当者が適切に活用できるようになりました。

株式会社エヌ・ティ・ティ・アド クリエイティブ局スマートシティ担当 小野里様

新型コロナで急遽迫られた「最重要課題」への対応

小野里また、プロジェクト開始時には想定していませんでしたが、要件定義を開始した2020年4月以降、新型コロナウイルス流行の影響により海外からの観光客が激減したことで、急遽、「日本人の動態の傾向把握と分析」が最重要課題に浮上しています。

若林インバウンド観光客とは異なり、我々日本人は当然ながら国内で生活をしていますが、その人が近隣に居住し日常の生活圏内を移動しているのか、通勤・通学で移動しているのか、観光旅行で移動しているのかは、1点1点の位置データだけでは分かりません。本来、居住者と旅行者では行動の傾向も異なり、訪問スポットにも差異が見られる可能性が高いですが、それをどのように判定するのかが課題でした。
すでにニーズの高まっている日本人の動態分析を今後実施する上で、この判定の基準作りとシステムへの実装が今回のプロジェクトの大きなポイントの一つとなりました。

限られた時間の中で、要件を整理して、設計から試験、実装まできわめて短期間で実施しなければならなかったですが、両社の豊富な実績と知見、およびそこから導き出される適切な示唆に基づいて、日本人の旅行者と非旅行者の区分を実現できました。日本人データの分析について、旅行者・非旅行者の判定と分析ができるようになったことはとても大きな成果だと思います。

新型コロナで急遽迫られた「最重要課題」への対応

平栗今回のプロジェクト以前は、訪日外国人データや日本人データをどのように活用されていたのですか。

小野里これまで、訪日外国人データを活用した観光消費行動等分析は自社内で分析できていましたが、データ処理に時間がかかっていたため、分析条件の設定変更による再実行や分析結果確認後の再調整などがなかなか実施できない状況でした。あるとき通常の100倍ぐらいのデータ数で試してみたところ、1ヶ月経っても処理が終わらないことが分かりました。
一方で、日本人データは桁が「0」が2つ分くらい違っており、既存システムでは対応できないデータ量であったため、アウトソーシングしていました。そのためコストがかかり、細かなカスタマイズなどができない状況でしたが、今回のプロジェクトにより、日本人データの分析も内製化を実現できました。

例えば、データを絞ってテストをしてから、その結果をもとに本番の分析を行うなど、事前の調査ができるようになりました。テストを繰り返し自分たちでチューニングしながら運用できるようになったことで、これまでできなかったような分析にも挑戦することが可能になりました。

平栗当社もデータ分析を行う際には、現状を確認し仮説を立てるため、まずサンプルデータで分析し確認することも多いです。仮説を立てるためにサンプルを分析するための処理だけで1ヶ月かかってしまうと、実際にチャレンジする時間も無くなってしまいますね。

小野里おっしゃるとおり、一発勝負になってしまうと、どうしても分析する地域に対する先入観が先行してしまいます。データ分析を行う人間としては、それではいけないと思うので、データをもっているのだから、それを正しく理解して仮説をたてて筋書きを考えていくことが重要だと思っています。

決め手は「分析」と「開発」が連携している安心感

小野里今回、分析基盤構築の検討にあたって、新しい技術・サービスを活用して構築できる企業に数社お声がけをしました。それぞれご提案いただいたなかで、データアナリストによる分析とデータエンジニアによる開発が一体となって総合的な支援をお願いできるところが意外と少ないという印象がありました。ALBERTはどちらも同じ社内のメンバーにお願いできるという点で安心感がありました。また、分析の方向性にも特色が感じられ、実績にともなう豊富な知見をもとに、データベース上での分析処理から処理結果のBIツールによる可視化、その結果のレポーティングまでトータルで力を貸してもらえると思いました。
さらに、ALBERTとは情報の共有ややり取りなどをスムーズに行うことができ、良い意味でフランクな印象を受けました。知識や技術を持ち合わせているだけではなく、メンバー同士がどのようにコミュニケーションをとることで、プロジェクトをスムーズに進められるのかをそれぞれが理解していると感じました。

平栗ありがとうございます。ALBERTでは、データ分析をするためにシステムを構築するケースがほとんどです。システム構築においては実現性を重視しているため、例えば、大量のデータを精度高く処理できてもスピードが遅すぎて実用性が低い、といったことがないように、各担当者が連携することで実際の使いやすさを追求しています。

株式会社ALBERT 営業担当 平栗

制約と学びが多かったコロナ禍のプロジェクト進行

小野里今回のプロジェクトは、新型コロナウイルスによる様々な自粛要請や在宅勤務があったことで、やはりコミュニケーションの取り方が難しいと感じる場面もありました。本来10年かかったであろうDXが、新型コロナウイルスの影響で一気に進んだと言われるなかで、(データの保持・取り扱い上のルールにのっとり、)リモートとオフィス内セキュア環境下での開発業務(作業)をハイブリッドで行うには以前の方が楽だった、と思える場面もありましたが、それをどう乗り越えるのかを常に考え、今回のプロジェクトをやり遂げられて良かったです。
新しい分析基盤のおかげで、日本人データの分析など新しい取り組みへの道筋をつける端緒とすることができたと感じています。

若林要件定義を開始した2020年4月時点で、在宅勤務が必須となり全ての業務をテレワーク、オンライン会議に移行しました。週1回の定例会議では、全てを漏らさずに伝え、議論する前提での進行を意識していたため、より緊張感がありました。
それまでは社内にもオンライン会議のノウハウはほぼなく、どうすればスムーズに進められるか、全てが未経験に近い状態で常に不安を抱えながらの進行でした。
コロナ禍における一時的な対応だと思っていたことが、今ではニューノーマルとなっています。全てが手探りで大変でしたが、今思えば業務進行の面でも試金石となったプロジェクトでした。

制約と学びが多かったコロナ禍のプロジェクト進行

「グループ総合力×データ分析」でつながる未来へ

平栗新しい分析基盤の運用開始後はいかがですか。

小野里データ量の非常に多い日本人データについては、これまでのシステムでは制約が多くデータ処理等の一部業務を外注していましたので、「トライ&エラー」が難しかったのですが、今回のシステムでは処理速度のボトルネックが解消されたため、一度分析をしてみて、その結果から条件を調整して再実行するといったブラッシュアップが容易にできる事で、分析の品質向上に向けて取り組んでいます。
その過程で、精度をより高めるための手法の導入検討やお客様の声に基づいた新たな分析項目の開発などを視野に入れ、当社としてのプレゼンスを高めていかなくてはならない、と考えています。

若林これまでは、「観光」分野の分析に特化してきましたが、膨大なデータ量を分析できる基盤を整えたことで、スマートシティなどの都市開発の分野についてのデータ活用にも道筋が見えました。新しい基盤システムで複合的にデータを活用し、街づくりや都市計画、防災などの分野にも取り組んでいきたいと考えています。また、当社の主要事業であるプロモーションやマーケティング事業でも街中のデジタルサイネージや大型イベントなどと連携し、幅広くデータ分析の中核となるような基盤に育てていきたい、グループの力を結集することで様々な課題解決や価値提案に繋げていきたいと考えています。

平栗今後も多様なデータの増加が想定されるなかで、様々なデータを掛け合わせた分析の実施に向けて、当社もこれまでの実績や経験を活かし、引き続きご支援させていただけると嬉しいです。

「グループ総合力×データ分析」でつながる未来へ

※2021年5月掲載。本文中に掲載されている制度や事例、部署名、役職等の内容は、掲載当時のものであり、
現在はそれらの内容が実在していない、あるいは変更されている可能性があります。

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